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兵庫県神戸市の取り組み
先進事例2025.04.14
システムによる避難所運営の効率化

【避難所管理・マイナンバー】実証実験であらためて確認できた、真に実用的な避難所運営システム
避難所マネジメントシステム / バカン

[提供] 株式会社バカン
【避難所管理・マイナンバー】実証実験であらためて確認できた、真に実用的な避難所運営システム(避難所マネジメントシステム / バカン)
この記事の配信元
株式会社バカン
株式会社バカン

※下記は自治体通信 Vol.65(2025年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

災害の頻発化・激甚化に備える自治体にとって、避難所の適切な運営は重要な業務となる。しかし、現在でも避難所の入所者管理は紙ベースで行われ、避難者が入所受付を長時間待たされる場面も多いようだ。これに対し、過去に大震災を経験した神戸市(兵庫県)では、阪神・淡路大震災から30年を機に課題を総点検するなかで、このほど避難所の入所者管理のデジタル化を実証実験において検証したという。同市担当者に、その成果などについて聞いた。

[神戸市] ■人口:148万7,586人(令和7年3月1日現在) ■世帯数:74万9,702世帯(令和7年3月1日現在) ■予算規模:2兆330億6,400万円(令和7年度当初案) ■面積:556.93km² ■概要:国際貿易港を中心に発展してきた日本を代表する大都市。海と山、魅力ある街並み、そして、美しい田園に恵まれた多様性を誇る。また、慶応3年の開港以来、多くの外国人が移り住み、常に海外からの多様な文化や新しい気風を取り入れながら、国際都市・神戸として個性豊かな発展を遂げてきた。製造業などの産業集積に加え、最先端のバイオ研究が進む「神戸医療産業都市」、世界最高レベルのスーパーコンピュータ「富岳」など国家プロジェクトが進められている。
インタビュー
松岡 恵子
神戸市
危機管理室 係長
松岡 恵子まつおか けいこ
インタビュー
近藤 充
神戸市
危機管理室 係長
近藤 充こんどう みつる

紙による受付では、入所管理に時間を要する

―神戸市が、避難所運営のデジタル化に向けた実証実験を行った経緯を教えてください。

松岡 当市では、令和6年能登半島地震で顕在化した課題に加え、阪神・淡路大震災後の社会情勢の変動やテクノロジーの進展なども踏まえて、災害対策の総点検を行っています。そこで浮上した改善テーマの1つが「避難者情報の効率的な把握と適切な対応」でした。従来は、避難所の受付は紙に必要情報を記入いただき、それを職員がデータベース化していました。しかし、大規模災害時には、避難者の把握に大幅に時間を要し、現場での職員の負担も大きいと課題を感じていました。

近藤 神戸市には避難所が322ヵ所ありますが、阪神・淡路大震災の教訓から、これらの運営は地域の自主防災組織とともに行います。発災当初は市職員がさまざまな業務に追われ、地域の協力が不可欠だからです。その意味からも、避難所運営を効率化する必要がありました。そこで、当市が「災害時避難施設に係る情報の提供に関する協定」を締結するバカン社との間で、避難所運営のデジタル化に関する実証実験を行ったのです。

―どのような実証実験ですか。

松岡 令和7年2月に行われた「灘区・中央区総合防災訓練」を利用して、同社が開発中の「避難所マネジメントシステム」を参加者に実体験してもらいました。このシステムは、避難所への入所受付手続きをデジタル化し、マイナンバーカードからの読み取りのほか、スマホ専用アプリや二次元コードを介したWeb入力によって、避難者のスムーズな受付と職員の負担軽減を同時に図るものです。当日は、参加者の中から年齢や性別の構成がバラつくように対象者12人を選び、3種類の方法で読み取りました。

アプリでは7秒、Web入力で16秒に短縮

―実験の成果はいかがでしたか。

松岡 DXで受付時間の大幅な短縮化が確認できました。具体的には、従来の避難者カードへの記入とその後のデータベース化で、避難者1人あたり79秒を要したのに対し、アプリでは7秒、Web入力とマイナンバーカードでは16秒に短縮化されました。システムでは、マイナンバーカードを持ち歩かない人、スマホ操作が不慣れな人も想定し、さらに通信が遮断された場合に備えて紙での受付にも対応しています。さまざまな入力ルートを確保しているシステムこそ災害時には実用的なのだとあらためて認識できました。

近藤 当日のアンケートでは、参加者からもシステムのほうがメリットを感じたと評価する声が多かったですね。市としても、日々災害対策の改善に力を尽くしていることを伝える良い機会になりました。

支援企業の視点
誰もが迷わず使えるシステムで、避難所運営の効率化を
インタビュー
五十嵐 則道
株式会社バカン
執行役員 DX事業本部 本部長
五十嵐 則道いがらし のりみち
千葉県出身。総合商社などを経て、組織人事コンサルティングファームの立ち上げに参画し、執行役員、取締役社長を歴任。その後、教育系スタートアップなどを経て、令和2年2月に株式会社バカンに入社。

―災害時の避難所運営をめぐる課題はどこにありますか。

 避難所の運営をいかに効率化するかは、もっとも重要な災害対策の1つとなります。過去の震災では、避難所への入所手続きを紙で行っていたため、数ヵ月たっても避難者名簿ができあがらないといった例もあります。そこで当社では、避難所運営を効率化する「避難所マネジメントシステム」を開発しています。

―特徴を教えてください。

 もっとも重視しているのは、避難所に初めて来た人でも迷わず使えるシステムであることです。マイナンバーカードや専用アプリ、二次元コードによるWebチェックインといった複数のルートから入力でき、免許証やパスポート、在留証明書などの券面情報からの読み取りにも対応していきます。当日、身分証明書を持っていない人、スマホ操作に不慣れな人でも誰もが簡単に使える仕組みです。また専用アプリを介して、トイレや給水所など近隣施設を表示するマップ連携機能や、自動で避難所の混雑状況を配信する機能も実装し、災害時に真に必要とされる機能を順次盛り込んでいます。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 当社では、日常でも使えるシステムこそが非常時でも有効に機能すると考えています。そこで現在、避難所マネジメントシステムには公共施設予約や電子回覧板といった機能を実装し、フェーズフリーの実現を想定したコンテンツ拡充を進めています。災害時の混乱をリアルに想定し、本当に使えるシステムを見極め、導入をご検討ください。

株式会社バカン
株式会社バカン
設立

平成28年6月

資本金

1億円

従業員数

約80人(令和6年5月1日現在)

事業内容

AI関連サービス

URL

https://corp.vacan.com/

お問い合わせ先
contact@vacancorp.com
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