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イベントリポート
イベント2024.09.17

「空き家対策」で官民の英知が結集、第4回「アキカツ会議」が神戸で開催

「空き家対策」で官民の英知が結集、第4回「アキカツ会議」が神戸で開催
このイベントを主催する企業
空き家活用株式会社
空き家活用株式会社

※下記は自治体通信 Vol.60(2024年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

人口減少や都市部への人口流出などを背景に、特に地方で深刻化する「空き家問題」。この社会課題に取り組む自治体の事例や国の支援策、民間企業との連携など対策の最新トレンドを発信するカンファレンス『アキカツ会議2024』が、令和6年7月26日、神戸市内において開催された。当日は、オンライン参加も含め、全国の自治体職員を中心に560人以上の参加者を集め、空き家対策に対する関心の高さが示された。ここでは、同会議の内容をリポートする。

空き家を「資産」と捉える、最新の対策事情を共有

 『アキカツ会議』は、「空き家問題」の実態把握から利活用促進まで一気通貫で自治体をサポートしている民間企業、空き家活用株式会社が主催しており、今回が第4回目の開催となる。

 令和5年12月に施行された「空家等対策特別措置法(以下、特措法)」の改正から半年を経て、行政の対策はどのように変化したのか。会議では、こうした問題意識のもと、国や自治体の担当者、さらには空き家問題に関心を持つ民間企業担当者が参加。空き家を「資産」と捉え、その利活用によって観光拠点や移住者確保につなげる最新の対策事情が共有されるとともに、あるべき官民連携の新たなかたちについて議論が展開された。

「管理不全空家」への指導は、「予想を上回る驚きの数字」

 会議の最初は、空き家活用株式会社代表取締役の和田貴充氏がファシリテーターを務め、国土交通省 住宅局 住宅総合整備課 住環境整備室 室長の石井秀明氏、神戸市建築住宅局長の根岸芳之氏による「特措法改正から半年 これからすべきこと得られること」と題したセッションが開かれた。ここで石井氏は、特定空家に至る前の活用を促す改正特措法の振り返りとして、令和6年3月末時点の最新統計データを示し、全国の自治体での措置状況を解説。「今回新たに指定された、特定空家予備軍といえる『管理不全空家』への指導が、すでに1,091件を数えています。また、特定空家への緊急代執行という新たな仕組みも5件実施されています。いずれも予想を上回る驚きの数字でした。このわずかな期間での数字を見ると、この仕組みが待ち望まれていたのではないでしょうか」と指摘している。

 一方、根岸氏からは神戸市の取り組みが紹介された。1つは、補助率1/2、最大500万円の補助で行う「建築家との協働による空き家活用促進事業」。空き家を魅力的な物件にリノベーションし、まちのにぎわいにつなげている事例が示された。また、「民間主導による空き家活用促進事業」では、空き家の減少や発生の未然防止に取り組む事業者を神戸市に呼び込んだ手法が紹介された。

政策遂行には型が必要。新たな官民連携方式の提唱も

 続くセッションでは、一般社団法人全国空き家アドバイザー協議会理事長の井上幸一氏、あいおいニッセイ同和損害保険 株式会社 次世代商品R&D Lab室室長の武下大祐氏、空き家活用株式会社取締役の坂井裕之氏が、「空家対策を進める官民連携の理想モデルが見えた」をテーマに語った。ここで坂井氏は、「政策を効率的に進めるためには、型が必要」と指摘し、「外部流入者の獲得」と「事業者の種類」の多寡を軸に分類した「都市型」と「地方型」の施策立案スキームを紹介した。また、型を構成する重要な要素として、官民連携のあり方にも言及。従来の「専属民間連携型」と「直接多連携型」とは異なる、「官民民連携型」のかたちを提言した(上図参照)。自治体と各民間業者をつなぐ民間の存在を用意することで、自治体による民間企業のマネジメントコストを下げ、事業拡大につなげる効果が期待できるという。空き家活用株式会社からは、1,245自治体から得た空き家対策のアンケート結果を集計した「統計と傾向」、集計結果から政策の型を考察する「分析と型」という2つの資料も紹介された。

主催者から
空き家対策の先進事例を紹介。未来志向のまちづくりのヒントに
プロフィール
和田 貴充
空き家活用株式会社
代表取締役
和田 貴充わだ たかみつ

特措法の改正に加え、全国の空き家件数が900万戸に達したという「令和5年住宅・土地統計調査」の結果を受け、空き家対策の緊急度が増しています。一方で、「有効な空き家対策の方法論がわからない」と頭を悩ませている自治体はじつに多いです。当社では過去3年間、「空き家対策問題白書」を発表してきましたが、それらの知見を活かすかたちで4年目の今年は、空き家対策を類型化し、都市と地方に分けた政策モデルを提示しています。これを政策立案の参考書「分析と型」として発信できたのは、今回の会議の意義だと自負しています。空き家はどんどん古くなり、問題は深刻化していく一方、早くに着手すれば解決も早いです。空き家対策の課題は多くの自治体で共通しています。この機に、最新の情報を得て、未来志向の魅力あるまちづくりのヒントにしてください。


空き家活用株式会社

  • 設立/2014年8月
  • 資本金/1,000万円
  • 事業内容/アキカツ自治体サポート(アキカツ調査クラウド:空家の実態把握調査の一括委託サービス、アキカツクラウド:物件データの物件単位での一元管理DB、アキカツカウンター:所有者堀り起こしから相談受付・事業者連携のワンストップ窓口、アキカツナビ:空家物件情報の広報・情報発信、アキカツ総研:空家領域の政策・事業の勉強会(月1のオンラインサロン、年1イベント等))、
    スピンオフサービス(空き家いったん安心保険:空家所有者が加入できる賠償責任保険、アキカツローン:空家の対処に使える地銀提供のローン商品、ええやん空き家やんちゃんねる:空家物件や街の情報YouTubeちゃんねる
  • URL/https://aki-katsu.co.jp/#service
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