※下記は自治体通信 Vol.51(2023年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体業務の効率化と職員の生産性向上に向け、インターネットクラウドサービスの利用が注目されている。そうしたなか、「クラウド版」グループウェアの活用法をテーマにしたウェビナーが5月26日にサイボウズ社で開催され、多くの自治体職員が参加した。ここでは、ウェビナー登壇者が実践しているグループウェアの活用法をレポート。自治体職員の働き方はどう変化し、業務効率はどのように改善したかについて、紹介する。
グループウェアの刷新こそが、職場変革のための最優先事項
新庁舎開設に合わせ、新しい働き方を推進
竹中 当市では、令和元年6月に「Smart Itami宣言」をし、職員が自ら職場をスマートに変革し、イキイキと働くことを目指しています。具体的に取り組んだのは、「超勤レス」「ペーパーレス」「キャッシュレス」の3つです。この改革に臨むにあたり、職員が一番使うシステムであるグループウェアの刷新こそが先決だとの議論を経て、サイボウズが提供する、インターネットクラウド版の『Garoon』を導入しました。既存グループウェアの機能は踏襲したうえで、「ファイル管理」や「ワークフロー(電子決裁)」などの新機能が活用できること。さらに、Web会議、チャットといった外部サービスとの連携も可能な点を評価しました。
庁内ネットワークとしてαモデルを採用している当市では、グループウェア専用ファイアウォールや自治体専用線である兵庫情報ハイウェイを利用し特定通信を実現させ、セキュアに運用しています。
村社 当市では昨年11月の新庁舎開設に合わせ、場所を選ばない働き方を推進し、Web会議やテレワークへの対応に積極的に取り組んできました。とりわけ重要であったペーパーレスの取り組みについては、「ワークフロー」機能の活用が大きく寄与しており、約300の庁内申請を取り込んだ結果、令和3年度で年間1万8,000枚の紙を削減できました。また「ファイル管理」機能によって、予算書や議案書などの全庁配布も廃止。この結果、年間40万枚の紙を削減することができました。
竹中 新たな働き方ができたことで、令和3年度の超過勤務時間が前年度比20.9%減となっており、超勤レスでも成果が上がっています。
グループウェアのクラウド化が「オフィス改革」を前進させた
西予市
政策企画部 政策推進課 デジタル推進室 室長
上甲 宏之じょうこう ひろゆき
65万枚の紙を削減した、申請業務のデジタル化
職員数が減少する傍らで市民サービスは多様化するなか、当市では職員の生産性向上が必要との認識から、そのための環境整備として「オフィス改革」を進めてきました。ここに貢献しているのが、グループウェア『Garoon』です。
当市では、平成20年からパッケージ版『Garoon』を導入していました。しかし、オフィス改革で場所にとらわれない働き方を実現するため、当市ではネットワーク構築を、いまで言う「β'モデル」に移行。同時に無線LANとノートPCも導入しました。
平成31年にはインターネットクラウド版へ移行。「出先でも『Garoon』を使いたい」との要望もあり、情報セキュリティに配慮しながらBYODも許可しました。平常時は庁外での利用機能を制限していますが、災害時は全機能を許可し、対応の迅速化を図っています。この『Garoon』のクラウド化が、オフィス改革を加速させました。
当市のオフィス改革では、「紙の書類からの脱却」「昭和な会議からの脱却」「職位の壁からの脱却」という3つのテーマを掲げてきました。「紙の書類からの脱却」では、各種申請業務を『Garoon』の「ワークフロー」機能に移行。クラウド化によって外出先からも申請・承認が可能になり、業務効率化とともにペーパーレス化が進展。令和3年は印刷出力枚数が前年比65万枚も削減されました。この結果、かつての紙資料の保管場所に専用スペースを増設し、手軽にミーティングを行える環境を構築。意思決定の迅速化につながりました。また、フリーアドレスの導入によって職位が異なる職員同士での会話が増えるとともに、クラウド版 『Garoon』によりどこでもつながり、コミュニケーションの活性化が図られています。
業務効率化を迫られる自治体は、グループウェアで情報の「見える化」を
サイボウズ株式会社
営業本部 営業戦略部 公共グループ
瀬戸口 紳悟せとぐち しんご
平成4年生まれ。メーカー系SIerを経て、平成31年から現職。グループウェアの導入を中心に、自治体の課題解決を支援している。
近年、職員の減少と業務の増加に直面する自治体では、職員の業務効率化は喫緊の課題となっています。そこで重要となるのが情報の「見える化」と「共有」であり、それを実現するのがグループウェアです。そして、創業時から開発を手がけてきた当社が、多くの職員が使うシステムとして「使いやすさ」にもっともこだわり、設計したのが『Garoon』です。
パッケージ版、LGWAN-ASP版、クラウド版を提供し、各自治体のネットワーク形態に沿った形で運用できるため、導入実績は約180自治体にのぼります。昨今は、総務省からβ/β’モデルが提唱されたことで、クラウド版への関心が高まっています。構築費用、導入リードタイム、アップデート適用など、クラウド版のメリットは大きく、ほかのシステムとの連携も容易に図れるので波及効果も高められます。本日の伊丹市、西予市の事例のように、グループウェアの刷新は自治体のワークスタイルの変革につながるものです。今一度、庁内のグループウェアの活用について見直してみませんか。