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先進事例2022.08.05
住民サービスのオンライン化①

住民が普段使いするLINEを、DX推進の重要基盤に

[提供] 株式会社Bot Express
住民が普段使いするLINEを、DX推進の重要基盤に
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株式会社Bot Express
株式会社Bot Express

広島県福山市の取り組み

住民サービスのオンライン化①

住民が普段使いするLINEを、DX推進の重要基盤に

福山市
総務局 総務部 ICT推進課 課長 喜多村 秀樹
総務局 総務部 ICT推進課 主事 下田 瑞稀
[提供] 株式会社Bot Express

※下記は自治体通信 Vol.41(2022年8月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

DX推進を掲げる多くの自治体において、行政手続きのオンライン化は、住民サービスの向上に資する取り組みのひとつとして関心が高まっている。しかし、そこでどのようなツールを活用すればよいか、頭を悩ませているケースも少なくない。こうしたなか、福山市(広島県)は、SNSのLINEに着目し、住民票や税証明書の発行などさまざまな手続きを同市の公式アカウントで完結できる仕組みを構築した。取り組みの詳細について、同市の担当者2人に聞いた。

[福山市] ■人口:46万2,237人(令和4年6月末現在) ■世帯数:21万4,178世帯(令和4年6月末現在) ■予算規模:3,636億7,551万3,000円(令和4年度当初) ■面積:517.72km2 ■概要:広島県の東南端、瀬戸内海に面した山陽道のほぼ中央に位置する中核市。鉄鋼業や化学工業、繊維産業など市内各地に多彩な産業が発達し、日本のモノづくりの一翼を担う。今年、築城400年の節目を迎える福山城や、潮待ちの港として栄えた鞆の浦など、豊かな歴史・文化を有する。
福山市
総務局 総務部 ICT推進課 課長
喜多村 秀樹 きたむら ひでき
福山市
総務局 総務部 ICT推進課 主事
下田 瑞稀 しもだ みずき

行政情報の入手方法として、多くの住民がLINEを利用

―DX推進に向けてどういった取り組みを行っていますか。

喜多村 行政のデジタル化については長年、取り組んできましたが、コロナ禍を背景に人々のライフスタイルが大きく変わったことを受け、従来の「情報化計画」を令和3年度に「デジタル化実行計画」へと刷新しました。なかでも住民サービスの向上に関する取り組みでは、「行かない・書かない・待たない市役所」の実現を目指し、行政手続きのオンライン化や、キャッシュレス決済の導入などDX推進に関する検討に取りかかりました。そうしたなかで着目したのが、当市が令和2年から公式アカウントを開設しているLINEでした。

―それはなぜでしょう。

喜多村 当市の公式アカウントには、令和3年8月時点で約9万人が「友だち」登録しており、行政と住民との間のコミュニケーション手段として重要な役割をすでに担っていたからです。当時は行政情報の発信がおもな役割でしたが、DXに関する自治体向けセミナーのなかで、LINEをさまざまな住民サービスに活用できることを知ったのです。そこで、LINE公式アカウント上にさまざまな機能を実装できるツールを導入しようと、プロポーザル方式の公募を実施。その結果、Bot Express社の『GovTech Express』を導入し、公式アカウントを令和4年3月にリニューアルしました。

―どういった点が導入の決め手となったのですか。

下田 特に、「公的個人認証サービス(JPKI)」と連携できる機能を評価しました。これを活用すれば、住民はマイナンバーカードに搭載された「電子証明書」をスマホから読み取るだけで、本人確認を必要とする申請を行えるため、適用できる住民サービスの幅が広がると期待しました。また、各種証明書の発行手数料を支払うためのキャッシュレス決済に対応している点も評価したポイントでした。

DXに関するアイデアが、庁内で生まれやすくなった

―導入によって、どのような成果を得られていますか。

下田 申請方法に関する住民からの問い合わせがほとんどないことは、大きな成果だと考えています。住民は、チャットボットによる案内に従うだけですべての申請プロセスをLINE上で完結できるので、操作に戸惑うことが少ないのです。

 このほか、LINEを介した申請のうち、約5割を開庁時間外の申請が占めていることから、住民がいつでもどこでも申請を行える仕組みを構築できたと実感しています。LINEによる申請が今後さらに増えれば、窓口における職員の負担軽減にもつながるでしょう。

喜多村 当市のLINE公式アカウントでは証明書の申請のほか、マイナンバーカードに関する窓口予約や、簡易なフレイルチェックなどの機能も実装しました。『GovTech Express』を導入後、当市公式アカウントの「友だち」登録数は順調に増え、現在は12万人を超えています。これはまさに、LINEを活用した住民サービスのオンライン化に対し、住民が利便性を感じてくれている証だと捉えています。

―今後の活用方針を聞かせてください。

喜多村 LINEは職員にとっても馴染みのあるSNSであることから、「LINEを使うならこんなことも実現できそうだね」と、DXに関するアイデアが生まれるようになってきました。いま、当市におけるLINEは、DX推進の新たな重要基盤としての役割を果たしています。今後も『GovTech Express』を活用し、住民サービスの向上に資するDXを推進していきます。


支援企業の視点

住民サービスのオンライン化②

「説明書いらず」の対話型UIで、住民視点に立ったDXを追求せよ

株式会社Bot Express 代表取締役 中嶋 一樹
[提供] 株式会社Bot Express

これまでは、LINEの公式アカウントにさまざまな機能を搭載し、住民サービスの向上に向けてDXを推進している福山市の事例を紹介した。ここでは、同市の取り組みを支援したBot Expressを取材。住民サービスのオンライン化を推進するポイントについて、代表の中嶋氏に聞いた。

株式会社Bot Express
代表取締役
中嶋 一樹 なかじま かずき

馴染みないシステムの操作は、利用時の大きな障壁に

―自治体における住民サービスのオンライン化の動向をどのように見ていますか。

 コロナ禍以降、各種証明書の申請や施設予約など、以前は対面や電話で行っていた住民サービスをオンライン化する取り組みが急速に増えていると感じています。これによって住民は、役所に足を運んで申請書を手書きで作成したり、開庁時間に合わせて窓口に電話をかけたりする手間を省けるようになってきました。しかし、「ITによって人々の暮らしをより良くする」というDXの本質を鑑みると、まだまだ改善できる余地も大きいと私は考えています。

―それはなぜですか。

 オンライン化を実現させても、行政手続きをめぐる「煩雑さ」を完全に払拭しきれていないケースが少なくないからです。たとえば、説明書に記載された内容を理解したうえで、使い慣れないシステムや端末を操作することは、住民が手続きを行ううえで大きな障壁になります。そのため、貴重な財源を使って住民サービスをオンライン化しても、住民に利便性を感じてもらえず、利用が伸び悩んでしまうこともありえるのです。

―どうすればよいのでしょう。

 「説明書いらず」で、かつ、「住民が自ら使い慣れたツールを使える」という、住民視点に立ったオンライン化を追求すべきです。たとえば、多くの人々が普段使いしているLINEは、有効なツールになるでしょう。トーク画面上のチャットボットが必要な操作を案内してくれますから、まさに説明書は要りません。そこで当社では、LINEをはじめとしたデジタルツールをベースに住民視点のオンライン化を実現する、『GovTech Express』を提案しています。

―どういった特徴がありますか。

 ひとつは、LINEの公式アカウント上に、多様な機能を実装できることです。これにより、「公的個人認証サービスを活用した証明書の申請」や「ごみ分別・収集の申し込み」「施設の検索・予約」「アンケート」など、自治体と住民をむすぶあらゆるサービスをLINEのトーク画面で完結させる仕組みを構築できます。

  『GovTech Express』では、多くの自治体での利用が想定される機能をテンプレートとして用意していますが、自治体の職員がそれぞれのニーズに合わせて柔軟に機能をカスタマイズできる点にこそ、大きな特徴があります。

現場から生まれた便利機能を、自治体間で共有しあえる

―どのように機能をカスタマイズできるのですか。

 「公的個人認証サービスとの連携」や「キャッシュレス決済」など、さまざまなコンポーネント*1を組み合わせて、ノーコードで機能を開発することができます。その際、『GovTech Express』はサブスクリプション型の契約形態であるため、新たな機能の開発や修正に追加費用がかかりません。これにより自治体は、予算化や事業者への委託に時間をかけることなく、住民サービスのオンライン化を進められるのです。ある導入自治体では、原課の職員が「学校の欠席連絡」といった独自の機能をいくつも開発しています。『GovTech Express』では、こうした現場で生まれた便利な機能を自治体間で共有することもできます。

―今後、どのような方針で自治体を支援していきますか。

 当社は創業以来、自治体と伴走し、DXによって住民の暮らしを豊かにすることに、主眼を置いてきました。そのため、LINEを活用した住民サービスのオンライン化は、あくまでも手段のひとつに過ぎないと当社は考えています。そこで現在は、LINEを使わない住民に対しても、Webや電話応答システムを介して便利な住民サービスを横展開できる仕組みを『GovTech Express』に構築しているところです。住民視点に立った「真のDX」を目指す自治体のみなさまは、お気軽にご連絡ください。

中嶋 一樹 (なかじま かずき) プロフィール
昭和53年、大阪府生まれ。平成13年に大学を卒業後、一貫してエンジニアを務める。日本オラクル株式会社、株式会社セールスフォース・ドットコム(現:株式会社セールスフォース・ジャパン)、LINE株式会社などを経て、平成31年に株式会社Bot Expressを設立、代表取締役に就任。

機能活用の事例

宮崎県串間市

施設予約をLINEで受け付け、電話対応の負担から職員を解放

[提供] 株式会社Bot Express

串間市は令和3年度、市内に新たなキャンプ場を開設した。当初、利用予約は電話で受け付けており、職員は1件最長10分間の対応を、多い時期で1日数十件行い、業務負担が増大していた。そうしたなか、庁内の別部署で活用されている『GovTech Express』に着目。キャンプ場の予約をLINE上で行える仕組みを構築した。利用者は、スマホを使って簡単に予約を済ませられるようになり、職員も電話対応の負担から解放された。現在、LINEを介した予約は全体の約9割を占めている。今後はアンケート機能を用いて収集する利用者の声を参考に、市全体の観光促進も強化していく方針だ。


株式会社Bot Express
設立 平成31年2月
資本金 1億円
従業員数 7人(令和4年7月現在)
事業内容 官公庁専用対話型アプリケーション『GovTech Express』の開発提供
URL https://www.bot-express.com/
問い合わせメールアドレス hello@bot-express.com
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