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連載 地域DXプロジェクトで注目される「自治体×ケーブルテレビ連携」(1)

地域DXでの自治体のパートナーとして なぜケーブルテレビ事業者は最適なのか

[提供] 一般社団法人 日本CATV技術協会
    この記事の配信元
    一般社団法人 日本CATV技術協会
    一般社団法人 日本CATV技術協会

    図 地域での「行政・企業・生活者連携の軸」の役割を果たしているケーブルテレビ事業者
    (出典:日本ケーブルテレビ連盟の資料)

    自治体が地域DXプロジェクトを実施するパートナーとして、地元のケーブルテレビ事業者と連携する事例が全国で増えている。情報通信の技術力やノウハウを持ち、地域密着で事業を展開しているケーブルテレビ事業者は、地域DXの連携相手として最適だ。「自治体×ケーブルテレビ連携」による地域DXは自治体や地域住民にとって、どのようなメリットをもたらしているのか、全国の主要事例を取材したレポート記事を8回にわたり連載する(7/24(木)~25(金)開催の「ケーブル技術ショー2025」では、この連載でレポートする事例など、各地で進められている「自治体×ケーブルテレビ」の連携事例について、シンポジウムや展示等で詳しく紹介する)。
    連載1回目の今回は、ケーブルテレビ業界で「自治体×ケーブルテレビ連携」による地域DXを推進している一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟 地域ビジネス推進タスクフォースの加藤典裕委員長(株式会社中海テレビ放送 代表取締役社長)にインタビューし、自治体にとってケーブルテレビ事業者を地域DXのパートナーにすることの利点、効果を上げている事例、ケーブルテレビ業界としての地域貢献への理念などを聞いた。

    (取材・文:『月刊ニューメディア』編集主幹/『月刊B-maga』編集部・渡辺 元)

    プロフィール
    加藤 典裕
    一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟
    地域ビジネス推進タスクフォース 委員長
    加藤 典裕
    (株式会社中海テレビ放送 代表取締役社長)

    「自治体×ケーブルテレビ連携」が最適な5つの理由

      自治体にとってケーブルテレビ事業者は、地域DXの推進において極めて重要なパートナーだ。地域住民に優れたサービスを提供するためには、自治体とケーブルテレビ事業者が協力し合うことが効果的であり、この点は日本ケーブルテレビ連盟の地域ビジネス推進タスクフォースが過去2年間で取り組んできた事例が示している。地域DXにおけるケーブルテレビ事業者の役割について、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟 地域ビジネス推進タスクフォースの加藤典裕委員長は、こう説明する。「まちづくりの基本は地域住民自身が推進することであり、地域住民と強いパイプを持つケーブルテレビ事業者は、共に地域DXを推進する力を持っています。さらに、地域の自治体、企業、住民が連携して地域DXを推進していくうえで、マーケティング理論における『噴水効果(fountain effect)』の起点としても、ケーブルテレビ事業者が果たす役割は極めて大きい。自治体が大企業と連携することを否定するものではありませんが、地域DXの軸として地元のケーブルテレビ事業者と組むことが非常に有効です」(以下、発言は同氏)。
     自治体が地域DXを推進するパートナーとしてケーブルテレビ事業者が最適である理由は、主に5点ある。1つめは、ケーブルテレビ事業者は単に利益追求のために事業を展開しているわけではなく、多くの事業者が設立時から地域貢献を掲げ、自治体の出資を受けた第3セクターとしてスタートしているという背景がある。こうした生い立ちからも、自治体と共に地域DXに取り組む姿勢は当然と言える。
     2つめは、ケーブルテレビ事業者が放送事業を行っている点だ。「自治体の施策は、目的や意義が住民に十分伝わらず、結果的に住民が自分事と感じない場合がよくありますが、ケーブルテレビ事業者は地域住民に対して自治体の意図をコミュニティチャンネルの番組を通して伝える役割を担えます。また、片方向の放送だけでなく双方向の通信サービスも行っているため、住民に自治体との対話を促すことも可能です」。
     3つめは、ケーブルテレビ事業者は他の事業者などと幅広く連携できるという強みがあることだ。「業界外のみならず、サービスエリアが異なる同業他社との横の繋がりも非常に強固であり、業界内の先進事例やノウハウ、知識を活用したり、他のケーブルテレビ事業者と連携しながらベストプラクティスを地域に提供できるのが大きな強みです」。
     4つめは、ケーブルテレビ事業者が持つ「傾聴力」にある。「放送は一般的に一方通行と捉えられがちですが、ケーブルテレビは地域密着型の取材体制を整えており、住民や地域の声が豊富に集まります。地域の声を住民や自治体に届ける役割を果たしています。この傾聴力は、地上波放送局より優っているものであり、ケーブルテレビ業界の最大の強みの一つです」。
     5つめは、ケーブルテレビ事業者に備わる「伴走力」。「ケーブルテレビ事業者が果たせる役割は、地域から逃げず、地域に寄り添うことです。寄り添うという行為は生半可なものではなく、地域と共に生き、あるいは死ぬかという覚悟を持って事業を行っていることを意味しています。このようなケーブルテレビ事業者の地域に対する覚悟と立ち位置は、大手のベンダーなどとは異なります。ケーブルテレビ事業者は地域と運命共同体であり、地域は自分事なのです。私は社内で、『ケーブルテレビ事業者では、社員個人の成長、組織の成長だけでなく、地域の成長が不可欠である』と常々強調しています。これは綺麗事ではなく、本気でその理念を掲げることができる業界がケーブルテレビ業界です」。 

    全国各地での成功事例とケーブルテレビの役割

      同タスクフォースの活動では、具体的にどのような取り組みが行われたのか。「2年間のタスクフォース活動では、実に多くの自治体に紹介したいケーブルテレビ事業者の取り組み事例が共有されましたが、あえて印象に残る取り組みはとの質問にお答えするとすれば、以下の5件を紹介したいと思います」。
     事例の1件目はテレビ岸和田(大阪府)の取り組みだ。「同社は、放送や通信のみならず、地域住民に対してさまざまな生活関連サービスを提供・紹介しており、これに私は大変感銘を受けました。具体的には、地域の多数の企業とアライアンスを組み、生活支援系サービスを優遇価格で提供する仕組みを整えています。これは、今後の高齢化社会に向けて非常に示唆に富んだサービスです。この取り組みは直接自治体と連携している事例ではありませんが、自治体にとっても大きな利点があります。特に過疎地域などでは、住民からのさまざまな困りごとの相談が役場に集中する状況ですが、テレビ岸和田がそれを受ける代役を担っていることになるからです」。生活支援系サービスを提供するケーブルテレビ事業者は、自治体にとって頼もしい存在だろう。
     2件目は、知多メディアスネットワーク(愛知県)の取り組みだ。同社は地域プロモーションに非常に秀でたまちづくり事業を展開しており、「1つの自治体に限定することなく、複数の自治体と広域連携を行い、知多半島全体と向き合っています。広域地域DX連携の協定を締結して進められており、地域DXにおいて『広域』という考え方が今後必要であることを示唆する事例です」。
     3件目は、愛媛CATVの取り組みだ。同社の事例の特徴は、大規模な地域情報通信網をアセットとして活用し、その上でまちづくりやスマートシティの多様なサービス提供に取り組む総合力にある。「同社は特定のサービスに特化するのではなく、総合力の重要性を体現している点が特徴です。徹底した顧客対応を行っており、それがこの取り組みにも生かされています」。
     4件目は、TOKAIケーブルネットワーク(静岡県)の取り組みだ。同社は防災や交通など多様な分野の地域DXを自治体に提供している。河川カメラなどのカメラとセンシング技術の組み合わせによって、あらゆる行政課題を解決できるという考え方で地域DXを開拓している。「例えば、地域交通という行政課題に対して、DXを活用したシェアサイクル事業を自治体から受託し、住民とのデジタル接点を確保しながら、ケーブルテレビの非加入者も含めて住民にサービスを展開しています」。
     5件目は、となみ衛星通信テレビ(富山県)の取り組みだ。「同社は『ケーブルテレビ事業者にできることには限りがある』という考え方を持たず、さまざまな業界のパートナー企業と連携してソリューションをメニュー化し、自治体からの多様な相談に応じられる体制を整えています。しかも、その対応は自社のエリアに限らず、県内あるいは県外の自治体からの相談にも応じるという形で、ウイングを広げた取り組みを展開しています」。
     同社は富山が本社のインテックと連携し、スマートシティを支える大掛かりな都市OSではなく、より身近なエリアデータ利活用の地域DXを提供している。「ケーブルテレビ業界では、愛媛CATVがインテックと連携してベースモデルを構築し、となみ衛星通信テレビを中心に富山県内の事業者に拡がり、その後もユースケースを鍛え上げてきた実績があります。私たちのタスクフォースは、この基盤を全国の自治体に各地のケーブルテレビ事業者を通じて提案していきたいと考えています」。地域データ連携基盤をゼロから構築しようとすると多大な費用がかかるが、基礎自治体が必要とする要素を熟知したケーブルテレビ業界がすでにその基盤を整備している。各自治体がその上に地域データを載せることで、アウトプットと可視化ができ、自治体は地域データ利活用が容易に可能となる。この地域データ連携基盤を同タスクフォースは有志のケーブルテレビ事業者とともに自治体へ提案している。同タスクフォースは、「全国のケーブルテレビ事業者が横展開可能な地域データ利活用の仕組みを提供していることを全国の自治体に周知させたい」と考えている。
     また、地域データ連携基盤はIoTダッシュボードの機能も利用できる。これは、射水ケーブルネットワーク(富山県)とZTV(三重県)が共同開発したもので、河川の水位など、IoTで得たデータを分かりやすく可視化するソリューションだ。

     地域内資金循環の軸として機能するケーブルテレビ

     加藤委員長は2024年12月に国土交通省の地域生活圏専門委員会に出席し、ケーブルテレビ事業者の取り組みについて事例発表を行った。「各地で新幹線が通っていない地域に誘致したり、未整備地域に高速道路を誘致したりする運動が行われています。しかし、これらの大規模インフラ整備が実現するのは何十年先の話であり、その間に現状の人口規模を維持できるか疑問です。住民が幸せに暮らし続けられるための生活インフラを提供するためには、単独の自治体だけで考えるのではなく、近隣の複数の自治体が連携して取り組む必要があります。これが地域生活圏という概念であり、この軸となる組織として各地のケーブルテレビ事業者がなり得ます。国土交通省はそのような軸となる法人をローカルマネジメント法人と呼び、経済産業省はゼブラ企業、総務省はシュタットベルケと呼んでいます。これらの地域生活圏の軸となる法人として、ケーブルテレビ事業者は最適です」。
     地方のお金は県外や世界中へ流出している。かつては国内の大手事業者に流れていた地域の資金が、今では世界の大手事業者へも流れている。「そのため地方は疲弊し、存続が危ぶまれる状況にあります。それに対して、国を批判するだけでなく、地域自らが立ち上がるという地域生活圏の考え方が必要であり、これにより地域内資金循環が実現できます」。同委員会はその経済効果を算出している。
     地域新電力などの新たな事業を地域で立ち上げ、地域内資金循環の核となる企業としても、ケーブルテレビ事業者が適している。各地域のケーブルテレビ事業者には、地域の状況に沿った新たな事業を創出し、地域内資金循環を促進することが可能だ。「私たちのタスクフォースは、多くの仲間のケーブルテレビ事業者が創意工夫で新事業創出に挑戦している実績を、自治体にもぜひ知っていただきたいと考えています。私たちケーブルテレビ事業者の顧客には、地元自治体、地元の民間企業、そして地元の生活者が存在し、提供するあらゆるサービスの便益は、最終的に地元の生活者に還元されます」。ケーブルテレビ事業者が行政サービスをサポートすることで、その効果が地元の生活者に還元されるのだ。
     全国には452(総務省「令和6年ケーブルテレビの現状」令和6年12月版)以上のケーブルテレビ事業者が存在しており、これは世界的に見ても日本だけの特徴だ。ケーブルテレビ事業者の展開は各地に広がっている。しかし、その潜在能力については国や多くの自治体がまだ十分に理解していないのが実情だ。「地域DXの実現などの課題を抱える自治体は、コンサル会社や大手IT企業に相談する前に、まず地元ケーブルテレビ事業者に一度相談してみていただきたいと思います。すでに多くの地域で、自治体が連携して地域課題を解決するパートナーとして、企業規模は小さいながらも各地域のケーブルテレビ事業者は重要な役割を担っています」。ケーブルテレビ事業者は自治体が連携するパートナーとして、信頼に足る事業者なのだ。


    自治体・ケーブルテレビ連携のイベント「ケーブル技術ショー2025」
    本連載の地域DX事例のキーパーソンが結集するシンポジウムも開催

     ケーブルテレビ業界で国内最大の展示会「ケーブル技術ショー2025」が、「自治体+ケーブルテレビ」のイベントに進化して2025年7月に都内で開催される。近年、自治体が地域DXのインフラ構築や運営などの業務を地元ケーブルテレビ事業者に委託する成功事例が全国で増えている。ケーブルテレビ業界でも、地域DX事業への取り組みに業界を挙げて力を入れている。

     このような動向を受けて、今年のケーブル技術ショーは自治体関係者向けの展示やセミナー、ケーブルテレビ事業者と自治体の来場者、出展者が意見交換や交流を深めるための交流イベントなどを大幅に強化する。

     ケーブル技術ショーでは、本連載でレポートする自治体・ケーブルテレビ連携による地域DXのキーパーソンたちも会場に結集。シンポジウムやセミナーで、より詳しい情報を話したり、聴講者からの質問に直接答えたりする。交流イベントで情報交換もできる。

    ※本連載、ケーブル技術ショー2025の自治体・ケーブルテレビ連携に関する主催者展示、シンポジウム、セミナーの企画は、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟の「地域ビジネス推進タスクフォース」のご協力をいただきながら実施します。

    ●「ケーブル技術ショー2025」の概要

    開催日

    2025年7月24日(木)・25日(金)
    (オンライン展示は6月24日(火)~ 9月10日(水))

    会場

    東京国際フォーラム

    主催

    (一社)日本ケーブルテレビ連盟、(一社)日本CATV 技術協会、(一社)衛星放送協会

    ・参加料金

    無料※(事前登録制)

    ※「ケーブルコンベンション2025」も同会期・同会場において開催されます。

    一般社団法人 日本CATV技術協会
    一般社団法人 日本CATV技術協会
    一般社団法人 日本CATV技術協会
    設立1975年7月1日
    代表者名理事長 中村 俊一
    本社所在地

    〒160-0022
    東京都新宿区新宿6-28-8 ラ・ベルティ新宿6F

    事業内容

    各地の自治体は「デジタル田園都市国家構想交付金」や「地方創生推進交付金」などを活用し、地域の活性化や持続化可能な地域社会の創生を目的にICTサービスの導入によるさまざまなDX改革を進めています。 地方公共団体と繋がりが深いケーブルテレビは、地域密着の情報通信インフラとして、あるいは地域に根差した事業者として、地方公共団体や民間企業と連携し、自治体DXや地方共創、スマートシティの取り組みなどを積極的に進めています。 ケーブル技術ショー2025では、地域課題解決に向け地方公共団体やケーブルテレビ事業者を集め、ソリューションやノウハウなどの解決策の提供に加えビジネスマッチングを開催いたします。

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