大きくて重い音響機器では、運営するのもひと苦労だった
―新たにポータブルサウンドシステムを導入した理由を教えてください。
講座やイベントなどで、もっと円滑に地域コミュニケーションを図るためです。
当協議会が運営する『アクロスあらかわ』では、おもに障害のある方の自主活動の場として、また障害のある方・ない方の枠を超えたコミュニケーションの場として、講座やイベントなどが随時開催されています。会議室に音響設備はありますが、たとえば交流ロビーなどには音響設備もマイクもない。以前はボランティアセンターからポータブルサウンドシステムを借りていたんですが、大きくて重く、電源をつながなくてはならないなど、けっこう運営が大変で。そのため、新たに購入を検討していたのです。
―購入する際のポイントはなんでしたか。
やはり、コンパクトで軽い点ですね。当会館は女性スタッフが多く、手軽にもち運べることは重視しました。さらに、操作が簡単である点。そうすれば、お客さまがスムーズに利用できるうえに、職員も説明の手間が省けますから。あとは、機能面の多様さ。お客さまにはいろんな方がいらっしゃいます。「スマホに入っている音楽を流したい」など、個別の要望もあります。機能が多様なほど、多くのお客さまに使っていただけるはずですからね。
そうした観点を満たしていたのが、ある民間企業のポータブルサウンドシステムでした。同種の製品と比べると、コストが抑えられるのも決め手でしたね。
災害による停電時でも、活用できると期待
―導入後の反応はいかがですか。
お客さまからは「軽くてマイクもワイヤレスで使いやすく、音質がいいので聞き取りやすい」といった声が聞かれています。また、使い方を説明すると、だいたいみなさん一回で覚えてくれますね。さらにBluetoothやSDカード、USBなど入力手段も多様なため、お客さまの使い勝手もいいと思います。
また、機能を活かした新しい利用の仕方もされています。
―どのような使い方でしょう。
小・中学生を対象に、電動車椅子に乗った方を講師に迎えてバリアフリーにかんする勉強会を開催しているのですが、そこで活用しています。たとえば勉強会では、実際に参加者に車椅子体験をしてもらうのですが、館内や館外で実際に乗ってもらっているんです。その際、電動車椅子に機器を積んで、もち運びながら講師の方にワイヤレスマイクで説明してもらうのです。以前は肉声だったので、後ろのほうにまで声が届きにくかったのですが、いまではすべての子どもたちに声が届き、しっかり話を聞いてくれるようになったようです。
―これからの活用方針を教えてください。
『アクロスあらかわ』は荒川区における障害者の福祉避難所に設定されているため、災害による停電の際などに活用できると考えております。また、平常時でも積極的に活用して、円滑なコミュニケーション支援をしていきたいですね。