

※下記は自治体通信 Vol.50(2023年6月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
新たな行政手続きの導入や変更に伴い、以前から多かった自治体における電話の問い合わせはさらに増えている。結果、職員への業務負担が深刻化しているという。そうしたなか、行政支援サービスを提供しているグラファーの吉岡氏は、「住民や事業者からの受電数をいかに減らすか、という発想が必要」と指摘する。同氏に、具体的な対策も含めて聞いた。

「電話対応の負担は仕方ない」根強く残る先入観
―住民や事業者からの電話対応をめぐる、自治体の現状はいかがでしょう。
以前から多かった住民や事業者からの電話がさらに増えており、それに対応する職員の負担は大きく、日中のほとんどを電話対応に忙殺されても追いつかない部署もあるほど深刻化しています。その背景には、たとえばマイナンバーカードの申請に伴う問い合わせの増加などがあります。電話がつながらない住民が、ほかの部署に電話をかけて転送を依頼することもあり、結果として、電話対応の負担が全庁に広がるという悪循環が生じているのです。
―自治体では、どういった対応が必要でしょうか。
とにかく、「受電数をいかに減らすか」を考えることが先決です。多くの自治体に、「電話対応の負担は仕方ない」という根強い先入観があり、受電が多いことを許容したまま、臨時職員の採用やコールセンターへの委託で乗り切ろうとするケースが少なくありません。しかし、受電の数が減ることはないので、コストがかかるうえに根本的な解決になっていないのが現状です。
そこで当社では、「自動音声案内」を活用した独自のサービス、『Graffer Call』を導入することで、まずは受電数自体を減らすことを自治体に提案しています。
―詳しく教えてください。
『Graffer Call』は、宅配便の音声ガイダンスのようなイメージで、問い合わせ内容に応じて電話機の数字を押すと、適切な担当者につながることができるサービスです。自治体のホームページで調べれば解決できるような内容については、携帯電話のショートメッセージサービス(以下、SMS)で適切なページのURLを送信します。このようにして、職員が対応する受電数を減らすのです。
「自動音声で対応できるわけがない」「機械音は住民に受け入れられない」と考える職員も少なくありません。しかし、実際には自動音声に対する住民からの不満の声はいまのところはなく、予想以上の削減効果が得られています。たとえば、吹田市(大阪府)で行われた実証実験では、SMSや自動音声で案内した結果、45%の受電が削減されました。職員からも「目に見えて電話が減った」といったコメントが寄せられています。さらに電話案内は、24時間365日の対応が可能なので、住民サービスの質は向上しているといえます。
案内や督促といった、電話発信にも活用できる
―簡単に導入できるのですか。
既存の固定電話回線に自動音声案内を実装するには全庁的な導入が必要なため、多額の費用がかかり、それが導入の障壁になっていたのは事実です。それに対して、『Graffer Call』であれば、「050」から始まるIP電話を活用しているため費用を大きく抑えて導入することができます。
さらに、『Graffer Call』には別の機能もあります。
―どのような機能でしょうか。
案内や督促といった電話発信に活用できる、自動発信機能があります。この機能によって、尼崎市(兵庫県)では、水道料金の未払い対応において、支払い率が10%から30%へと向上しました。従来は郵送していた督促状も不要になったため、郵送コストも削減されています。一関市(岩手県)でも同様に、『Graffer Call』を活用し、一定の成果を上げています。
―電話対応に苦慮する自治体へメッセージをお願いします。
まずは、「電話対応は減らせる」という認識に立つことを強く推奨します。機械にできることは機械に任せ、「住民を待たせない」体制を構築することが先決です。自治体業務に精通した当社が、その体制構築を全力で支援します。ぜひ気軽に問い合わせてください。

当市の国民健康保険課では、1ヵ月あたり6,000~8,000件の問い合わせで電話が鳴り止むことがなく、職員に大きな業務負荷がかかっていました。電話が混み合うことで、市民をお待たせすることも多く発生していました。『Graffer Call』は、低コストで短期間に導入できるため、当課のように小さい単位からでも活用できました。実証実験の際は、45%の受電を削減でき、月約50時間の業務削減につながっています。架電についても、保険料の支払い漏れを自動音声で案内した市民から「教えてくれてありがとう」といった声もいただきました。
自動音声案内は、「丁寧さに欠ける」といった先入観がありましたが、実際には市民になじみのある手段となってきている印象です。電話だけではなく、市民の疑問に応じてSMSでHPの説明に誘導するといった活用もしています。今後は、「050」の自動受電番号への問い合わせ先の統一や、他部署への活用拡大などによって、さらなる業務効率化につなげていきます。

設立 | 平成29年7月 |
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資本金 | 17億9,827万6,785円(資本準備金を含む※令和5年4月時点) |
従業員数 | 63人 |
事業内容 | 行政インターフェース事業、行政ソリューション事業、データプラットフォーム事業、マーケティングソリューション事業 |
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