和歌山県広川町の取り組み
リースを活用した設備の導入
「リース方式」を活用して、予算と手間を抑えた設備投資を実現
広川町 総務課 財政班 財政班長 山本 久司
※下記は自治体通信 Vol.49(2023年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
庁舎において大がかりな設備投資を行う際、財源の確保に頭を悩ます自治体職員は多い。そうしたなか、広川町(和歌山県)では、空調設備の更改においてリース方式を活用。予算を抑えた無理のない更改を実現したうえに、ほかの設備もまとめてリースすることで、別のメリットも得られたという。同町総務課の山本氏に、詳細を聞いた。
[広川町] ■人口:6,640人(令和5年2月28日現在) ■世帯数:2,832世帯(令和5年2月28日現在) ■予算規模:87億3,307万円(令和5年度当初) ■面積:65.35km2 ■概要:和歌山県の中心に位置し、有田郡の最南端にあり、町中央を広川が流れ紀伊水道に注いでいる。古く鷹島遺跡の縄文前期から始まり、その後の文献によると広川町全域は広庄と呼ばれ、古代末期から中世初期にかけて熊野路往還の地として賑わった文化融合の地として発展してきた。四つ手網という漁具を使ってシロウオを捕る「シロウオ漁」は、この地方独特の漁法で、春の到来を告げる風物詩として知られる。
更改には多額の費用が必要で、予算を抑える方法を模索
―広川町が空調設備を更改した背景を教えてください。
当町の庁舎は平成9年に竣工しましたが、経年劣化や海が近いことによる塩害もあって、頻繁にエアコンが故障していました。特に近年は夏場の猛暑が続いていたので、エアコンが止まってしまうと、職員が熱中症になる恐れがありました。また、冷却にフロンガスを使用していたこともあり、環境面の観点からも空調設備の更改は喫緊の課題でした。
―いかにして更改の検討を進めていったのでしょう。
いざ更改を図ろうとすると、多額の予算が必要になります。予算を組むのも大変ですし、それだけの大型工事となると、準備にも時間がかかります。そのため、できるだけ予算を抑える方法を模索しました。そうしたなか、NTT・TCリース社から「リース方式」による工事の提案を受けました。当町でもサーバや公用車などはリースで導入していましたが、「そんな大型設備のリースも可能なのですか」と少々驚きましたね。リース方式であれば、設計から工事、保守にいたるまで、すべての費用が年間定額のリース料に含められるとのことでした。それであれば、初期費用を大きく抑えられるほか、毎年かかる修繕費などを平準化することができます。これ自体にメリットを感じましたが、ほかにもメリットがありました。
―どのようなメリットですか。
当町では、空調設備に加え、照明器具と火災報知器においても見直しの時期を迎えていたのですが、2つともリース方式による更改が可能ということでした。これらをまとめて更改すれば、それぞれ仕様書を作成して、事業者を選定するといった手間が省けます。職員の業務効率化にもつながることから、3つの設備をまとめた公募型プロポーザル方式の入札を実施。結果、NTT・TCリースの提案が採用されました。
令和4年9月に契約し、順次工事を行い、令和5年2月にすべての工事が完了しました。
複数選択肢を提示できるのは、リース会社ならではの魅力
―今回、設備投資でリース方式を活用したことに、どのような意義を感じていますか。
先ほど話したメリットはもちろん、当町のニーズに合った設備を提案してくれた点が良かったですね。たとえば、空調設備では、ガスエアコン、ビル用マルチエアコン、電気式エアコンを提案してもらいました。ランニングコストなどを総合的に判断して、電気式エアコンを採用したのですが、限定されずに複数の選択肢を提示してもらえたのも、さまざまなメーカーと取引があるリース会社ならではの魅力だと思います。
また今回、リース方式を活用したことで、設備投資をする際の選択肢が広がったと感じています。空調設備の更改といった大きな工事はそう何度もあることではありませんが、今後新たな設備投資が必要になった際には、リース方式も積極的に検討していきたいと考えています。
支援企業の視点
多くの実績を持つリース会社なら、各ニーズに合った提案が可能
NTT・TCリース株式会社 関西支店 法人営業担当 専任課長 末光 宣文
―広川町のように大型の設備投資にリース方式を選択する自治体は多いのですか。
かなり増えているという印象です。情報機器などをリースで導入しているケースは多いものの、大型の設備投資にリース方式を活用できることはあまり知られていません。そこで、当社が「こういった設備もリースできますよ」と啓発活動をすることで、メリットを感じた自治体が導入する。そして、それを知った別の自治体が興味を持つ、といった連鎖が生まれつつあると感じています。
―リース会社を選ぶ際のポイントはなんでしょう。
やはり多くの実績を持つ事業者を選ぶべきですね。たとえば当社の場合、エヌ・ティ・ティ・リースの時代から30年以上にわたって中央省庁を始め、全国の自治体への提案実績があります。その経験とノウハウから、各自治体のニーズに合った最適なソリューションを提案します。自社製品を持たないぶん、各メーカーのあらゆるソリューションを提案できるのも強みです。
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
初期投資が抑えられ、費用の平準化が図れるリース方式を広めていくことで、財源の確保に悩む自治体の設備投資の支援を行っていきたいですね。また、広川町のように、複数の設備をまとめてリースすれば、職員の業務効率化にもつながります。当社では、さまざまな設備をリース方式で提案できるので、設備投資でお悩みの際は気軽に相談してほしいですね。
末光 宣文 (すえみつ のりふみ) プロフィール
大阪府生まれ。昭和63年、エヌ・ティ・ティ・リース株式会社(現:NTT・TCリース株式会社)に入社。令和3年より現職。現在は、自治体向けリース営業に携わっている。
NTT・TCリース株式会社