群馬県千代田町の取り組み
仮想ブラウザによるネットワーク分離
Web会議も可能な業務用端末を「ブラウザ型」の仮想分離で構築
千代田町 企画財政課 企画調整係 主任 近藤 雅人
※下記は自治体通信 Vol.45(2022年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
コロナ禍を背景にWeb会議が普及するなど、インターネット利用のニーズが変化するなか、そのニーズに合わせてネットワーク分離の方法を見直す自治体が増えている。そうした自治体の一つである千代田町(群馬県)は、「仮想ブラウザ型」のネットワーク分離環境を構築し、業務効率を大きく向上させた。取り組みの詳細を、同町企画財政課の近藤氏に聞いた。
[千代田町] ■人口:1万1,066人(令和4年10月末現在) ■世帯数:4,633世帯(令和4年10月末現在) ■予算規模:81億7,956万円(令和4年度当初) ■面積:21.73km2 ■概要:利根川中流域の左岸に沿って東西に細長く延びた平坦地にあり、東京から60km圏内に位置する。江戸時代には、利根川を利用した江戸への水運の拠点として繁栄を誇った。近年は、町内にあるビール工場が生産する商品をふるさと納税の返礼品に取り入れ、「ビールの町」としてPRする戦略を展開している。令和4年4月1日に町制施行40周年を迎えた。
利便性の高さを最重視し、仮想化ソリューションを検討
―ネットワーク分離の方法を見直した経緯を教えてください。
当町ではこれまで、物理的に端末を使い分ける方法でネットワークを分離していました。インターネット専用端末は40台を整備していましたが、業務でインターネットを利用する職員は150人。コロナ禍を背景にWeb会議を行う機会が増えると、ニーズに端末の数が追いつかなくなってきました。そこで、全職員が自席の業務用端末でインターネットを使える必要があると考え、仮想化技術を用いた分離の方法を検討し始めました。
―検討を進める際、どういったことを重視しましたか。
情報セキュリティを担保できることを大前提に、利便性の高さをもっとも重視しました。たとえば、簡単な操作でインターネットを利用できるようなソリューションを探しました。そうしたときにシステム事業者のジーシーシーから提案を受けたのが、ジェイズ・コミュニケーション社の仮想ブラウザ『RevoWorks Browser』でした。デスクトップ上のアイコンをクリックするだけで「コンテナ」と呼ばれる仮想領域にブラウザが立ち上がるなど、シンプルな使い勝手を評価。さっそく導入を決め、令和4年4月から運用を始めました。
―導入効果はいかがですか。
職員は自席の業務用端末から手軽にWeb会議を行えるようになりました。仮想化ソリューションのなかには、カメラやマイクなどデバイスの認識ができず、Web会議には適さないものもあると聞いていましたが、『RevoWorks Browser』の場合、ブラウザがローカルコンテナ内で起動し、デバイスの認識・制御ができるため、Web会議もスムーズに行えます。
このほか、インターネットからLGWAN環境へのファイル授受が手軽な点も職員から好評です。
簡単なクリック操作だけで、ファイルを無害化できる
―どのようにファイル授受を行えるのですか。
Webサイトやメールでファイルをクリックし、メニューから「ダウンロード」を選ぶだけで自動的に無害化処理が行われ、安全なファイルがLGWAN環境内のフォルダに格納されます。デスクトップ上でインターネット環境とLGWAN環境を切り替えたり、別のファイル無害化ソフトを使ったりする手間がかからないのです。
―今後の活用方針を聞かせてください。
インターネットの利用は、まちの魅力発信や、災害時の情報連携など、自治体業務においてますます欠かせないものになっています。『RevoWorks Browser』によって構築できた、安全で利便性の高いインターネット利用環境のもと、今後も職員の業務効率化を進めていきたいですね。
支援企業の視点
導入コストを抑えても、利便性の高い仮想分離は実現可能
株式会社ジーシーシー 本社営業部 マーケティング営業グループ 齋藤 拓也
ジェイズ・コミュニケーション株式会社 RevoWorksビジネスユニット 営業部 第1グループ リーダー 佐藤 智恵理
―ネットワーク分離の方法を見直す自治体は多いのですか。
齋藤 多いですね。Web会議の普及や総務省による自治体情報セキュリティ対策の見直しなどを受け、より利便性の高いネットワーク分離方法を検討する自治体は増えています。またその際は、従来よりも安価な分離ソリューションを選びたいと考える自治体も少なくありません。
そうした自治体に当社では、仮想ブラウザ型の『RevoWorks Browser』を提案しています。ブラウザのみを仮想化する仕組みのため、ライセンス料がかかるVDIなどと比べてコストを抑えてネットワーク分離を図れます。また、画面転送型とは異なり、端末内の仮想領域にブラウザを立ち上げる「環境分離型」であるため、カメラやマイクなどデバイスの認識・制御も可能となり、Web会議でも映像や音声を伝送できる点も特徴です。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
佐藤 当社の仮想ブラウザソリューション『RevoWorks』シリーズは、平成28年から提供を開始し、これまでに200を超える自治体で導入されてきた豊富な実績があります。仮想ブラウザと一体化させた無害化処理機能や、「環境分離型」の製品は、実際の自治体現場における声をもとに当社が開発を進めてきたものです。今後も、現場のニーズを汲み取り機能強化を図りながら、自治体における情報セキュリティの担保と業務効率化の向上を支援していきます。
齋藤 拓也 (さいとう たくや) プロフィール
平成4年、群馬県生まれ。平成27年、株式会社ジーシーシーに入社。おもに群馬県内の自治体の運用フォローや新規商材の提案を担う。
佐藤 智恵理 (さとう ちえり) プロフィール
平成5年、北海道生まれ。人材業界の営業を経験し、令和2年、ジェイズ・コミュニケーション株式会社に入社。おもに『RevoWorks』シリーズの営業を担う。
株式会社ジーシーシー
ジェイズ・コミュニケーション株式会社
設立 |
平成7年4月 |
資本金 |
2億3,750万円 |
売上高 |
120億3,800万円(グループ連結、令和3年12月期) |
従業員数 |
210人(令和3年12月31日現在) |
事業内容 |
ネットワークセキュリティ事業 |
URL |
https://jscom.jp/ |
お問い合わせ電話番号 |
03-6222-5858 (平日 9:00〜17:45) |
お問い合わせメールアドレス |
revo_pr@jscom.co.jp |
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