鹿児島県南九州市で「Graffer スマート申請」を核としたデジタル化プロジェクトが始動してから1年半。約8割の課がオンライン申請の構築に成功し、全庁的なデジタル化が着実に進んでいます。当初は消極的だったという担当課を巻き込むポイントは何だったのでしょうか。
南九州市におけるデジタル化の流れ
——南九州市ではどのような流れで全庁的なデジタル化を進めていますか。
志々目:南九州市では、2021年にDXに向けた取り組みをスタート。2023年度にDX推進計画を策定し、同年夏に「Graffer スマート申請」を導入しました。手続きの洗い出しや庁内研修、伴走支援などを通じて、全庁的なデジタル化を推進しています。
——「Graffer スマート申請」を導入する前は、どのような課題を感じていましたか。
志々目:以前は県の共同利用システムを利用していたのですが、電子署名使用時の手間や、決済機能がなかったことで、庁内での利用が拡大しにくいという課題がありました。当時オンライン化に対応していた手続きは約20件で、現在の8分の1ほどしかありませんでした。
——本格的な取り組み開始から約1年半が経過し、市民からの反応はいかがですか。
志々目:市民からは、「オンラインだと時間を気にせずに手続きできるのが便利」「操作がしやすい」といった声が届いています。当初は、市民に使ってもらえるのかといった不安もありましたが、現在では、多くの方がオンラインという選択肢を活用しています。
デジ田交付金がデジタル化の後押しに
——県の共同利用システムに課題を感じていた中、どのような経緯でシステムの刷新が実現したのでしょうか。
志々目:システム刷新の後押しとなったのが、デジ田交付金(デジタル田園都市国家構想交付金)でした。すでに当初予算の時期を過ぎていたのですが、デジ田交付金を活用すれば実現できるのではないかという声が庁内で挙がり、急きょ対応を進めました。
※デジタル田園都市国家構想交付金の詳細は以下の記事でご確認いただけます
「いまさら聞けないデジ田交付金「デジタル実装タイプ TYPE1」準備のきほん特別編」
——当時は、デジ田交付金の開始初年度ということで、準備も大変だったのではないでしょうか。
志々目:開始初年度で事例もなく、さらに短期スケジュールだったこともあり、準備は簡単ではありませんでした。しかしグラファーのサポートも受けて課題をクリアしながら、間に合わせることができました。
デジ田交付金では、申請時に行う計画策定の中でKPIを設定する必要があります。計画時からこのようなKPIを意識できたことによって、単にデジタルを導入するだけではなく、市民からの評価などを指標にしながら進めたことがデジタル化を加速するきっかけになったと感じています。
全庁を巻き込むための工夫と成果
①「紙も残しながらオンラインという手段を増やす方針」で進める
——全庁を巻き込むために、どのような工夫を行っていますか。
志々目:「紙も残しながらオンラインという手段を増やす」という目標を掲げることで、デジタルになじみのない市民や職員にとってもなじみやすい状況を作りました。いきなり「すべてをデジタルに」と打ち出すのではなく、オンラインを手段の一つに据えて徐々に浸透させていくことで、庁内外の理解を深めました。
——オンライン化する対象の手続きはどのように選定しましたか。
志々目:全庁に向けた事前調査を通じて、1,100件の手続きの中からオンライン化を初期的に進める対象手続きを選定しました。事前調査では、「手続きの名称」「オンライン化が可能かどうか」「可能な場合の実現予定時期」といった項目を各課に回答してもらいました。
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