毎日3000枚の紙が新たな紙として生まれ変わる
―諏訪市は環境意識の高さが知られていますね。
ええ。古くは70年代、当時汚染が進んでいた諏訪湖を浄化しようと、県・圏域とも一体となり、対策に乗り出した歴史が諏訪市にはあります。その経験が、市民や市職員の高い環境意識を醸成するひとつのきっかけとなりました。 今年4月からセイコーエプソンのオフィス製紙機『PaperLab(ペーパーラボ)』をいち早く本格導入し、庁舎内で古紙リサイクル、再生紙生産に乗り出したのも、環境意識の高さが背景にあります。
―どのような導入効果を実感していますか。
いちばんは環境負荷の低減効果です。市では従来、機密文書はシュレッダーにかけて廃棄。一般文書は県外の業者に運び、トイレットペーパーなどにリサイクルし、再購入していました。しかしその間、再生工程では大量の水を使用。運搬工程ではトラックからCO2が排出されていました。それらの環境負荷が『PaperLab(ペーパーラボ)』の導入で大きく改善できます。そればかりか、機密文書を庁内で完全抹消し、新たな紙を生産してくれるのですから、まさに画期的な開発です。
―現場ではどのように活用されているのでしょう。
庁内では毎日平均、約5000枚の紙が廃棄されてきましたが、現在はそのうち約3000枚が『PaperLab(ペーパーラボ)』によって新たな紙として生まれ変わっています。各部署から回収・分別し、装置に投入、できあがった新たな紙を各部署へ配分する一連のサイクルを担っているのは障がいをもった方々です。毎日一定の仕事を生み出すので、安定雇用の創出という効果も実感しています。庁内で重要な役割を担う障がい者と職員との間には協働意識が芽ばえているのもうれしい効果です。
子どもたちにものづくりの夢を教えてくれる
―今後のビジョンを聞かせてください。
諏訪市には環境都市という顔のほかに、「ものづくりのまち」としての伝統もあります。諏訪市に本社を置くセイコーエプソンが生んだこの製品は、「世界の先端に挑み続けるものづくり技術」と「美しい環境をめざす」という諏訪のふたつのイメージをともに反映するものです。この技術は市民に大きな反響をもたらしており、とくに地元の子どもたちの創造力を刺激し、ものづくりの魅力を教えてくれています。この『PaperLab(ペーパーラボ)』 がハブとなり、諏訪地域の可能性を広げてくれることを期待しています。