年間141万枚の文書を処理へ
―八戸市が「オフィス製紙機」を導入した経緯を教えてください。
当市は、昭和39年に新産業都市へと指定されて以来、工業都市として発展してきた歴史があります。その間、公害病を発生させた過去もありましたので、その後はとりわけ環境対策に力を入れてきました。市独自の「環境基本計画」を策定するなど、温暖化対策や循環型社会の構築に努めてきました。
そうした折、平成28年の夏にオフィス製紙機の存在を知りました。環境対策としても機密情報管理の観点でも、さらには地域の子どもたちへの教育効果の面でも、非常に価値のある技術だと評価し、導入を主導しました。
―オフィス製紙機にどのような価値を感じたのでしょう。
いちばんは、環境面での効果です。水を使わずに、オフィス内で再生紙を生産できるとは、じつに画期的で「すごい技術」だと驚きました。最初に実機を見たときは、「中に人が入っているんじゃないか」と思ったくらいです(笑)。
さらに、機密情報の処理にも効果的ですね。いちど紙を繊維化して新しい紙を生産するので、シュレッダーと違い、万一にも復元される心配がありません。従来は外部の業者にシュレッダー処理を委託して廃棄していましたが、その際の輸送エネルギーも削減できます。
―実際にどれほどの効果を期待していますか。
一日あたり約6400枚、年間で141万枚の機密文書を処理できると期待しています。当市では昨年度、約935万枚の機密文書を処理しました。このうち15%程度を処理できる計算です。マイナンバー制度の開始で、自治体には情報管理の面でより細かな配慮を求められますから、庁舎外へもち出さずに機密情報を処理できるオフィス製紙機は、時代のニーズに合った技術といえますね。
いずれ当たり前の技術へ技術の普及に貢献できれば
―今後、オフィス製紙機を市政にどう活かしていきますか。
今回の導入が、環境問題を考える契機になり、職員も含めた市民一人ひとりの意識改革につながることを期待しています。こうした地道な努力の積み重ねこそが、まちづくりの基本だと考えています。また、オフィス製紙機を環境施策のシンボルとして、当市の先進性をアピールしていきたいと思っています。
このオフィス製紙機は、いずれ当たり前に使われる技術へと成長していく可能性があります。そのとき、少しでも技術の成熟化と普及に役立てたとしたなら、先駆的に導入した当市の取り組みは、とても意味のあるものになるのではと期待しています。