千葉県木更津市の取り組み
人事評価システムの導入
システム導入で人事評価を適正化し、職員の士気が高まる職場環境を実現
木更津市
総務部 職員課 課長 石渡 亮輝
総務部 職員課 主任主事 高木 寅彦
※下記は自治体通信 Vol.40(2022年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
近年、自治体においても業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が行われている。そこでは、短期間で膨大な人事情報を扱う担当職員の業務負担増大に頭を悩ませながら、被評価者が納得感をもてる正当な評価の仕組みを模索している自治体も多い。そうしたなか、木更津市(千葉県)では、人事評価システムの導入でそれらの課題を解決したという。同市の担当者2人に、導入効果などを聞いた。
[木更津市] ■人口:13万5,899人(令和4年6月1日現在) ■世帯数:6万4,500世帯(令和4年6月1日現在) ■予算規模:838億8,099万2,000円(令和4年度当初) ■面積:138.90km2 ■概要:南房総・東京湾岸に位置する。東京湾アクアラインのたもとには盤洲干潟が広がり、内陸部には万葉集にも登場する緑豊かな上総丘陵がある。「きさらず」の語源は古事記の「きみさらず伝説」にあるという説も。江戸時代には町人文化も流入し、木更津を全国的に有名にした歌舞伎「切られ与三郎」や木更津甚句が誕生。港町として栄え、昭和後半はカーフェリーも活躍。その後、陸上交通でも館山自動車道・圏央道・東京湾アクアラインがクロスする交通の要となっている。
評価を育成につなげる運用が、できていなかった理由
―これまで木更津市では、どのように人事評価を行ってきましたか。
高木 当市では、「人材育成基本方針」でも掲げているように、新しい取り組みに積極的にチャレンジできる職員の育成を目的に、平成29年度から評価制度を導入してきました。人事評価が職員のモチベーションアップにつながるよう、公平で適正な評価制度の確立を目指し、外部講師を招へいして評価者研修を開くなど、継続的に制度運用の改善に努めてきました。
石渡 そこでは、成果を評価するだけではなく、評価を将来の能力育成につなげることも重視してきましたが、実際はなかなか思うような運用はできていませんでした。
―その理由はなんですか。
石渡 ひとつは、Excelを活用した紙ベースでの管理を行っていたことです。紙での管理では、単年度の評価を集計するのに精一杯で、複数年度にまたがって個々人の評価結果を集計・分析することは難しく、育成の根拠を得られなかったのです。また、部署間での評価結果に大きなバラつきが生じていたことも理由でした。評価基準を定めてはいるものの、評価者によってその解釈が異なっていたため、育成の根拠にできる「公平な評価」とは十分に言えず、一部職員の不満にもなっていました。
高木 紙ベースでの運用は、情報を管理する職員課の業務負担の原因にもなっており、煩雑な作業の結果、評価結果を繁忙期の年度末にまとめるだけで精一杯で、現場に伝達するのはつねに遅れ気味でした。こうした状況を改善すべく、システム化を検討し、複数のシステムを比較した結果、令和2年度から人材育成支援システム『ざいなる』の導入を決めました。
―選定の決め手を教えてください。
石渡 まずは、誰でも簡単に使いこなせそうなユーザーインターフェース(UI)です。また、機能が充実している点も評価しました。当市では、職場の環境状態や本人の異動希望などを申告してもらい、それを職場管理の改善に活かす仕組みがあります。この「自己申告」内容を『ざいなる』のアンケート機能によって管理すれば、人事評価の補足資料として活用することもできると考えました。
プロセスが透明化され、評価への納得感が高まった
―導入効果はいかがでしたか。
石渡 一番の課題であった評価基準のバラつきは、かなり解消されていると感じます。評価プロセスでは、システムを介して評価者・被評価者双方の動きが透明化されていることも、評価に対する納得感の高まりに寄与してくれています。
高木 集計作業はボタンひとつで完了できるため、職員課の負担も減少。取りまとめも迅速になったため、評価結果を新年度の任用や分限に活用する見通しも立ちました。今後は、ストレスチェックなど『ざいなる』の豊富な機能を活用し、職員の士気を高める人事評価制度を確立していきます。
支援企業の視点
紙ベースでの運用が残る人事評価。システム導入は喫緊の課題
株式会社内田洋行 自治体ソリューション事業部 ソリューション営業部 ソリューション1課 石村 真治
現在もExcelを活用し、紙ベースで人事評価制度を運用している自治体は少なくないと聞きます。そのため、繁忙期である年度末に、集中的に行われる人事評価業務は、人事・給与担当職員の大きな負担となっており、システム導入はまさに喫緊の課題です。
人事評価にシステムの導入を検討するにあたり、重要なポイントは2つあると当社では考えています。1つは、システムの使いやすさ。管理職から一般職員まで幅広く使われるシステムですから、直感的に使いこなせるかどうかは、非常に重要なポイントです。また、制度運用が自治体ごとに異なる場合にもカスタマイズをすることなく対応できる、システムの拡張性も重要です。『ざいなる』はこれらを満たしたシステムであり、多くの自治体で人事評価の効率化に貢献しています。ぜひお問い合わせください。
石村 真治 (いしむら しんじ) プロフィール
昭和59年、山口県生まれ。平成20年4月、株式会社内田洋行に入社。平成21年1月より自治体の営業担当となり、平成24年1月より現職。
開発企業の視点
システム開発の主眼は、職員の能力開発に役立てること
ICTコンストラクション株式会社 開発部門SE 藤田 貴大
多くの自治体が人事評価システムを導入する現在でも、評価結果を職員の人材育成に活用できている例はまだ少ないです。『ざいなる』は、まさに職員の能力開発やキャリアアップに役立てることを主眼に開発されています。たとえば、集計結果をもとに組織ごとの評価傾向や評価者の甘辛傾向の分析、さらに各部署の目標設定の妥当性なども評価することができます。50以上のお客さまへの導入実績を背景に、現場の声を反映した新たな機能開発にも力を入れており、組織環境の改善や職員のパフォーマンス向上に向けた多様な人材育成・利用者支援機能の開発を今後も進めていきます。
藤田 貴大 (ふじた たかひろ) プロフィール
昭和62年、大分県生まれ。ICTコンストラクション株式会社にて、平成31年4月より人材育成支援システムの企画・開発に従事。
ICTコンストラクション株式会社
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