民間企業の取り組み
学校現場のDX
「保護者ポータルサイト」の活用で、保護者の利便性が大幅に向上
日本ソフトウェアマネジメント株式会社
事業推進第1部 バイオグループ 横山 頌弥
製品企画 松井 瑞菜
※下記は自治体通信 Vol.49(2023年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体を取り巻くあらゆる領域において、DX推進が加速している。そうしたなか、自治体向けにシステム導入を支援している日本ソフトウェアマネジメントの横山氏は、「現状、学校と保護者とのコミュニケーションでさまざまな課題が発生しているため、いち早くDXを推進させていくべき」だと指摘する。その理由と解決策を、同社の松井氏も交えて聞いた。
紙やメールでの情報伝達は、正確性や機密性などが課題
―学校と保護者の間の情報伝達における現状の課題はなんでしょう。
横山 現在、ほとんどの公立学校にて、保護者への情報伝達をアナログな紙ベースで行っている点です。学校から保護者への連絡は、児童や生徒に紙を手渡しして行われます。そのため、小中学校の場合は児童や生徒が保護者に渡す前に紛失したり、渡すのを忘れたりするケースが多いようです。また、高校生の場合も、家庭内での密なコミュニケーションがどうしても難しくなるタイミングのため、同じくコミュニケーションロスのリスクは存在します。
―保護者との連絡にメールを活用する学校も多いようです。
松井 紙でのやりとりでも同じことが言えますが、メールの場合、「機密性が担保できない」という問題があります。現在のメールセキュリティ技術では外部からの脅威に対して、個人情報などの重要事項を完全に保護できるとは正直言えません。そのため、「個人情報にかかわる連絡ができない」など、どうしても伝達できる内容に制限がかかってしまうのです。
―良い解決法はありますか。
松井 高い機密性を担保しつつ、保護者とデジタルで情報を共有できる方法があります。たとえば、私立大学では「保護者ポータルサイト」を使って保護者とやり取りするのが一般的ですが、当社では、それを公立の小中高校向けに提供しています。ポイントとしては、各保護者に「マイページ」を付与し、そこに学校や教育委員会が情報を送る仕組みだという点。マイページはログインIDとパスワード、希望があれば二段階認証によって管理するため、第三者に情報がもれる可能性が非常に低いです。その結果、さまざまな情報を伝達することが可能となります。
サービスの浸透を通じて、教育のDXにも貢献したい
―たとえば、どのような情報伝達ができるでしょう。
横山 当社が提供している学校給食管理システム『給食マネージャ』と、学校徴収金管理システム『徴収マネージャ』を連動させることで、学校関連徴収金の納入・未納状況をまとめて情報伝達することができます。保護者への情報格納の通知はメールにて行われ、保護者はポータルサイトから納付状況を確認できるのです。そのほか、事前に引き落とし日を伝えたり、引き落としが不能だった場合の連絡をしたりといった細かなやりとりも「保護者ポータルサイト」を通じて簡単に行えるのです。
一方で、保護者からの連絡受付も可能です。年度初めの給食申し込みやアレルギーの情報申請、欠食申請、出欠席など、さまざまなやりとりを行えるのです。
―今後の自治体における支援方針を教えてください。
松井 「保護者ポータルサイト」を浸透させることで、機密性を担保した学校および教育委員会と保護者との円滑なデジタルコミュニケーションを支えていくとともに、教育のDXにも貢献していきたいですね。このようなポータルサイトがあれば、特別支援級の職員と保護者の密な連絡なども可能となりますので、さらにデリケートな連絡の手段にも有用です。
横山 「保護者ポータルサイト」の活用は、すでに私立大学では一般化されている一方、公立の小中高校では、浸透しているとは言えません。「保護者ポータルサイト」によって、機密性を保持したデジタルコミュニケーションの重要性を啓発していきたいと思います。興味がある自治体のみなさんは、ぜひ問い合わせてください。
横山 頌弥 (よこやま しょうや) プロフィール
平成6年、高知県生まれ。平成30年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。AIの研究開発業務に携わり、現在は「保護者ポータルサイト」の開発を担当している。
松井 瑞菜 (まつい みずな) プロフィール
平成9年、神奈川県生まれ。令和2年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わり、システム操作研修や新規製品企画を担当している。
日本ソフトウェアマネジメント株式会社