「創エネ」「省エネ」でめざす、安全・安心・安定した暮らし
―高槻市におけるエネルギー施策の方針を教えてください。
本市域内における再生可能エネルギーの導入・普及を積極的かつ戦略的に推進していくため、平成24年に「たかつき新エネルギー戦略」を策定しました。具体的には、新たなエネルギーを生み出す「創エネ」と家庭や事業所におけるエネルギーの効率改善による「省エネ」により、安全・安心・安定した市民生活や社会活動の確保をめざしていきます。
その一環として、平成25年から公共施設の屋上に太陽光パネルを設置する、いわゆる屋根貸し」事業を開始しました。「創エネ」だけでなく、本市が所有する公共施設の有効活用、代替エネルギーの活用促進による市民の再生可能エネルギーに対する意識向上、などといったことが望めるのも狙いです。
現在、市内の小中学校9校で稼働中です。
―今回、太陽光発電で新たな取り組みを始めるそうですね。
ええ。小中学校の在校生や卒業生、市民をメイン対象に電力を提供する『学校応援でんき』という取り組みです。消費者が電気の購入先を選択する際に、「ゆかりのある場所でつくられた電力を選択して応援する」という新しいコンセプトで、太陽光発電設備施工を行う柴田工業と小売電力事業者であるみんな電力、プラットフォームを提供するNTTスマイルエナジーと協働しました。
高槻市立第六中学校、高槻市立芥川小学校、高槻市立柳川小学校の3校の屋上に太陽光パネルを新たに設置し、平成30年2月からスタートします。
「屋根貸し」事業にくわえ、新事業にも取り組みたい
―どのような効果を期待していますか。
まず、太陽光発電自体における価値として「災害時における自立電源の確保」という点において、重要性は高いです。そして今回のスキームでは、再生可能エネルギーの普及促進はもちろん、「屋根貸し」の公募案件に対して事業者が応募しやすくなることを期待します。近年は売電単価が低下し、「事業者も手をあげるのが難しいのでは」と感じていました。『学校応援でんき』では事業者にとって売電収入以外の付加価値がクローズアップされることで、「応募のハードルも下がるのでは」と。
また、この取り組みは販売した電気代の一部が「応援金」として本市に寄付される仕組み。「屋根貸し」の賃料以外に歳入が見込めるのはメリットだと感じています。
さらに、この取り組みをきっかけに市民の方々が再生可能エネルギーへ関心をもつきっかけとなることを期待しています。
―エネルギー施策における今後の戦略を教えてください。
引き続き「屋根貸し」事業を進めていきます。提供できる場所があれば、屋上にかかわらず確保していきたいですね。ただ、都市部である本市ではなかなか大規模のスペースを確保するのは難しい。公共施設の活用という点においては、やはり小規模の太陽光発電が適しているのではと感じています。
また、今回に限らず新しい取り組みを積極的に行っていきたいですね。そうすることで地域に再生可能エネルギーが普及するとともに、市民が関心をもつことで、CO2削減による地球温暖化対策につながれば、と考えています。