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先進事例2020.06.29

政策立案は選りすぐりの行政情報を活用する【松江市の取組事例】

政策立案は選りすぐりの行政情報を活用する【松江市の取組事例】

島根県松江市 の取り組み

政策立案は選りすぐりの行政情報を活用する【松江市の取組事例】

政策部 情報政策課 主任 森井 寿浩

地方創生が国の重要政策と位置づけられて以降、各自治体には「それぞれの特徴を活かした持続的な社会の形成」という大命題が課せられている。問われているのは、独自性のある政策をいかに打ち出すか。そのため、近年は政策立案力の磨き込みに力を入れる自治体は多い。松江市(島根県)もそのひとつだ。同市情報政策課の森井氏に、取り組みの内容を聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.18(2019年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

島根県松江市データ

人口: 20万2,511人(平成31年4月末現在) 世帯数: 9万256世帯(平成31年4月末現在) 予算規模: 1,882億751万4,000円(令和元年度当初) 面積: 572.99km² 概要: 島根県の東部に位置しており、東に安来市、南に雲南市、西に出雲市と接している。中心部は沖積地に発達した城下町で東西に中海と宍道湖をひかえ、市街地は大橋川で南北に2分されている。昭和26年には国際文化観光都市に指定。古社・古墳・城下町の遺構としての文化財も多く残っており、そのうちの松江城天守は国宝に指定されている。平成7年には出雲・宍道湖・中海拠点都市地域に指定され、山陰の中核都市として発展してきた。

地方創生の時代に問われる政策立案力

―松江市は中核市として昨今、政策立案をはじめとする行政機能の強化に努めてきたそうですね。

はい。当市は特例市、さらには中核市として指定を受けてきた過程で、それに相応しい行政機能を備えようと努めてきました。特に重視してきたのが、外部からの行政情報の収集です。折しも地方創生のかけ声のもと、地方の権限が大きくなる中、自治体には多様で複雑化する課題を解決するための政策立案力を養う自助努力が求められています。これを強化するためには、広く外部に参考情報を求めることが必要と判断したのです。ただし当市の場合、近隣に同規模の自治体が少ない。そのため、より広範な行政情報、先進事例の収集に力を入れてきました。

―具体的にどのように情報収集を進めていたのでしょう。

当初は、市内で購読できるすべての新聞を購読し、当市に関連がありそうな記事があれば、庁内で情報共有していました。しかし、作業が煩雑かつ膨大なうえ、情報選定の基準は担当者の判断に委ねられる部分が多く、情報収集の精度改善は課題でした。しかも取得できる情報に地域的な偏りがあり、全国の情報を収集することはできていませんでした。

そこで当市では平成19年度から、民間企業が運営する行財政専門情報サービスの購読を始めました。

職員の姿勢にも変化が

―購読を始めた理由を教えてください。

まずは、広く全国各地の行政情報を網羅する豊富な情報量です。それらの情報は自治体規模別やテーマ別など各自が自由にスクリーニングし、効率的に閲覧することができます。当市職員の場合は、「中核市」や「県庁所在地」といった枠組みで見出しを表示するだけで、課題にヒットする情報が見つかるケースも多いですね。

また、それぞれの情報は各地の地方新聞社が配信しているため、地域の事情を熟知した記者が地元目線で掘り下げた内容となっていることも大きな特徴です。

さらに、事前登録の必要がなく、気軽に利用できることも大きいですね。ライセンス形態は「同時アクセス上限型」が選べるため、すべての職員が利用できます。人事異動で部署や使用するパソコンが変わっても利用方法は変わらないので使い勝手がよいですね。

―購読開始後、どのような効果を実感していますか。

業務に臨む職員の姿勢に変化がみられています。それまでは受け身の姿勢で情報を待っていた職員が、購読を機にみずから情報を取得し、他自治体の先進事例を参考に業務改善や新たな企画立案につなげている姿がみられます。

また、業務効率化への効果も大きいですね。昨今の厳しい財政事情から、視察を目的とした出張は削減されています。そうした中でも、このサービスで有益な情報を取得できるため、情報収集を効果的に補完できています。

サービス提供企業からは定期的に「活用ガイド」が配信され、職員の利用を喚起するための支援も得られます。その効果もあり、庁内の閲覧数は順調に伸びています。今後も各部署での利用を促進し、課題解決の糸口にしてもらいたいです。

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