【個人情報保護・業務効率化】専用システムの導入で実現した、「個人情報ファイル簿」の内部運用改善
(NSDDDクラウド for Government / 日鉄ソリューションズ)


※下記は自治体通信 Vol.64(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
個人情報保護法の改正により、令和5年4月からすべての自治体に「個人情報ファイル簿」の公開義務が課せられた。この新たな業務の発生を受け、個人情報ファイル簿の作成や公開、その後の運用をめぐり、いまも効率的な方法を模索している自治体は少なくない。その1つであった調布市(東京都)では、このほど専用システムの導入で業務効率化を図ったという。取り組みの経緯とその効果について、同市の2人の担当者に話を聞いた。


新制度発足で業務負担が増大。内部運用の効率化が必須に
―個人情報ファイル簿の公開・運用業務において、専用システムを導入した経緯を教えてください。
山下 新制度の発足を受けて、当市では現在、約400件の個人情報ファイル簿を管理しています。このうち、年間で1割ほどのファイルで修正や廃止、更新といった作業が生じています。これをわずかな担当者で対応し、法に則って迅速に公開していくのは、負担の大きな作業となっていました。
小志田 また、新制度には難解な部分も少なくないため、正しい運用を促すために、ファイルを作成する各担当課への説明や問い合わせ対応も必要です。こうした原課とのやりとりが煩雑になるほど、届け出漏れや公開漏れが生じるリスクも高まります。そのため、庁内での制度運用を効率化するため、業務のシステム化を検討しました。
―どのような検討をしたのですか。
小志田 まずは、情報収集を進めたのですが、求めていたようなシステムは市場には見当たらず、周辺自治体でも、この業務をシステム化している事例は見つかりませんでした。それでもこまめに情報収集を続けていたなか、あるセミナーで出合ったのが、『NSDDD(エヌエスディースリー)*クラウド for Government』でした。
―どのようなシステムですか。
山下 個人情報ファイル簿をめぐる作成・確認・公開・廃止のサイクルを一元的に管理するシステムです。各担当課はシステムに直接情報を登録し、我々制度所管課はそれをシステム上で確認し公表する仕組みです。作成ファイルの受け渡しのやりとりやデータ加工作業も不要となり、管理負担も大きく減るといいます。まさに当市が求めていたものであったため、令和6年8月からの導入を決めました。
*NSDDD\エヌエスディースリーは、日鉄ソリューションズ株式会社の登録商標です
公開サイトの検索性も向上し、閲覧者の利便性向上にも寄与
―導入効果はいかがですか。
山下 期待通り、運用管理は大きく効率化されました。システムには、記入項目の解説や表記揺れの検知といった編集サポート機能もあり、各担当課で簡単にファイル簿が作成できるようになっています。記載内容の修正といった手戻りも減り、我々の確認作業も減っています。システム導入を機に、庁内で個人情報ファイル簿が共有されたことで、それらの情報を部署の枠を越えて有効活用する動きもみられるようになりました。
小志田 導入効果は、内部運用の効率化にとどまりません。システムでは検索性や視認性に優れた公開サイトが制作できるため、閲覧する住民の利便性向上にも寄与していると思われます。現在、都道府県と政令指定都市で運用される「行政機関等匿名加工情報制度*」が今後、全自治体でも義務化されるとの見方も一部にありますが、そうなった場合でも今回のシステム導入によって対応の基盤が整ったと安心しています。
*行政機関等匿名加工情報制度 : 行政機関等の保有する個人情報を、個人を識別できないように加工して民間に提供する仕組み。都道府県と政令指定都市は、令和5年4月から提案募集が義務化された


―個人情報ファイル簿の運用状況をどのようにみていますか。
制度所管課の業務負担の増大に課題を感じている自治体は多いです。ファイル簿の作成や確認、公開といった一連の業務の負担に加え、新制度への理解が追いついていない各担当課とのやりとりが煩雑になっていることが理由です。それが公開の遅れや意図せぬ公開漏れにつながるケースも少なくありません。そこで当社では、個人情報ファイル簿システム『NSDDDクラウド for Government』による運用改善を提案しています。
―どのようなシステムですか。
システムによる一元管理を通じて、庁内での運用管理の改善や業務負担の軽減をもっとも重視して設計されたシステムです。各担当課の職員も直感的に使いこなせるシステム構成のもとで、ファイル簿の作成基準や作成方法を提示する編集サポート機能によって、作成から公開、その後の更新に至る一連の業務をサポートします。
システムに蓄積された過去のあらゆる履歴は、将来の運用改善に向けた情報資産として有効活用できます。
―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。
『NSDDDクラウド for Govern-ment』は、将来全市町村で義務化が予想される「行政機関等匿名加工情報制度」の運用にも最適化されたシステムとなっています。すでに同制度を運用する横浜市での導入実績があり、運用フローをともに構築してきた経験があります。これらのノウハウをもとに、自治体の新制度への対応を支援しています。ぜひお問い合わせください。

設立 | 昭和55年10月 |
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資本金 | 129億5,276万3,000円 |
売上高 | 3,106億円(連結:令和6年3月期) |
従業員数 | 7,826人(連結:令和6年3月末現在) |
事業内容 | 情報システムに関する企画・設計・開発・構築・運用・保守および管理など |
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