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先進事例2020.02.06

【金沢市】母子手帳アプリの活用で子育て支援(少子化対策の事例)

【金沢市】母子手帳アプリの活用で子育て支援(少子化対策の事例)

石川県金沢市 の取り組み

【金沢市】母子手帳アプリの活用で子育て支援(少子化対策の事例)

金沢市 保健局長 越田 理恵
金沢市 保健局健康政策課課長 山口 和俊

少子化対策が国にとって喫緊の課題となるなか、自治体でも各種子育て支援策を整備、市民に活用を呼びかけている。一方で、こうした情報が「市民に届いていない」と悩む自治体は多い。そんななか、金沢市(石川県)ではスマートフォンアプリを情報配信に活用している。そこで、金沢市の担当者にアプリ活用の経緯などについて聞いた。

※下記は自治体通信 Vol.09(2017年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

石川県金沢市データ

人口: 46万5,904人(平成29年5月1日現在) 世帯数: 20万2,591世帯(平成29年5月1日現在) 予算規模: 3,323億2,150万4,000円(平成29年度当初) 面積: 468.64km² 概要: 加賀藩前田家の城下町として栄え、加賀友禅や金沢箔、九谷焼などの伝統工芸や、能楽や加賀万歳などの伝統芸能が受け継がれてきた。五代藩主前田綱紀の時代には、日本中から有名な学者や貴重な書物を集め学問を奨励したことにより、「加賀は天下の書府」であると褒め称えられた。戦災や大きな災害を免れたため、藩政時代からの美しいまちなみが現在でも多く残っており、金沢市の貴重な財産となっている。

―金沢市はこれまで手厚い子育て支援を展開してきたそうですね。

越田:はい。金沢市は中核市になる以前から、保健所設置が認められた数少ない市として、母子保健事業には力を入れてきた歴史があります。たとえば、乳幼児健診については、一般的な3回の集団健診にくわえて、金沢市独自の医療機関委託の健診を4回設定しています。また、産後は保健師や助産師といった専門職による全戸訪問を徹底し、保健指導や育児相談の機会をつくっています。

山口:この手厚い支援体制が構築できた背景には、金沢で古くから培われてきた「公私協働」や「善隣思想」にもとづく、豊かな福祉の土壌があります。子育て支援の充実はその表れのひとつです。

―今回、『母子健康手帳アプリ』を導入した背景はなんですか。

越田:金沢市にはこれまで定期的に全戸配布される広報誌がなく、新聞に週一度、市の広報ページを設けてきました。しかし昨今、新聞の購読率が低下し、市の情報がなかなか市民に伝わらないことが、市全体の広報活動の課題となっていました。母子保健分野も同様で、「多くの子育て世代が利用しているスマホを活用して情報発信ができないか」と考えたときに、このアプリを知ったのです。

山口:『母子健康手帳アプリ』は、利用者の妊娠週数や子どもの月齢に応じて、その時期に必要な各種手続きや子育て関連の施策、制度などの情報を市から定期的に直接届けることができます。母子手帳のバックアップとして胎児期からの健康記録を長期間、保管することもできる。一方、市では定期配信する文面を一度作成すれば、子どもの月齢など登録情報に応じてタイムリーかつ自動的に配信できるのです。

越田:自治体によっては独自にアプリを開発する例もありますが、そうしたアプリは利用者が市外に転出した場合は使えない。母子手帳のバックアップとしては、全国どこでも使えるサービスでなければ意味がありません。その点でひまわりの会とNTTドコモの『母子健康手帳アプリ』は全国で普及する可能性があるかと思いました。

随時配信機能を活用すれば、緊急・災害時の発信ツールに

―現在どう活用していますか。

越田:予防接種や集団健診など月齢に応じた定期配信機能のほか、感染症や食中毒など緊急事案が発生した際に随時配信できる機能も活用しています。この4月には市内で麻疹が発生しましたが、その際は緊急でワクチンの接種勧奨をしました。従来使っていたSNSとは違い、利用者は受け身のまま情報を得ることができるので、緊急・災害時の情報発信ツールとしても十分に使えるはずです。

山口:今後は、アプリに搭載されたアンケート機能も利用し、各種イベントや教室の募集などにも活用することで、職員の事務作業負担の軽減などにも効果が得られることを期待しています。

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