※下記は自治体通信 Vol.24(2020年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
文部科学省は、「学校給食費徴収・管理に関するガイドライン」を策定し、令和元年7月に公表した。全国の自治体に向けて、これまで私会計だった給食費の公会計化を推進するのが狙いだ。公会計化によって、どのような課題が出てくるだろうか。自治体に対し、システム導入を幅広く支援している日本ソフトウェアマネジメントの担当者2人に、公会計化が推進される目的も含めて聞いた。
教職員が行っていた業務が、教育委員会に移行
―給食費の公会計化が推進される目的はなんでしょう。
小池 いくつかありますが、やはり教職員における業務負担の軽減が大きいです。徴収状況の管理や喫食者(※)の情報および喫食管理、未納管理、保護者からの問い合わせ対応など、給食費の徴収にかかわる業務は多岐にわたります。これまではそうした業務の多くを教職員の方が担当し、時間外勤務の増加につながっていました。それが給食費の公会計化によって、自治体の教育委員会が管理することになります。そのぶん、教職員の方には本来の教育業務にチカラを注いでもらおうということです。
※喫食者:飲んだり食べたりする人のこと。この場合は給食を食べる児童を指す
佐々木 また公会計化することで、給食費に関する会計処理に自治体からのチェックが入ります。それにより、給食費管理の透明化が図れます。さらに、振込先の金融機関が限定されがちだったのが、コンビニやクレジットカードによる納付も可能に。そのため、保護者の利便性の向上につながるというわけです。おもに、以上のような目的が考えられます。
―公会計化にあたり、どのような課題がありますか。
小池 先ほど言った多岐にわたる業務のほとんどを、教育委員会が管理するようになり、教育委員会での業務量が増大することです。
文部科学省の調査では、給食費管理に関する業務時間は1校あたり年間190時間と報告されています。公会計化で一元管理すると、学校にも業務の一部は残りますが、その大部分、つまり「190時間×学校数」の業務時間を教育委員会で受け持つことになるのです。
サーバがなくても、クラウドで対応
―どうすればいいでしょう。
佐々木 システムを導入することです。そうすれば、いままで個々の学校で行っていた業務が一元管理できるため、業務効率化が図れます。たとえば当社では、学校給食管理システム『給食マネージャ』を提供しています。これは、給食費を公会計に移すために開発されたシステムです。給食費の管理に特化しているので、スムーズに導入することが可能です。
小池 システム導入で業務効率化が図れる一方、「これまで以上の業務が発生し、現状の人員では対応できない」という教育委員会もあります。そこで、さらに当社は、給食費に関するさまざまな業務を一括して請け負うサービス『まるごとスマート』も提供しています。
システムの運用はもちろん、データの入出力、催促状や督促状の封入・封かん作業といった事務作業も請け負います。また現在、保護者からの電話による問い合わせといった対応も請け負うカタチで提案を進めているところです。
―今後における自治体への支援方針を教えてください。
佐々木 引き続き、公会計化にともなう自治体への負担をなくすサポートを行っていきます。「業務が増えるぶん人を増やそう」というわけには簡単にいかないでしょう。そんなとき、『まるごとスマート』は有効だと考えています。
小池 クラウドにも対応しているので、サーバを用意できない自治体でも導入可能です。予算にあわせて提案しますので、気軽に問い合わせてほしいです。
小池 有希 (こいけ ゆき) プロフィール
神奈川県生まれ。平成9年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。料金徴収システムや会計システムなどの開発業務を担当。平成24年から、学校徴収金の管理システムを普及・拡大する業務に携わる。
佐々木 和真 (ささき かずま) プロフィール
平成元年、岩手県生まれ。平成24年、日本ソフトウェアマネジメント株式会社に入社。通信系の料金計算システムや督促システムなどの開発業務を担当。平成27年から、給食費管理システムの開発および営業を経て、製品企画に携わる。
日本ソフトウェアマネジメント株式会社