コクヨは、官公庁のファシリティ整備を総合的に支援する事業を展開しています。
窓口改善・オフィス改革などのリニューアルから新庁舎構築まで、行政デジタル化時代に適したオフィス提案を通じて、住民サービスの向上及び自治体職員の働き方改革を支援しています。
今回は、コクヨが空間設計支援・家具納品を行った伊丹市新庁舎事例をご紹介します。
【納入事例:伊丹市新庁舎】
■概要
平成7年の阪神・淡路大震災を経験した旧庁舎は耐震性能に問題を抱えていたため、伊丹市は「市民の安全・安心な暮らしをささえ 夢と魅力があふれる庁舎」を基本理念として新庁舎整備計画を推進。2021年には、人口減少社会における生産年齢人口の低下によって生じる人員・人材不足といった課題対応と、市民サービスの維持・向上の両立を目的とした「Smart Itami(スマート イタミ)宣言」を発表。
職員の生産性向上を通じて市民サービス向上を目指すべく、新庁舎ではコミュニケーションの活性化やデジタル化への対応など、働き方改革に資する“場”の実現を目指し、より魅力あるワークプレイスの創造と生産性向上により、課題解決に取り組みました。
■空間づくりのポイント
1.場所に縛られない働き方と多機能スペースの整備により、「職員自ら考える」組織への転換を促す場づくり
フロア内は全てユニバーサルレイアウトを採用し、他部署や所属長との連携の取りやすさを向上。新庁舎でのオフィス思想はABW(Activity Based Working)を採用しており、集中作業や意思決定など自身の業務に最も適した場所を選んで業務できる機能空間を各フロアに整備しています。
2.「普段使いのできるリビングのような市役所」を目指した市民スペース
「普段使いのできるリビングのような市役所」を目指し、市民スペースを拡充。市民ワークショップによって考えられた空間は、大型サイネージモニターによる情報発信や市民とともにまちづくりを語らう空間としつつ、手続きの待ち時間など、日常的に利用されるよう、可変型のテーブルやくつろぎのソファの他、ホワイトボードパネルなどを設置しています。
3.スマート窓口の実現に向けた取り組み
スマート窓口の実現に向けた取組みの一つとして、各種証明書の発行をワンストップ化させ、クイック窓口としてハイカウンターを設定。そして、スマートな手続きとするため、マイナンバーカードの読み取りや電子サインによる「書かなくていい」窓口や、オンライン事前予約による「待たなくていい」窓口に加えて、オンライン申請における「行かなくていい」窓口を実現。また、窓口で取り扱う証明書発行手数料等にはキャッシュレス(スマート)決済を導入しました。
■職員の声
●業務継続への課題意識について
業務が出来なくなる状況については、これまでの震災や火災のほか、昨今の新型コロナウィルスによるパンデミックへの対応など多岐にわたります。それらを経験する中で、ペーパーレスとABW(モバイルワーク含む)のほか、柔軟に配置を変えられる可変性家具の検討は新庁舎整備において重要な要素となっています。
ペーパーレス化は単なる紙文書の電子化ではありません。働き方において「場所を選ばない」だけでなく、これまでの紙媒体に比して、災害による破損・焼失などを防ぐことができ、業務継続を可能とします。さらに、新型コロナウィルスがきっかけで社会にもたらした働き方であるテレワークやABWを可能とします。
加えて、可変性のある家具を導入することで、刻々と変化する状況や業務の内容に応じて、フレキシブルなオフィス展開を可能とし、業務継続性を高める要素となります。このように、市役所として市民サービス維持(・向上)という課題に対応するだけでなく、平常時・非常時問わず、さまざまなシーンに対応できることを意識して整備してきました。
●「Smart Itami」の実現に向けた職員像について
「Smart Itami」は、来る人口減少社会における生産年齢人口の低下によって生じる人員・人材不足への対応と、市民サービスの維持・向上の両立を目的としています。「Smart Itami」では労働生産性の向上を求め、職員が自身で考え、政策形成を行うことを目指しており、その実現に向け、①超勤レスでスマートな働き方を実現し、②ペーパーレスでスマートな職場環境を構築し、③キャッシュレスでスマート決済の導入に取り組みました。
目指す職員像としては、市民サービスの根幹である「現場主義」であること。それに加えて、変革に対応すべく、「既成概念に捉われない自由な発想をすること」を求めています。そのためには、目の前の業務から将来に向けて「自身で考える」力を日頃から養うことが必要となり、そういった力は日常の中で、「考えたことをプレゼンテーションする」ことや「コミュニケーションとネットワーク」によって養われると考えています。
当然に、その手法としては「デジタルを道具として普通に扱える」ことが前提となります。新庁舎に生まれ変わることによって、職員が生き生きと働くスマートな職場と市民サービスの向上が実現し、未来に向けて選ばれるまちとなることを期待しています。
●建築特徴について
新庁舎は未来型の庁舎として整備しました。免震構造やライフラインの多重化など、BCPを向上させたことに加え、抗菌・抗ウィルス仕様の内装材や換気量の充実といった新型コロナウィルス対応など、安心して利用できる庁舎になっています。そして「共に創る」をテーマとし、市民や障がい者団体とディスカッションやワークショップを重ね、誰でも利用しやすいユニバーサルデザインを実現する庁舎となっています。
さらに、将来に向けたグリーン社会の実現として、床面積2万㎡を超える大型庁舎では西日本で初めて「 ZEB Ready 」に認証されたほか、地元県産材の木材を活用することや建設地に植えてあったクスノキを保存、利活用するなどグリーン社会が求めるカーボンニュートラルとサスティナブルを体現するグリーン庁舎となりました。
さらに、デジタル技術の活用により「待たなくていい」「書かなくていい」「行かなくていい」をコンセプトにしたスマート窓口を実現するほか、デジタルサイネージによる情報発信や自治体施設では全国初となる無人決済コンビニを導入するなど、未来型のスマート庁舎となっていると自負します。
このように、さまざまなアイデアと技術、共創によって建設された庁舎は、夢と魅力があふれる庁舎となりました。まだ生まれたばかりの建物はこれから、これまでの文化や歴史を継承しつつ、新しい時代に向けて成長し続けるものとなります。そして、利用される市民にとって「普段使いのできるリビングのような市役所」となるように、どんどん使い尽くして、より魅力的な市役所となってほしいと考えます。
伊丹市 総合政策部 デジタル戦略室 主幹(新庁舎等整備担当)
中西 寛氏
■伊丹市新庁舎 納入事例詳細
コクヨの官公庁ウェブサイトでは、文中でご紹介した庁舎内空間について、多数の写真と説明文でご紹介しています。
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