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先進事例2020.02.06

地域イベントはキャラクターとのコラボで活性化【自治体(木曽岬町)の取組事例】

地域イベントはキャラクターとのコラボで活性化【自治体(木曽岬町)の取組事例】

三重県木曽岬町 の取り組み

地域イベントはキャラクターとのコラボで活性化【自治体(木曽岬町)の取組事例】

木曽岬町 危機管理課 課長副参事 小島 裕紹
総務政策課 服部 寿之

 

※下記は自治体通信 Vol.11(2018年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

三重県木曽岬町データ

人口: 6,420人(平成29年12月1日現在)世帯数: 2,437世帯(平成29 年12月1日現在)予算規模: 43億 9,330万円(平成29年度当初)面積: 15.72km²概要: 三重県の北東端に位置し、木曽川下流にあって、東は愛知県弥富市に、西は木曽川を隔てて桑名市に接し、南は伊勢湾に面している。海抜0m以下の耕地がほとんどで、かつて木曽岬村だった昭和34年に伊勢湾台風で壊滅的な被害を受けたが、そこからみごとに復興。鍋田川堤防には桜が約5kmにわたって植わっており、毎年桜まつりが開催されている。

回を重ねるごとに拡大する、木曽岬町ならではのイベント

「子どもから大人までがともに学び交流し、チャレンジ・創造していくこと」をテーマに、木曽岬町役場内で開催されている地域イベント『木曽岬わいわい市場』。回を重ねるごとに出店者も参加者も徐々に増え、規模を拡大させてきた。平成29年11月5日(日)には、子どもたちが遊ばなくなったおもちゃを交換する「かえっこバザール」や、木曽岬町の中学生が町の魅力を発信する「木曽岬ジュニアPR大使のお店」。新鮮野菜やハンドメイド雑貨、キッチンカーなど、約40店舗が参加した「青空市・マルシェ」を中心にバラエティ豊かなコンテンツがそろった。

午前9時から午後3時という時間のなか、町内外からファミリー層を中心とした多くの人が集まり、食事や学びを堪能。最終的に約500人が来場した。

手づくり感のあるもてなしで、地元の魅力をアピール

そして、今回新たな目玉企画として登場したのがゲームキャラクターとコラボレーションした木曽岬ファミリーマラソンだ。木曽岬町の木曽川堤防をマラソンコースに見立て、直線で往復2.5kmと5kmのコースを設定。参加者にはキャラクターがプリントされた特製手ぬぐいが配られるほか、木曽岬わいわい市場』の割引や近くにある天然温泉施設の入館料割引など特典が満載。さらに、コース内には木曽岬町の特産品であるトマトや、海苔を使用したおにぎり、町内のカフェ『Cafeりんごジャム』がつくったチョコレートなどを給水ポイントに配布。ランナーをねぎらうとともに、木曽岬町の魅力をPRするのが狙いだ。

民間企業の協力のもと、運営は地元のNPO法人と地域コミュニティが担当。当日は子どもから大人まで、町内外から約60人のランナーが参加した。

ドローンを使った記念撮影のあと、マラソンがスタート。本格的に走る経験者や堤防から見える木曽川の景色を楽しみながら走るファミリーなど、それぞれが木曽岬町ならではのマラソンを楽しんでいた。

隣の弥富市から参加した40代の獣医師は「手を振って応援してくれたり、手づくり感があって、地元を盛り上げていこうという運営側の気持ちが伝わった」と話す。母親と参加したという地元の中学1年生は「『太鼓の達人』は昔よくやっていたから楽しかった。また参加したい」と語ってくれた。同マラソンは、次回以降も開催予定とのことだ。

同時開催された『木曽岬わいわい市場』と『木曽岬ファミリーマラソン』のイベントレポートを紹介した。実際にイベントを実施した木曽岬町の担当者を取材。こうしたイベントが開催された背景などを聞いた。

地元に住み続けたいと考える中学生はたった1割だった

―『木曽岬わいわい市場』が始まった背景を教えてください。

小島:発端は、地元の中学生に行ったアンケートの結果です。「まちに住み続けたいか」という項目で、「はい」と回答したのが約1割しかいなかったんです。そこで、「木曽岬町って本当はいいところなんだよ」ということを知ってもらうきっかけづくりが必要だと実感。そこで、平成27年に庁職員の若手を中心としてワーキングチームをつくり、検討を始めたんです。

服部:ワーキングでは「いまの木曽岬町にはなにがたりないか」を探っていきました。結果、「PR」「まちの拠点」「光る道路(人を導くまちの目玉となるもの)」がたりないのではという結論に。そこでPRについては、町でラジオ番組をもって情報発信をしていこうと。残りのふたつにかんしては、どうしても“ハコモノ”という発想になりがちですが、「いまできることをやろう」という話になりました。

小島:とりあえず、町内外の人が交流できる場所を一回つくってみようと。そこで平成28年におもちゃを交換する「かえっこバザール」をスタート。そこから、「中学生に町の魅力を発信してもらおう」「大人も楽しめるマルシェをしよう」と段階的に取り組み、現在のカタチになったのです。

地元住民では気づかない、まちの魅力を発信できた

―今回、新たに『木曽岬ファミリーマラソン』を始めたきっかけはなんでしょう

小島:木曽岬町だけでなく、町外の方にも幅広く来てもらえるためのアイキャッチをつねに探していました。そんなときに以前の『自治体通信』に掲載されていた、民間企業さんが地域活性化の支援に取り組んでいるという記事を読み、すぐにメールを送ったんです。

そこから「ゲームのキャラクターを使ったマラソンをやりませんか」「いいですね」と、とんとん拍子に話が進んで。8月にメールを送ったのですが、11月に開催することが決定(笑)。準備期間は短かいですが、「まず、やろう」とスピードを重視しました。

―提案にどのような価値を感じましたか

服部:ゲームキャラクターはネームバリューはもちろん、外からみた視点で提案してもらえたことです。「堤防でマラソンをしてはどうか」と最初に提案された際、「堤防を行って帰ってくる単調なルートでいいのか」と思いました。ただ、近隣の町の人に聞くと「木曽川の景観がいいので全然問題ないですよ」と。確かに行きには養老山地が見え、帰りは木曽川の河口が見える。私たちにとっては日常の風景なので、よさに気づかなかったんです。

給水所に地元のトマトなどを提供してPRするのも「なるほどな」と感じました。

―今後の方針を教えてください。

小島:ファミリーマラソンはもちろん、継続が大事だと考えています。そして、「おらが村」という発想ではなく、木曽岬町がハブとなって近隣の市町や人を巻き込み、人の交流が新たな人を呼ぶようなイベントにしていきたいですね。今回も、木曽岬町以外の店舗やスタッフにも協力していただきました。

そしてイベントにかかわってくれた子どもたちがやがて親になったときに、「木曽岬町ってお父さん、お母さんが子どものときからおもしろいことやっとったよ」と伝えていってくれる。そうして、次世代につながっていくのが大きな理想ですね。

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