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東京都世田谷区の取り組み
先進事例2025.04.14
体育館の熱中症対策

【遮熱対策・低コスト】遮熱シートで冷房効率を高め、体育館の熱中症対策を強化
屋内用遮熱シート はるクール / 文化シヤッター

[提供] 文化シヤッター株式会社
【遮熱対策・低コスト】遮熱シートで冷房効率を高め、体育館の熱中症対策を強化(屋内用遮熱シート はるクール / 文化シヤッター)
この記事の配信元
文化シヤッター株式会社
文化シヤッター株式会社

※下記は自治体通信 Vol.65(2025年4月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

昨今の気温上昇を受け、学校での熱中症対策は自治体の急務となっている。世田谷区(東京都)では、令和元~2年に体育館空調を整備したものの、夏場の気温上昇が著しいことから冷房効率の低下が顕著になってきたという。その課題解決のために、同区では「遮熱シート」を一部の体育館に先行して導入し、今後の利用拡大を目指した効果検証も実施している。遮熱シートに着目した理由とその効果を、同区教育委員会事務局の池田氏と金子氏に聞いた。

[世田谷区] ■人口:92万2,947人(令和7年3月1日現在) ■世帯数:50万2,391世帯(令和7年3月1日現在) ■予算規模:5,868億6,800万円(令和7年度当初) ■面積:58.05km² ■概要:昭和7年、荏原郡の世田ケ谷町・駒沢町・玉川村・松沢村が合併して誕生。江戸時代は農村として栄えていたが、鉄道開通以降、宅地開発が急速に進んだ。人口規模は特別行政区内トップで、三軒茶屋、下北沢、二子玉川などの商業地がある一方、国分寺崖線に代表される樹林地や湧水地なども多く、都市型農業も盛んに行われている。
インタビュー
池田 あゆみ
世田谷区
教育委員会事務局 教育政策・生涯学習部 副参事(教育施設担当)
池田 あゆみいけだ あゆみ
インタビュー
金子 広宣
世田谷区
教育委員会事務局 教育環境課 教育担当係長
金子 広宣かねこ ひろのぶ

エアコンだけでは、暑さ対策が困難に

―従来の体育館の熱中症対策ではどのような課題が生じましたか。

池田 当区では令和元年から2年にかけて、児童・生徒の熱中症対策として、小中全90校の体育館に40kWのエアコンを設置し、WBGT*を31以下に保つよう運用してきました。しかし、昨今の気温上昇に伴い室内温度も上昇したため、冷房効率が低下し、エアコンだけで同値を31以下に保つのが困難になっていました。学校からは体調を崩す児童・生徒の増加が報告されていたうえ、区議会からも環境配慮の観点で消費電力量の増大が問題視されるようになっていました。

金子 当区では令和5年度に策定した「教育振興基本計画」に、気候変動対策として学校設備のZEB*化推進を盛り込み、改築や大規模改修の機を捉えて実現していくこととしましたが、暑さ対策においても計画に準じて、電力消費を抑えつつ、冷房効率を高めるための調査・検討を進めてきました。

―調査・検討の際、どのような点を重視しましたか。

池田 調査のなかで、体育館の屋根から流入する輻射熱*が室内温度を上げ、エアコンの冷房効率が低下することがわかりました。そこで輻射熱の影響を抑える方法を検討していた折、展示会で「遮熱シート」の存在を知りました。館内の天井に設置するだけで輻射熱の影響を防いで室内温度の上昇を抑えることから、冷房効率の向上にも有効ではないかと考えたのです。

金子 加えて、設置工数が最大4日という点も魅力でした。ほかに断熱材も検討しましたが、設置に2~3ヵ月を要し、費用も数千万円におよぶため、全90校への完備には期間と予算がかさみます。気温上昇のペースと児童・生徒の安全を考慮すれば早期整備が望ましく、遮熱シートがより適していると判断しました。令和6年5月に入札を行い、文化シヤッター社の遮熱シート『はるクール』を9校に設置、先行検証を進めています。

*WBGT : 温度や輻射熱、気温などを考慮した熱中症予防を目的とする指標
*ZEB : 年間で消費するエネルギー量の削減に加え、エネルギーを創出して、エネルギー収支ゼロを目指した建築物
*輻射熱 : 太陽や機械から放出される遠赤外線などによって伝わる熱のこと

平均WBGTを2.5下げられた

―設置の効果はありましたか。

金子 文化シヤッター社の実測データでは、エアコンを切った状態での平均室温で2.6℃、平均WBGTを2.5下げることがわかりました。学校現場からも「エアコンが効くようになった」と報告を受けており、有効な熱中症対策になると実感しています。夏季の実測は今年度行う予定ですが、同社によれば1ヵ月あたりの消費電力量を約57%に抑えられ、冷房効率の向上効果も期待しています。設置費用も断熱材の半分以下のため、さらに多くの体育館への整備も早期に実現したいと考えています。

―今後の方針を聞かせてください。

池田 当区の体育館はすべて避難所に指定されており、夏季に災害が起きた際には、避難住民の熱中症対策にも有効だと考えています。今後は多様な施設への利用拡大も視野に検証を続けていきます。

支援企業の視点
体育館の「断熱・遮熱対策」として、空調整備の交付金要件も満たせる
インタビュー
大内 修一
文化シヤッター株式会社
環境事業部長 兼エコ素材部長
大内 修一おおうち しゅういち
昭和39年、福島県生まれ。昭和62年に東京農業大学農学部を卒業後、文化シヤッター株式会社に入社。営業職として大手ゼネコンを担当し、首都圏ビル建材支店長・九州支店長を経て、令和6年より現職。おもに自治体を始めとして、民間企業も含めた暑熱対策での環境改善推進を担う。

―体育館の熱中症対策をめぐる自治体の動きをどう捉えていますか。

 事例で紹介されている世田谷区は、体育館に空調を整備したうえでのさらなる熱中症対策ですが、そもそも全国での体育館空調の設置率は令和6年9月現在で約18%と低迷しています。この状況を受け、文部科学省は令和6年度から体育館への空調設置を加速化する方針を掲げ、費用の半分を交付する制度を創設しました。ただし、その交付金の要件の1つに、エアコンの冷房効率を高める「断熱性の確保」があります。なかには、断熱材の施工に数千万円単位の費用がかかるケースがあるため、ためらう自治体も多いようです。

―解決策はありますか。

 費用を抑える形で、要件である「断熱性の確保」を満たす仕組みがあります。当社の遮熱シート『はるクール』はその代表格だと自負しており、費用を抑えられるだけでなく、設置工数も少ないため、短期間で多くの体育館への整備を目指せます。当社では、遮熱シートの提供に加え、施工スケジュールや予算の編成を含め、熱中症対策を効率的に進める包括的な支援が可能です。

―今後、自治体をどのように支援していきますか。

 当社の『はるクール』は取り付けが容易で、体育館だけでなく、多様な施設で活用できます。現在は専門家とともに畜産農家の牛舎などで検証を進めており、有望な結果も得られています。今後は、あらゆる施設での設置を可能にし、自治体の熱中症対策を後押ししていきます。

文化シヤッター株式会社
文化シヤッター株式会社
設立

昭和30年4月

資本金

150億5,100万円

売上高

2,211億円(連結:令和6年3月期)

従業員数

5,290人(連結:令和6年3月期)

事業内容

各種シャッター、住宅建材、ビル用建材の製造および販売

URL

https://www.bunka-s.co.jp/

お問い合わせ先
0570-666-670(ナビダイヤル) (平日 9:00〜17:00)
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