【口座振替・事例】「口座振替申込手続き」の電子化で、徴収金業務はもっと効率的になる
(集金代行サービス / 大阪ガスファイナンス)


※下記は自治体通信 Vol.64(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
学校現場で定期的に発生する学校徴収金などの徴収業務。教職員の長時間労働是正を目的に、徴収金を保護者の口座から自動で引き落とす「口座振替」を導入して現金を取り扱う業務の負担軽減を図る自治体は多い。この口座振替の活用について、集金代行サービスなどを手がける大阪ガスファイナンスの畑氏は、「口座振替には、まず申し込みに伴う事務が発生し、課題と感じる自治体も少なくない」と指摘する。指摘の詳細を、同氏に聞いた。

口座振替の申込手続きは、繁忙期に発生する
―学校徴収金の徴収業務をめぐる、自治体の動きをどのように見ていますか。
多くの自治体で、学校徴収金の処理を従来の現金徴収から口座振替に変更する動きが進んでいます。現金徴収では、保護者からの集金や、高額な現金の管理、金融機関への支払いなどに、教職員が大きな事務的・心理的負担を抱えていることが多いです。文部科学省でも、学校徴収金の徴収・管理を「基本的には学校以外が担うべき業務」と分類しています。そのため、今後も口座振替を導入する自治体は増えていくと見られます。ただし、すでに導入している自治体では、新たな課題が浮上しているケースも少なくないようです。
―どのような課題ですか。
毎年、学校の繁忙期に当たる入学シーズンに、紙媒体の「口座振替依頼書」を用いた手続きに教職員の負担が新たに生じてしまうことです。紙媒体を用いる場合、教職員は保護者から依頼書を集め、それを金融機関などの事業者に送ります。その後、事業者側で口座振替の設定を行うのですが、そこで依頼書の不備が判明した場合、依頼書が返送され、教職員には記載内容の訂正を保護者に求める必要が生じます。紙を使ったアナログな手続きであることから、設定の完了までにも時間がかかるため、このときの対応によっては手続きに遅れが生じ、引き落としができないという事態も起こりかねません。そのため教職員は、児童・生徒の入学が決まってから初回の口座引き落としまでの期間、この手続き対応に追われてしまうのです。
―そうした課題はどのように解決できますか。
口座振替の申込手続き自体を一部電子化することで解決できます。たとえば当社の集金代行サービスにおける「Web口座振替受付サービス」では、オンライン集金管理ツールから発行された2次元コードを保護者がスマホで読み取ることで、口座振替の申し込みをWeb上で行えます。保護者のスマホ操作だけで手続きが完結するため、教職員は口座振替依頼書の収集や提出、記入の不備に伴う対応から解放されます。口座振替の申込結果の確認や、その後の口座振替の請求および徴収結果の確認などは、すべてオンライン集金管理ツールで簡単に行うことができるため、別途帳簿で管理する手間も軽減できます。
また、当社の集金代行サービスでは、学校徴収金を入金する保護者の利便性を高めることで、結果として徴収率の向上につなげることもできます。
コンビニ決済にも対応し、より確実な徴収を目指せる
―詳しく聞かせてください。
当社の口座振替で対応できる金融機関の中から、保護者は振替用口座を任意に選べるようになります。給与の入金用口座と振替用口座を同一にすれば、振替時の残高不足を防ぎ、より確実な徴収につなげられるのです。また、学校側ではオンライン集金管理ツールを通じて、自治体のプリンタでコンビニ決済用の払込用紙を発行することもできます。24時間いつでも払い込みができるコンビニ決済によって、保護者の利便性は高まるでしょう。導入自治体からは、「引き落としができなかった際に、督促状を送るよりも、払込用紙を送るほうが入金を意識付けることができる」という効果も報告されています。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社のWeb口座振替受付は、自治体のホームページなどの改修や、金融機関と口座データを連携するためのシステム開発も不要なため、低コストかつスピーディな導入が可能です。また、自治体の要望に応じて、学校徴収金の徴収業務を効率化できる機能や決済方法なども追加していきたいと考えています。
導入経緯
兵庫県の県立学校では従来、学校徴収金は各校が指定する金融機関に保護者が開設した口座から引き落としていた。口座内の残高不足によって引き落としができなかった場合は、学校の窓口で現金を徴収していた。その際、教職員には保護者に督促したり、徴収した現金を金融機関に振り込んだりする事務負担がかかっていた。そこで兵庫県教育委員会は、教職員の事務負担を減らすと同時に、保護者の利便性を高めるために、集金代行サービスの導入を決定。公募型プロポーザルを経て、大阪ガスファイナンスの集金代行サービスを選出した。同社のシステムでは、金融機関との口座データの連携に際してシステム開発が不要なため、導入のスピードやコスト面でのメリットを評価したという。
成果
県立学校164校、合計約8万人の生徒分を対象とした大規模な導入だったが、口座振替の手続きはスムーズに進んだ。口座振替申込を受け付けたうち、在校生分は「Web口座振替」の案内を2月に各校で実施し、4月には初回振替を開始できる状態を整えられたという。導入後は、保護者が保有する任意の金融機関口座からの引き落としが可能となった。口座振替申込に際し、保護者は新たな口座を開設する必要がなくなったほか、「Web口座振替」により、スマホで手軽に申し込めるようになった。振替不能時は、コンビニ納付によって徴収する運用に変更。教職員は、現金を取り扱う事務がなくなったほか、保護者もいつでも近くのコンビニで払い込めるようになり、利便性が高まったと評価されているそうだ。

創業 | 昭和58年1月 |
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資本金 | 6億円 |
売上高 | 135億4,000万円(令和6年3月期) |
従業員数 | 155人(令和6年4月現在) |
事業内容 | リース、クレジット・ローン、生命保険・損害保険募集代理店、集金サービスなど |
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