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岡山県備前市の取り組み
先進事例2023.09.08
地域住民へのスマートフォン貸し出し

希望者への「スマホ貸与」で、デジタルの恩恵をすべての住民へ

[提供] 楽天モバイル株式会社
希望者への「スマホ貸与」で、デジタルの恩恵をすべての住民へ
この記事の配信元
楽天モバイル株式会社
楽天モバイル株式会社

※下記は自治体通信 Vol.52(2023年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

自治体DX推進の機運が高まるなか、その恩恵を等しく全住民に行き渡らせる責務を持つ自治体では、高齢者をはじめとする一部住民の情報格差、いわゆる「デジタル・ディバイド」をいかに解消するかが重要なテーマとなる。そうしたなか、備前市(岡山県)では、希望するすべての住民にスマートフォンの貸し出しを行うというユニークな施策を展開している。その経緯と効果について、同市担当者の國光氏と川﨑氏に話を聞いた。

[備前市] ■人口:3万1,586人(令和5年7月末日現在) ■世帯数:1万5,374世帯(令和5年7月末日現在) ■予算規模:432億97万7,000円(令和5年度当初) ■面積:258.14km² ■概要:岡山県の南東部に位置する。総面積の75%を山林が占め、人口の集中した集落が各地に分散して形成されている。「日本六古窯」の1つである「備前焼」が有名で、古くから焼物のまちとして発展。カキ養殖業も盛ん。
インタビュー
國光 裕一郎
備前市
総合政策部 事業推進課 課長
國光 裕一郎くにみつ ゆういちろう
インタビュー
川﨑 誠
備前市
総合政策部 事業推進課 課長補佐
川﨑 誠かわさき まこと

「スマートフォン未保有」が、DX施策の進展を妨げている

―「スマートフォン貸与事業」を開始した経緯を教えてください。

國光 当市では、令和4年3月に「備前市スマート自治体戦略」を策定し、DX施策を推進してきました。その成果を着実にあげる一方で、感じていた課題もありました。それは、すべての人がデジタルの恩恵を受けられているわけではないことでした。やはり高齢者層にスマートフォンを保有していない方々が多く、そのことがDX施策の進展を妨げている要因となっていたのです。そこで、ほかの自治体でも行っている「スマートフォン貸与事業」の実施を当市でも検討しました。

―事業の設計は、どのように進めたのでしょう。

川﨑 この事業には高齢者のデジタル・ディバイド解消だけでなく、通信料の経済的負担を軽減したいという意味合いも持たせたいと考えました。また、「いまやスマートフォンは重要な生活インフラの一部」と考える市長の意向もあり、事業の対象を高齢者に限らず、3年間、希望するすべての市民に貸与する方針としました。令和5年度当初予算可決後の4月に各社から提案をいただき、楽天モバイルを選定しました。選定のポイントは、まずは価格競争力でした。一定の予算内でできるだけ多くの市民にスマートフォンを貸与したかったからです。加えて、当市の要望に沿った機能の実装を実現してくれた点も高く評価しました。

利用者の生活自体が変わった

―詳しく教えてください。

川﨑 「通話し放題」機能は、いわゆる「ガラケー」利用の高齢者が、安心してスマートフォンに移行してもらうために必須でした。また、悪質サイトにつながらないようにするフィルタリング機能や、遠隔で端末管理できるMDM*機能なども搭載しました。この端末について、フィルタリング料を頂戴する名目で、「1台あたり月額209円、36ヵ月分で7,524円」を先払いしていただく形で貸与しています。

*MDM : Mobile Device Managementの略。「モバイルデバイス管理」の意

―事業の推移はいかがですか。

川﨑 6月末までの2ヵ月間で約1,300台の申し込みがありました。このうち、60歳以上の高齢者が半数ともっとも多かったのは予想通りでしたが、8~12歳が全体の20%を占めたのは意外でした。現在は「スマホ教室」を通じて使い方を教えながら、住民の利便性や行政効率の向上を目指しています。

國光 その効果が顕在化するのは今後ですが、すでに「離れて暮らす家族とのLINEが楽しい」「スマホで調べものをするようになった」と利用者の生活自体が変わっていることは、なによりの成果といえるかもしれません。

支援企業の視点
活用までを支援するスマホ普及策が、デジタル格差解消の有効な一手に
インタビュー
吉田 佳祐
楽天モバイル株式会社
法人セールス& マーケティング本部 モバイル法人営業1部 法人営業2課
吉田 佳祐よしだ けいすけ
平成5年、富山県生まれ。電気通信工事会社を経て、令和4年に楽天モバイル株式会社へ入社。おもに自治体向けに法人回線の提案業務を行っている。

―デジタル格差の解消に力を入れる自治体は増えていますか。

 とても増えています。自治体DXを推進する過程で、「高齢者のデジタル・ディバイドの解消」は避けられない課題であり、自治体からのスマートフォン貸与は、その有力な解になりえます。ただし、そこで重要なのは、低価格でどれだけの台数のスマートフォンを用意できるかといったハード面の対策に加え、いかに活用の機会を広げていくかといったソフト面での支援です。そこで当社では、スマートフォンの導入のみならず、活用までを支援するソリューションを提供しています。

―詳しく教えてください。

 たとえば、健康生活応援アプリ『楽天シニア』では、日々の歩数達成やポイント対象施設の利用、各種イベントの予約や参加により、「楽天ポイント」を貯められます。当社主催の「スマホ教室」でこうした機能を紹介しながら、高齢者のスマートフォンの使いこなしや、イベントを通じた社会参加の促進と地域コミュニティの創出を支援できます。さらに、その自治体の「地域アプリ」の認知を広げ、生活に根差したスマートフォン活用を地域活性化につなげるといった自治体支援も提供できます。

―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。

 当社では、スマートフォンの提供のみならず、通販サイト『楽天市場』で培ったノウハウと知見を活かし、地域産業の活性化や関係人口の創出といったプラスαの提案で包括的な自治体支援に力を入れていきます。ぜひお問い合わせください。

楽天モバイル株式会社
楽天モバイル株式会社
設立

平成30年1月

従業員数

4,830人(令和5年1月1日現在)

事業内容

電気通信事業法に基づく電気通信事業そのほか通信に関する事業

URL

https://corp.mobile.rakuten.co.jp/

お問い合わせ先
0800-805-1100(平日 9:00~17:00)
rm-CorpSales-Group3@mail.rakuten.com
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