※下記は自治体通信 Vol.62(2024年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
各自治体では、令和2年度よりGIGAスクール構想に基づき、児童・生徒への「1人1台端末」を整備し、ICT端末の活用を進めてきた。国は、端末更新時期を迎える令和6~7年度以降を「GIGAスクール構想第2期(以下、GIGA第2期)」と位置づけ、教育DXのさらなる推進を図る方針だ。そうしたなか、現在多くの自治体が端末更新を検討している状況において、「リース方式」で端末を更新したのが台東区(東京都)。同区担当者に、「リース方式」を採用した理由などを聞いた。
[台東区] ■人口:21万5,954人(令和6年11月1日現在) ■世帯数:13万7,024世帯(令和6年11月1日現在) ■予算規模:1,720億3,250万円(令和6年度当初) ■面積:10.11km² ■概要:東京23区のほぼ中心に位置し、区西部に位置する上野公園周辺は芸術・文化施設が集積しており、世界文化遺産にも登録されている国立西洋美術館を有する。区東部は雷門で有名な浅草寺や隅田川花火大会などの四季折々の多彩な行事により、国内で有数の観光地となっている。
台東区
教育委員会 庶務課 教育情報システム担当 課長補佐
八幡 克典やはた かつのり
端末活用が「日常化」するなか、破損や不具合など劣化も進行
―台東区がICT端末を更新するに至った経緯を教えてください。
八幡 当区では令和2年度から、区内小・中学校の全児童・生徒にICT端末を配備しており、教員用や予備機も含めるとその数は約1万1,000台にのぼります。この間、授業や家庭学習における端末の活用が日常化するなど、GIGAスクール構想が目指す「個別最適かつ協働的な学び」の推進に取り組んできました。一方、破損や経年劣化に伴う端末の不具合も年々増加してきたのも事実です。そこで、令和6年度に全体の約3分の1にあたる3,680台を更新し、翌年度に残りの端末を更新する計画を立てました。
常川 端末の更新には、直接購入する方法もありますが、当区は「リース方式」を採用することとし、令和6年6月に行った入札の結果、NTT・TCリース社を事業者に選定しました。
―なぜ「リース方式」を採用したのですか。
八幡 もっとも大きな理由は「財政負担の平準化」です。当区では、令和2年度の端末整備でも「リース方式」を採用しています。仮に全台数を直接購入すると、単年度の財政負担が大きくなることから一斉整備が難しくなり、「教育の公平性」が保てない可能性もありました。「リース方式」を採用することで、複数年度にわたって費用を平準化でき、単年度の財政負担が軽くなることから、一斉に整備することができました。
常川 また、今回はリース期間をこれまでの5年から3年に短縮しました。使用期間に応じて柔軟にリース期間を設定できるため、劣化や不具合など端末の陳腐化が進行する前に更新し、その時点での最新の機種を児童・生徒に配備することが可能となりました。この点は「GIGA第2期」における「ICT教育の強化」のためにも、非常に重要な要素だと捉えています。
職員の事務負担も軽減
―「GIGA第2期」以降の端末更新はどのように進める予定ですか。
八幡 今後も「リース方式」の採用を検討しており、毎年3分の1の端末を新品へと更新していく予定です。計画的にこうした予定が立てられるのは、「リース方式」の活用によって、私たち職員の事務負担が軽減されることも大きな要素だと考えています。たとえば、端末の固定資産管理が不要になり、保守サービスや、リース終了後の端末についての「適正処分」までリース事業者に一括して依頼できます。特に「適正処分」については、国からも明確な指針が示されており、信頼できるリース事業者が責任を持って実行してくれる点は、私たち職員にとっての安心材料にもなります。
「適正処分」も任せられるリースなら、スムーズに端末の更新を進められる
NTT・TCリース株式会社
営業推進部 法人営業推進部門 ビジネスフロンティア推進室
佐藤 優衣さとう ゆい
埼玉県出身。大学卒業後、令和2年、NTTファイナンス株式会社(現:NTT・TCリース株式会社)に入社。おもに国内リース業務の推進に携わっている。令和5年から現職。
―端末更新で「リース方式」を検討する自治体は増えていますか。
とても増えています。前回の「1人1台端末」の整備では、コロナ禍の影響で、自治体は予定よりも前倒しでの整備を迫られました。そのため、整備方法をじっくり検討する時間がなく、「直接購入」を選択した自治体も多かったようですが、「GIGA第2期」では、「リース方式」に関心を持つ自治体が増えています。
―どのような点に関心を持っているのでしょう。
やはり「財政負担の平準化」です。物価高の影響により端末単価が上昇していること、国からの補助はあるものの、費用の3分の1は自治体負担となることなど、財政負担増を懸念する自治体は多いです。そのほか、特に注目されているのは「旧端末の適正処分」です。今回、旧端末の再使用または再資源化などの適切な処分が国から求められており、直接購入して整備した自治体はこの対応に苦慮されています。その点、「リース方式」なら端末の処分まで一括して行うことができます。当社の場合は、リース満了物件の処分で数多くの実績のある連結子会社のNTTファイナンス・アセットサービスが適正な端末処分を行うため、自治体は安心してスムーズに端末更新を進められます。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社は特定のメーカーに偏ることなく、自治体の要望に応じた最適な端末選定が可能です。また、GIGAスクールをはじめとした各種補助金の申請実績が多数あり、専門部署による補助金申請手続きの支援も行っています。ぜひご連絡ください。