(2024/4/24更新)
2024年3月に発表された健康経営優良法人は大規模・中小規模両部門をあわせ、前年度より約3,000件増え、総数は19,721件となりました。一方で、「健康経営優良法人認定」を取得している自治体は少数です。自治体職員の生産性向上・働きがい向上は住民サービスの向上につながります。また自治体は地域企業の健康経営の推進に関する政策を立案・実行し、域内企業をサポートするための役割を担っていることから、自治体が率先して健康経営に取り組むことは、健康経営の普及の観点からも重要です。
今回は自治体職員のwell-being向上につながる健康経営についてご説明します。
MS&ADインターリスク総研株式会社
リスクマネジメント第四部 人的資本・健康経営グループ 上席コンサルタント
原 佑輔はら ゆうすけ
保険会社にて、企業営業や中小企業向けに人事労務分野での支援業務を経験した後、現職。
現在は健康経営コンサルティング業務を担当し、大企業から中堅・中小企業まで、幅広く伴走型支援に取り組んでいる。また、セミナー講師として、各地でのセミナー・ワークショップに携わり、地方創生や地域活性化にも貢献している。
健康経営とは
「健康経営®*」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等の健康保持・増進に取り組むことは、従業員の活力向上や生産性向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や組織としての価値向上へ繋がることが期待されます。
「従業員の採用や定着」「組織の活性化」や「生産性向上」など経営課題は様々ですが、健康施策(健康投資)を通じて経営課題の解決や改善につなげるアプローチのひとつと言えます。
〇〇経営といった言葉はいくつもありますが、コンサルティングの現場では、同様に、“健康経営は経営戦略”“担当者だけではなく会社(組織)全体で取り組むべきもの”とお伝えしています。
*健康経営®は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
<健康経営とは(イメージ)>
押さえておくべき“3つの健康”の考え方
では、「健康」とは何なのでしょうか。健康経営の実践において、考え方を押さえておく必要があります。世界保健機関の定義では「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態(日本WHO協会訳)」とされています。健康というと、一般的には、心(精神)と体(身体)の2面でとらえがちですが、もうひとつ「社会的健康*」があり、この3つの健康が満たされた状態が(真の)健康ということです。
なお、この状態を、英語でwell-be-ng(ウェルビーイング)といい、日本語では「幸福」などと訳されます。
well-be-ng(ウェルビーイング)という言葉も徐々に認知されてきていますが、(真の)健康と幸福は近い概念であり、従業員・職員のwell-be-ng(ウェルビーイング)向上に取り組む上でも、健康経営の実線はその土台となります。
(*)他人や社会と建設的で良い関係を築けることとされ、ワーク・ライフ・バランスや働きがいに関する施策もそのひとつです。
<3つの健康(イメージ)>
健康経営と生産性向上
さて、健康経営のメリットの一つとして、生産性の向上・プレゼンティーイズムの改善が挙げられます。プレゼンティーイズムとは「出勤しているものの、健康上の影響から、自覚の有無にかかわらず本来の能力を発揮できていない状態」を言います。原因は睡眠不足や肩こり・腰痛、生理、人間関係など様々です。
近年ではプレゼンティーイズムの測定・分析についての研究も進んでおり、プレゼンティーイズムによる損失は、医療費や休職・退職による損失(アブセンティーイズム)よりも、企業・組織に与える影響が大きいとされています。また、大企業を中心に健康経営で改善すべき指標(KPI)として、プレゼンティーイズムの改善目標値を設定し取り組む企業も見られます。
<従業員が不健康になることで企業が負担するコスト>
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