【デコ活・総合/探究学習】プログラミングと環境教育の融合が、学校現場に新たな刺激をもたらした
(K3Tunnel/めざせ!カーボンニュートラル! / 日鉄ソリューションズ)


※下記は自治体通信 Vol.64(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
「2050年カーボンニュートラル宣言」以来、脱炭素社会の実現に向けた各種政策の実行を各自治体に働きかけてきた政府は、昨今その一環として、「環境教育の充実」を掲げている。この方針を受けて、各自治体で模索が始まるなか、三芳町(埼玉県)では、プログラミング教材を使った新たな環境教育の実践に取り組んでいるという。同町教育委員会の渡邊氏と松田氏に、取り組みの内容とその効果について話を聞いた。


時代の要請を受けて、環境教育を充実へ
―環境教育の新しい取り組みを実施した経緯を聞かせてください。
渡邊 当町では、令和6年度に第6次総合計画の策定に合わせて教育大綱も改訂しました。そこには時代の要請を受けて、環境教育の充実が盛り込まれました。世界農業遺産認定の伝統的な「武蔵野の落ち葉堆肥農法」を受け継ぐ当町では、これまでも「農業塾」をはじめ小学生向けの環境教育には力を入れてきた経緯があります。そこで、新たな教育大綱に即してカーボンニュートラルに関する教育でも、取り組みの充実を模索していました。
松田 そうしたなか、町が推進する「産官学民と共創する授業づくり」という取り組みを通じて知り合った日鉄ソリューションズから興味深い教材を紹介されたのです。
―どのような教材ですか。
松田 当時、まだ企画段階にあった『めざせ!カーボンニュートラル!』という授業コンテンツです。これは同社が展開するプログラミング学習サイト『K3Tunnel\ケイサントンネル*』に実装予定だった機能で、プログラミング学習と環境教育をかけ合わせた画期的な教育コンテンツでした。
渡邊 架空の町を舞台にCO₂排出量シミュレータをプログラミングし、地域のカーボンニュートラルを実現していくという内容です。ただし、マップを作り変えて舞台を三芳町にし、子どもたちが選択していくアクションリストにも三芳町が推進する環境施策の内容を反映させるといったカスタマイズができました。子どもたちが興味を持ちながら、自分事として地域のカーボンニュートラルを学べるのではないかと期待し、まずは昨年10月に、町内の藤久保小学校の6年生3クラスで実証授業を行いました。
*K3Tunnel\ケイサントンネルは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です
子どもたちが変容、教員も多くの刺激を得る
―結果はいかがでしたか。
松田 子どもたちが目を輝かせて学ぶ姿が印象的でした。コンテンツでは、CO₂削減効果とコスト負担のバランスを点数化して競う仕組みが子どもたちの学習意欲を喚起したのだと思います。昨年12月には、町内の各小中学校の児童・生徒が探究学習の成果を発表する「未来探究プレゼンテーション大会」が開催されましたが、児童によって発表された実証授業の成果は、参加した町長や町の環境課長などの注目を集めていました。コンテンツ開発に協力した現場の教員は、子どもたちの変容を見て、コンテンツの評価を高めたと同時に、自身も企業との共同開発の経験から多くの刺激を得たようです。
渡邊 当町の環境政策をコンテンツに反映させる過程では、従来少なかった町の環境課との連携強化が図れたのも、今後、環境教育を促進するうえで有益でした。令和7年度からはこの成果を他の現場にも広く共有し、町内各校でも導入していく考えです。


―自治体における環境教育への取り組み状況はいかがですか。
自治体の環境部門では必要性を強く感じている一方で、教育部門との接点が薄いうえ、学校現場の理解も必要となるため、実践のハードルは高いとの声が多いと感じます。また、カーボンニュートラルは「広域的な施策」との印象も強く、自治体単位で独自に進められる教材が見当たらないといった課題も多いようです。こうした声を踏まえ、プログラミング教育と環境教育を組み合わせた新しい授業コンテンツ『めざせ!カーボンニュートラル!』を企画しました。
―特徴を教えてください。
子どもたちが、「自分が住む地域の自分事」としてカーボンニュートラルを学べるように、コンテンツ上で表現される「地域マップ」や「地域のCO₂排出量」「アクションリスト」などを自治体ごとにカスタマイズできるよう設計しています。授業は45分×2コマで、プログラミング学習の要素も持ち合わせており、総合であったり、理科であったり、柔軟に活用できるのも特徴です。カスタマイズには自治体の教育部門や環境部門にも参画してもらうことで、現場のニーズに深くマッチした教材づくりを可能にしています。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
現在は三芳町のほかに、富谷市(宮城県)や真庭市(岡山県)などでも共同開発が進んでいますが、導入にあたっては教材制作ワークショップや実証授業などきめ細やかに伴走支援をいたします。関心のあるみなさんは、ぜひお問い合わせください。

設立 | 昭和55年10月 |
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資本金 | 129億5,276万3,000円 |
売上高 | 3,106億円(連結:令和6年3月期) |
従業員数 | 7,826人(連結:令和6年3月末現在) |
事業内容 | 情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守および管理など |
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