―免税手続一括カウンターシステムを導入したきっかけはなんだったのでしょう。
5つの商店街による大分市中心部商店街振興組合連合会(以下、中振連)の主導による発案です。大分市は、2年後に控えたラグビーワールドカップの開催会場のひとつ。その翌年の東京五輪に備えるためにも「インバウンド環境を整えよう」というのが狙いです。
当市は、平成27年から別府市と由布市との共同発注で無料Wi-Fiを整備するなど、訪日外国人向けの取り組みを行ってきました。そんななか、中振連から免税手続一括カウンターシステムの話が出ましたので、「市も側面的な支援をしよう」となったのです。
―どのような支援ですか。
実際には、導入した商店街の店舗も含めた市内全域の免税店を紹介するWebサイトを立ち上げました。日、英、韓、中(繁体、簡体)、仏、タイの7言語に対応。昨年の10月から3月までで、海外からのアクセスは31ヵ国というデータが出ています。WebサイトをPRするため、各店舗に配布するチラシやポスター、ステッカーなどを作成したり、無料Wi-Fiとリンクさせるなどの取り組みを行っています。
―今後のインバウンド施策の方針について教えてください。
引き続き免税店をPRするほか、当市を紹介するPR映像(※)をリニューアルするなど、さまざまな施策を行っていく予定。世界規模のイベントに備え、訪日外国人が快適に過ごせる環境があることを積極的に情報発信していきたいです。
※PR映像 : https://www.oishiimati-oita.jp/sarutabi/
―商店街に対してどのようなサポートを行っているのですか。
中振連の事務局運営サポートです。具体的には個別の店舗にシステムの説明をしたり、申請書類の取りまとめなどを行っています。当社は、大分市と商工会議所が出資して設立された、まちづくりを推進する会社。その業務の一環で、商店街支援を行っているのです。
―サポートするうえで重視した点はなんでしょう。
店舗の方や商店街の事務局の方に、とにかくていねいに説明することです。大分市は別府市や由布市のような観光都市ではないため、店舗の方が訪日外国人の対応に慣れていないんです。高齢者の方も多いため、❝外国人❞というだけでプレッシャーになり、「大変そうだからやらない」となりかねません。そこで、「手続きは一括カウンターで行うので手間はかからない」「急激に外国人客が増えるわけではない」というように、不安を取り除くよう心がけました。
また、せっかくシステムを導入しても、参加店舗が少ないと意味がありません。そこで「個別ではなく、商店街全体で訪日外国人の方をもてなしましょう」と説得。結果、34店舗が参加してスタートすることができました。
インバウンド対応について、店舗からは「実際にやってみたら意外と簡単だった」といった声が上がっています。
―今後はどのような支援を行っていく予定ですか。
引き続き、店舗および商店街事務局の方に対し、「顔の見えるコミュニケーション」を図っていきます。ただ、こうした事業はまちの人が主体となり、想いをもって継続していく意識をもたないと長続きしません。そのため、今後は商店街の人が、想いをもって持続できる環境整備につとめていきたいです。