紙の使用量だけでなく機器ごとの稼働率も判明
―印刷コスト削減に手をつけた背景を教えてください。
岩澤:平成29年度にプリンタ、平成30年度に複合機をリプレイスする計画があり、「この機会に印刷コストを削減できないか」と考えたことです。
現状の各課1台のプリンタ設置が本当に必要か疑問でした。そこで平成28年度に、印刷実態を可視化できる日本テクノ・ラボのツールを導入したのです。
―印刷量は出力機のカウンタで把握できるのではありませんか。
岩澤:ええ。しかし、今回はただ紙の使用量を減らすのではなく、出力機の種類、台数、設置する場所なども含めて印刷環境を最適化して、全体的なコストを削減することを目標にしました。
川名部:その点、日本テクノ・ラボのツールは機器ごとの稼働率、つまり印刷できる最大能力に対して実際に使われている割合をはじめ、多くのデータが把握できる。そうしたデータをまとめた報告書や、どう最適化したらよいかの提案まで日本テクノ・ラボから支援を受けました。
―どんなことがわかりましたか。
川名部:出力機の非効率な配置が一目瞭然でした。50台以上のプリンタのほとんどが稼働率3%以下。複合機では一部の機器に印刷量が集中し、ほかは十分な余裕がありました。また、プリンタの消耗品や保守のコストを含んだランニングコストが、導入時の試算以上である実態も明らかになりました。印刷量、稼働率、印刷コストの3つが明確化されたことは、可視化ツール導入の大きな成果でした。
―そのデータを基礎にした最適化計画の内容を教えてください。
岩澤:稼働率が低く、ランニングコストが高いプリンタは全廃し、ネットワーク強靭化により導入したICカード認証を利用して印刷出力をすべて複合機に集約する。「そのためには、1フロアに2~3台の複合機があれば十分」という結論に達しました。リプレイスで調達する機器の台数を大きく減らせる見込みで、ランニングコストも低減できます。
また、印刷の出口を減らしたことで、印刷物からの情報漏えいリスクも低減できます。
印刷イメージログが残るのでムダな印刷を抑止できる
―各課にあったプリンタを廃止すると、出力機まで遠くなり、印刷物のセキュリティ対策上、問題が生じる心配はありませんか。
小倉:その問題が発生しないように、日本テクノ・ラボの印刷セキュリティシステムを導入します。管理者が過去の印刷履歴を、印刷イメージまで含めて閲覧することが可能になり、いつ、誰が、どの出力機で、どんな印刷をしたか判明する。実際に情報漏えいが起きたとき、誰による印刷が原因なのか特定できる。さらに、問題のある印刷をしなくなる効果が期待できます。
―職員の意識が変わるのですね。
小倉:はい。「無造作に文書をプリントアウトして見る」という習慣が改善できそうです。この効果と印刷環境の最適化により、15%の印刷量の削減を見込んでいます。
岩澤:当市の場合、印刷環境の最適化でコストを大きく削減。印刷セキュリティシステムを導入しても十分なコスト削減ができました。限りある予算をより有益なものに使っていきたいですね。