
※下記は自治体通信 Vol.38(2022年5月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
さらなる住民サービスの質向上や、職員の業務効率化の観点から、住民からの問い合わせ対応を外部委託する自治体が増えている。大阪市(大阪府)もそうした自治体のひとつで、平成19年から民間に外部委託した総合コールセンターの運営を行ってきた。そして、令和3年10月に同センターのシステム刷新を行ったという。同市担当者の2人に詳細を聞いた。


一箇所に集まっての対応には、リスクがある
―大阪市では、住民からの問い合わせにどのように対応してきたのでしょう。
高畑 当市では、市民サービスの質向上や業務効率の向上を目的として、平成19年から「大阪市総合コールセンター」、通称「なにわコール」を民間業者に委託して開設しました。同センターでは、よくある質問と回答集(FAQ)や当市ホームページなどをオペレーターが検索・参照し、電話やメールなどによるマルチチャネルからの問い合わせにワンストップで対応。さらに、区役所と市役所の代表電話応対業務、市民からの意見や提案などをうかがう広聴電話応対業務と、順次拡充してきました。年間70万件を超える問い合わせに、午前8時から午後9時まで年中無休で対応しております。
そして昨年の10月、契約更新にあわせて、コールセンターシステムも刷新することになりました。
―刷新するにあたり重視したポイントはなんですか。
岡田 緊急時であっても、市民への問い合わせ対応を維持できる体制づくりです。近年頻発した大型台風や地震などの災害発生により、当市でも交通機関へ大きな影響が出ました。実際の運営には大きく影響しなかったのですが、今後そうした際、スタッフが一箇所に集まって問い合わせ対応をするにはリスクがあります。また昨今のコロナ禍もあり、万が一スタッフが罹患すればサービスの維持が困難になります。公募を行った結果、NTTマーケティングアクト(現:NTTマーケティングアクトProCX)が提供している、システム基盤『ONE CONTACT Network』を活用した総合コールセンターを新たに運営していくことになりました。
定期的な訓練の実施で、万が一への体制づくりを
―導入にいたったポイントはなんでしょう。
岡田 スタッフが一箇所に集まらなくても、コールセンターの運営が実現できる点です。同システムはプライベートなネットワーク環境を構築し、従来使用されていたオンプレミス型の電話交換機やシステムサーバ群をクラウドに移行したものです。マザーセンターやサブセンターだけでなく、在宅、言わば「在宅センター」との連携ができ、緊急時にも柔軟な運営が可能です。もともと「なにわコール」の運営も同社に委託していたため、結果的に移行もスムーズに進められると判断しました。

―今後におけるコールセンターの運営方針を教えてください。
高畑 今後は当市で定期的に行っている訓練の実施で、万が一のときに対応できるオペレーターの体制を強化するほか、市民の問い合わせに応えられる、さらなるサービス拡充に取り組んでいきます。

―問い合わせ対応を外部委託する自治体は増えていますか。
年々増えています。人手不足が深刻化する自治体では、職員をコア業務に専念させるため、FAQを整備すれば外部リソースを活用できる「問い合わせ対応」を積極的に委託する傾向が見られます。専門事業者への委託で、応対品質を均質化できる効果に着目する自治体も多いです。近年は、AIによる感情分析で、応対品質を評価する技術も登場。そのため問い合わせ対応は、サービスの品質向上の好機になるとともに、住民のリアルな声を自治体の経営層に届けるきっかけにもなっています。
―委託事業者を選ぶ際のポイントはなんですか。
近年増加するSNSでの対応や、住民が自己解決できる手段などトータルな仕組みを提案できること。さらには、非常時の際にも窓口機能を維持できる強靭かつ柔軟なシステムを有することが、事業者選定のポイントでしょう。その点、当社ではNTTグループ共通のシステム基盤『ONE CONTACT Network』を運用。複数の拠点や在宅オペレーターをVPNでつなぎ、柔軟に人材を管理することで業務の継続性を担保しています。チャットやSNSなどマルチチャネルの住民対応も可能で、AI高度化サービスも提供できます。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
住民窓口に集まる住民の声は、市政に活かすべき貴重な資産です。行政の質的向上と職員の働き方改革はもちろん、VOC*1分析の観点からも支援を行っていきたいですね。
*1:※VOC : Voice of customerの略称で、ここでは「住民の声」や「住民の見方」をさす
設立 | 令和3年7月 |
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資本金 | 20億円 |
事業内容 | コンタクトセンタービジネス等BPO業務運営事業 |
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