※下記は自治体通信 Vol.62(2024年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
自治体の職員は日々、住民生活の維持・向上を図るべく、業務に取り組んでいる。そうした日常でもらう住民からの「感謝の言葉」は、職員にとって励みとなり、ときには、業務の本質に改めて気づかせてくれるヒントにもなる。とはいえ、実際に住民から感謝の言葉受けた自治体職員をクローズアップ。エピソードを通じて、職員たちの誇るべき仕事ぶりを紹介する。
みんなでワイワイとはしゃげる、あの「最高の楽しさ」を追求しました
―どのような経緯で感謝の言葉を伝えられたのですか。
白馬村では令和5年度から、長野五輪のレガシー「白馬ジャンプ競技場」で「ウォータースポーツフェスティバル」というイベントを夏に開催しています。これは、ジャンプ台の傾斜と散水機を活かしたウォータースライダーや水鉄砲などを用意し、地元の子どもたちに水に親しんでもらおうと私が発案したものです。当村は観光産業に従事する住民が多く、そうした家庭では観光の繁忙期である夏に子どもたちを海や大きなプールのある地域へ連れていく機会をなかなかつくれません。そうした事情から、イベント当日に多くの参加者から「楽しかった」「家族の良い思い出ができた」といった声をいただいたのです。その反響の大きさから、村長もイチオシのイベントになっています。
―イベント発案の背景には特別な想いがあったのですか。
「みんなでワイワイ遊べる場を子どもたちにつくってあげたい」という想いがありました。地域には公園が少なく、今は友達とオンラインでゲームができるようにもなったため、暑い夏に外で集まって遊ぶ子どもがずいぶん減ったと寂しく感じていました。そうしたなか、競技場の散水機を見て頭に浮かんだのが、庭のホースで友達と水をかけ合いはしゃぎ回った、幼い頃の記憶でした。我々生涯学習スポーツ課は、スポーツ推進を目的にイベント企画を行っていますが、「体を動かしてみんなで楽しむ」というスポーツのエッセンスを次の世代に伝えるために、最高に楽しかった「あの水遊びの体験」を活かせそうだと考えたのです。
―今回の経験は、栗山さんにとってどのような意味がありましたか。
住民視点に立って仕事をすることの大切さを改めて実感しました。私の業務には、村の象徴とも言える五輪施設の有効活用も含まれます。今回は、子どもたちの視点を大事にしたからこそ、ジャンプ競技場をウォータースポーツに活用するという、村でも過去に例がないチャレンジングな取り組みが発想され、ジャンプ競技場に「笑顔と思い出をつくる場」という新たな価値を生み出すことができました。今後も、住民視点に立脚した企画を通じて、住民の健康で豊かな暮らしや、村の魅力づくりにつなげていきたいです。
『自治体通信』では、自治体職員のみなさんが住民に感謝されたエピソードを募集しています。
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jt_editorialdept@ishin1853.co.jp 『自治体通信』編集部