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新潟県三条市の取り組み
先進事例2025.04.14
体育館設備による事故の防止策

【非構造部材・長寿命化】手薄だった「高所設備」の点検を強化、細部の不具合まで把握し事故防止へ
バスケットゴール耐震化・保守点検 / セノー

[提供] セノー株式会社
【非構造部材・長寿命化】手薄だった「高所設備」の点検を強化、細部の不具合まで把握し事故防止へ(バスケットゴール耐震化・保守点検 / セノー)
この記事の配信元
セノー株式会社
セノー株式会社

※下記は自治体通信 Vol.65(2025年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

令和3年、ある自治体で老朽化したバスケットゴール(以下、バスケゴール)が落下して生徒が受傷する事故が発生。これを機に、国は体育館設備の点検・整備の強化を自治体に求めている。そうしたなか、三条市(新潟県)では、専門メーカーに体育館設備の安全点検を委託し、不具合が発覚した設備の整備を順次、進めているという。この取り組みを進めた経緯と成果について、同市教育委員会の坂上氏と柏井氏に話を聞いた。

[三条市] ■人口:9万910人(令和7年3月1日現在) ■世帯数:3万7,375世帯(令和7年3月1日現在) ■予算規模:723億720万円(令和7年度当初) ■面積:431.97km² ■概要:新潟県のほぼ中央に位置し、信濃川とその支流による豊かな水源と肥沃な大地に根ざしている。江戸時代に農家の副業として和釘づくりが奨励されたことから、鍛冶を中心とした金属加工業が発展。隣接した燕市とともに「ものづくりのまち」として知られる。
インタビュー
坂上 登
三条市
教育委員会事務局 教育総務課 施設管理係 係長
坂上 登さかがみ のぼる
インタビュー
柏井 可奈子
三条市
教育委員会事務局 教育総務課 施設管理係 一般任用主事
柏井 可奈子かしわい かなこ

従来の法定点検だけでは、高所の確認が困難だった

―学校設備の不具合から起こる事故を防止するため、どのような対策をとっていましたか。

坂上 当市の学校施設は、築30年以上の建物が全体の約67%を占めており、老朽化が懸念されていました。平成31年度からは「学校施設長寿命化計画」を策定し、予防保全の考え方のもと、随時「施設」の整備を進めてきましたが、じつは「設備」については、具体的な対策をとっていませんでした。

柏井 転機は、令和3年度に、老朽化した壁面式バスケゴールが落下し、生徒が怪我をするという県外の事故でした。老朽化した体育館の多い当市でも危機感を募らせていた折、令和4年に市内の学校でヒヤリとする事案が起きました。

―どのような事案でしょう。

柏井 壁面式バスケゴールの接続部からボルトが脱落して床に落ちていたのです。後日、学校管理士にボルトを締め直してもらい、幸いにも事故は免れました。もし壁面式よりも高所にある吊下式バスケゴールの場合、落下したボルトに当たるだけでも大怪我につながる恐れがあると危機感を覚えました。

坂上 この事案を受け、専門的な安全点検の必要性を感じました。というのも、従前から法定の「12条点検*」を行っていますが、そのおもな対象は建築物と排煙・給水などの設備で、目視による点検が基本です。特に、吊下式バスケゴールや防球ネットといった高所設備は、下方から確認するしかなく、細部の不具合の見極めが困難でした。そこで、三条市内のスポーツ店を通じて体育館設備の専門メーカーであるセノー社に、令和5年度より安全点検を委託しています。

*12条点検 : 建築基準法で定められた建築物の安全性を確保する点検のこと。自治体は、一級・二級建築士など専門家による調査・検査を定期的に行い、その結果を特定行政庁に報告することが義務づけられている

ゴール落下の危険を回避

―点検の成果はありましたか。

柏井 はい。委託初年度の点検で、ある学校の吊下式バスケゴールにひび割れや接続部の不具合が発覚し、セノー社から「放置するとゴール全体が落下しかねない」と指摘され、すみやかな撤去を依頼しました。バスケットボール部の顧問や以前の点検ではわからなかった設備の不具合が見つかるので、事故の未然防止につながり、安全性の確保に手応えを感じています。

―点検の成果を、どう今後に活かしていきますか。

坂上 体育館は、災害時に住民の避難所となる防災施設でもあります。中越地震を経験した当市としては、体育館設備の安全性確保は、住民の安心感にもつながると考えています。セノー社では「バスケゴールの耐震化」も推進していると聞き、当市でも体育館の防災施設としての機能向上のため、強い関心を寄せているところです。

支援企業の視点
点検を機に設備を「耐震化」すれば、避難所としての安全性も高まる
インタビュー
真庭 司
セノー株式会社
営業本部 関東信越支店 営業二課主事
真庭 司まにわ つかさ
群馬県生まれ。平成30年よりセノーグループ内のメンテナンス会社から出向。新潟県内の自治体への営業活動に従事している。

―体育館設備の安全点検を求める自治体は増えていますか。

 はい。特に令和3年度に発生した壁面式バスケゴールの落下事故を受け、文部科学省が「学校設備の点検強化」を通知して以降、当社にも問い合わせが増えています。昨年度は1015校で体育館設備の安全点検を実施し、支援した自治体からは、専門メーカーとして30年以上点検を行ってきたノウハウを評価されています。さらに、点検だけでなく、不具合が発覚した設備の撤去や補強までをワンストップで行う点も特徴です。特に吊下式バスケゴールの補強を要する際は、『耐震化・防振ユニット』を提案しています。

―どのようなユニットでしょう。

 落下防止金具や補強金具などを吊下式バスケゴールに取り付けることで、震度6強まで耐えうる強度に高められます。この装置は、当社が東日本大震災後の被災地で点検を行った際、体育館で避難生活を送る住民からの「バスケゴールが揺れて怖い」という声を契機に独自開発したものです。これにより、平時の事故リスク低減だけでなく、体育館の避難所としての安全性確保にも貢献できると自任しています。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 高さ7m以上に設置される吊下式バスケゴールは、総重量が500kgにおよび、落下事故は最悪の事態も想定されます。そのリスク判定には、バスケゴールの構造を知る専門家が不可欠です。当社は専門メーカーとして、誰もが安心できる体育館の整備を支援していきます。

セノー株式会社
セノー株式会社
創業

明治41年4月

資本金

2億50万円

売上高

94億5,430万3,000円(令和6年3月期)

従業員数

342人(令和6年3月現在)

事業内容

体育施設器具製造・施工・販売(競技スポーツ・フィットネス・福祉)

URL

https://www.senoh.jp/

お問い合わせ先
047-386-5810(平日 9:00〜18:00)
sn_info@senoh.co.jp
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