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専門家の提言
水害時の「垂直避難」対策

【災害対策・BCP】車椅子の階段搬送を電動化し、「垂直避難」の実効性を高めよ
Xpedition 電動リフトチェア / 日本ストライカー株式会社

[提供] 日本ストライカー株式会社
【災害対策・BCP】車椅子の階段搬送を電動化し、「垂直避難」の実効性を高めよ(Xpedition 電動リフトチェア / 日本ストライカー株式会社)
この記事の配信元
日本ストライカー株式会社
日本ストライカー株式会社

※下記は自治体通信 Vol.63(2025年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

津波や豪雨が発生した際に、建物の2階以上に移動する「垂直避難」。水害時に有効な避難方法の1つとして、住民への周知を図っている自治体は多い。しかし、医療・ケア提供機関における災害時のBCP策定支援などを手がけるコミュニティヘルス研究機構・慶應義塾大学の山岸氏は、「自力歩行が困難な方々をどのような手段で垂直避難させるかは、自治体や医療・ケア提供機関などが向き合うべき課題」だと指摘する。指摘の詳細や解決策について、同氏に聞いた。

インタビュー
山岸 暁美
コミュニティヘルス研究機構
機構長・理事長 慶應義塾大学医学部 衛生学公衆衛生学教室
山岸 暁美やまぎし あけみ
福岡県生まれ。東京医科歯科大学(現:東京科学大学)大学院、国際医療福祉大学大学院を修了。保健福祉学博士。平成7年より病院勤務、平成10年に渡豪し病院に勤務。平成12年に帰国し、訪問看護に従事。平成20年、厚生労働省に入省。平成29年より現職。内閣府デジタル田園健康特区PMO、厚生労働省BCP策定専門家委員長など、政策と研究と現場をつなぐタスクを多数担う。

避難が間に合わず、命を失ってしまうケースも

―水害時の垂直避難を促すため、自治体はどういった取り組みを行っていますか。

 多くの自治体では、緊急時対応のマニュアルに垂直避難が有効なケースや注意点を記載し、住民への周知を図っています。垂直避難場所の確保に取り組んでいる自治体も少なくありません。しかし、いずれも住民が自力で避難できることが前提で、自力での歩行が困難な方々が多い医療・介護施設における垂直避難の「実効性」については、まだ十分な検討がなされているとは言えない現状があります。

―どのような検討が必要ですか。

 停電などでエレベーターが使えない場合、現実には介助者が車椅子ごと使用者を階段搬送しなければなりません。しかし、それには大きな身体的負担がかかるため、慢性的に人手が不足し、女性の比率も大きい施設では、すべての車椅子使用者を階上へ避難させるのは簡単ではありません。これは家庭でも起こりうることで、浸水時に高齢で体の小さな家族介護者が療養者を垂直避難させられず、救えたかもしれない命を失わせてしまったという悲しい話もあります。こうした悲劇を繰り返さないよう、早急な対策が必要なのです。

―良い解決策はありますか。

 車椅子を搬送する際、介助者の身体的負担を少しでも軽減できる器具を医療機関や介護施設に配備することは一つの策になると考えます。たとえば、私はある展示会で「電動リフトチェア」という器具を知り、画期的だと思いました。これは、モーターによってトラックベルト*を動かし階段搬送を補助できる車椅子で、介助者は個々の体力差に不安を感じることなく、小さな力で階上へ搬送できるものです。私が車椅子使用者役となって試乗もしてみましたが、ガタガタと揺れず安定感があり、安心して運んでもらえると感じました。

*トラックベルト : 輪になったベルトを前後の駆動輪に掛け、回転させて走行する装置。クローラー

水害リスクがある施設のうち、約75%は垂直避難が有効

―垂直避難方法の確保に関し、今後自治体に期待することを聞かせてください。

 まず、個別避難計画の充実を期待します。たとえば、水害時に在宅療養者がどこへ、誰と、どう逃げるかといった計画の立案や、避難に伴う支援の必要性があればその体制の構築が求められます。また、医療機関や介護施設への財政支援などを通じて「電動リフトチェア」のようなソリューションを広めることも大切です。政府の調査*によると、高齢者福祉施設の約43%は水害リスクのある場所に存在します。そのうち浸水深が3m未満の施設は約75%を占め、垂直避難が水害時に有効な避難方法になりえます。自治体のみなさんには、この避難方法の実効性を高め、一人でも多くの命を守れるまちづくりにつなげていただきたいです。

*出所 : 厚生労働省・国土交通省「第3回令和2年7月豪雨災害を踏まえた高齢者福祉施設の避難確保に関する検討会」のとりまとめ公表

開発企業の視点
人力に頼らない補助器具の配備が、車椅子の安全な垂直避難のカギに
インタビュー
髙橋 誠佳
日本ストライカー株式会社
メディカル事業本部長
髙橋 誠佳たかはし まさよし
昭和51年、東京都生まれ。大学卒業後、国内大手医療機器メーカーを経て、令和元年、日本ストライカー株式会社に入社。救急・集中治療領域の事業を率いる。

―自力歩行が困難な人の垂直避難の実効性を高めるため、自治体に求められることはなんですか。

 エレベーターが使えない場合でも車椅子使用者を安全に階上へ搬送できる手段を高齢者福祉施設などに提示し、対策を促すことが重要です。しかし現状は、階段に板を敷いて車椅子を搬送するなど人力に頼る方法が大半で、垂直避難の実効性を高める現実的な対策にはなっていないのが課題です。そこで当社では、自力歩行が困難な方々の搬送を技術の力で補助できる「電動リフトチェア」を提案しています。

―特徴を教えてください。

 介助者が使いやすい設計により、スムーズで安全な階段搬送をサポートできる点です。介助者は、手元のボタンを押すだけでモーターの作動や速度調整を行えます。こうしたシンプルな操作性は、緊急時に戸惑うことなく搬送を行う際に重要なポイントです。本体に設置されたLEDライトで足元を照らすこともでき、夜間や停電時でも周囲の視認性を向上できます。階段搬送時は、厚みのあるゴム製のベルトが階段に接地するため、振動が小さく、被介助者にかかる衝撃も抑えられます。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 当社ではこれまで、多くの自治体や消防機関に自動心臓マッサージ機やAEDなどを提供してきましたが、今後も「電動リフトチェア」を含む新たなテクノロジーを搭載した製品の提供を通じ、医療・介護人材の需給ギャップの解消に貢献します。自治体でのデモの実施も可能ですので、ぜひご連絡ください。

日本ストライカー株式会社
日本ストライカー株式会社
創業

大正2年

資本金

9,530万円

従業員数

1,045人(令和5年12月末現在)

事業内容

医療器具の輸入販売

URL

https://www.stryker.com/jp/ja/

お問い合わせ先
0120-715-545(平日 9:00~17:00)
RS_PCJ_lifepak-hp@stryker.com
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