複合機を導入する際に必要な情報が不足していた
―印刷環境において一宮市ではどのような課題がありましたか。
岩田 庁舎内で新たに複合機を配置する際、どこに設置するのか、どれくらいのスペックが必要なのかという基準が明確ではなかった点です。以前は、各課の希望や実績で判断していましたが、それだけでは複合機が適正に使われているかの判断がつきません。設置台数が多ければ便利ですが、最適化がされていなければムダなコストにつながります。情報推進課としても、効率的な配置を行うための情報が不足していました。
斎藤 以前から当市は「エコアクション一宮」という計画を定め、片面ではなく両面印刷、裏紙の有効活用など印刷枚数を減らす取り組みを全庁あげて行ってきました。さらに、コピー機のカウンターから印刷枚数を集計。複合機が導入されてからは端末からの印刷数も含めて集計し、印刷枚数を把握するよう努めてきましたが、一台を各課で共有している場合もあります。そのため、「どこの課が何枚印刷しているか」という内訳の把握まではできなかったのです。
―そんななか、印刷環境を可視化するシステムを評価導入したそうですね。ポイントはなんですか。
岩田 やはり使いやすさですね。それまで、印刷環境を可視化できるツールがあるのは知っていたのですが、当市に合ったものを探していました。日本テクノ・ラボのシステムは、たとえば一台の複合機を各課が共有していたとしても、A課、B課ごとの印刷枚数がわかり、どのように印刷したのかも把握できます。それもワンクリックくらいですぐ表示されるのが評価できる点です。
斎藤 端末側で簡単にインストールできる手軽さがあり、GUI画面も見やすく、利用状況をグラフ表示するなど、視認性が高いところも評価できるところですね。
―どんな効果を期待していますか。
岩田 いまは庁内の5階フロアのみで検証していますが、来年には全庁に導入したいと考えています。情報を収集して庁内で共有していくことで、カラー印刷が多いところは是正するように呼びかけ、個々人が、その印刷が適正かを意識することにつながれば、と。
斎藤 課ごとだけでなく、誰が印刷したかまでログが残るため、それを情報セキュリティ対策のツールとしても利用できると考えています。情報漏えいの7割がこうした印刷物が原因。危機管理の観点からも、ログをしっかり把握していきたいと考えています。
―今後の印刷環境改善の施策方針を教えてください。
斎藤 昨年度から管理職以上の職員にタブレット端末を配布したり、本庁舎の各会議室に端末とモニターを設置。さらに決裁は紙ではなくネットワーク上で行うなど、電子化・ペーパーレス化を積極的に行っているところです。今後は印刷環境がどうなっているかをきちんと把握することで、さらにペーパーレス化を促進し、コスト削減につなげていきたいですね。
いまは段階的にステップを踏んでいるところですが、ゆくゆくは個人認証と内容監査といった積極的な印刷セキュリティ面の強化も視野に入っていくと思いますね。