熊本県宇城市の取り組み
通信ネットワークの管理
機器の接続状況を「見える化」し、管理上の「リスクとムダ」を排除
宇城市 総務部 情報政策課 情報政策係 主査 牧野 朝日
※下記は自治体通信 Vol.42(2022年9月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
多くの自治体では、情報セキュリティ対策や業務効率化などを目的にさまざまなIT機器を導入しており、その度に通信ネットワーク(以下、ネットワーク)の構成変更が繰り返されている。こうしたなか、宇城市(熊本県)は、従来の複雑化したネットワーク管理に課題を感じ、機器の接続状況を可視化する実証実験を行った。実験の背景や得られた成果について、同市担当者に聞いた。
[宇城市] ■人口:5万7,683人(令和4年7月1日現在) ■世帯数:2万5,064世帯(令和4年7月1日現在) ■予算規模:542億2,317万円(令和4年度当初) ■面積:188.61km2 ■概要:熊本県のほぼ中央部に位置し、九州自動車道や国道3号線、JR鹿児島本線が市の南北を貫くなど県内交通の要衝としての役割を果たす。平成17年に5町(三角町、不知火町、松橋町、小川町、豊野町)の合併により誕生。平野部にはのどかな田園風景が広がり、不知火海・有明海に囲まれた海岸沿いも美しい。温暖な気候を活かした果樹栽培が盛ん。
複雑なネットワークの管理を、電子ファイルで行う限界
―宇城市では、どのようにネットワークの管理を行っていたのですか。
平成28年に「三層の対策」としてネットワークを構築した際の構成図などをもとに、ルーターやスイッチといった通信機器をExcelやPowerPointなどの電子ファイルで管理していました。しかし、庁内の無線化や施設の増減によるネットワーク構成の目まぐるしい変化に対して、こうしたネットワークの管理方法には課題を感じていました。
―どういった課題ですか。
通信機器が複雑に接続されているネットワーク構成を電子ファイルで管理するには限界があることです。ネットワーク管理にはそもそも専門的な知識がいるため、ファイルの更新業務が属人化し、更新の精度にバラツキが出てしまいます。実際、この数年は新たなIT投資が進み、機器の増設や配置変更が続いたため、実際のネットワーク構成とファイルの内容に乖離が生じてしまっていました。このため、万一機器故障やセキュリティインシデントが起きた場合の初動対応が遅れ、多くの職員の業務や市民サービスに支障をきたしかねないと感じていました。そこで、専門誌や展示会で情報を収集し、対策を検討しました。
―よい対策は見つかりましたか。
はい。ネットワークの管理を目的としたソリューションは少ないなか、『AX-Network-Manager(以下、AX-NM)』というツールを知り、その活用効果を検証するために昨年1月から実証実験を行いました。『AX-NM』は、ソフトウェアをサーバにインストールするだけで、通信機器の接続関係を表示する「トポロジーマップ」を簡単かつリアルタイムに作成できます。専門知識がなくてもネットワークの全貌を視覚的に把握できるため、人事異動が多い自治体でも業務の属人化を解消しつつネットワーク管理上のリスクを排除できると実感しました。
このほか実証実験では、「IT資産の最適化」という別の成果を得ることもできました。
ムダなIT資産を見つけ出し、ネットワーク構成を最適化
―どのようにして、IT資産を最適化できたのですか。
『AX-NM』では、通信機器の使用状況を調べられるため、通信機器とLANケーブルが接続されているものの、実際には使用率の低い機器の存在を把握できました。こうして把握した情報をもとに、必要性の低い機器を削減・集約することで、実証実験を行ったフロア内での機器コストを削減することができたのです。
今後は、DXの推進に伴い、情報セキュリティの強化やIT資産管理の重要性が一層高まっていくはずです。そうしたなか、通信機器の管理を簡単かつ効率的に実現できる『AX-NM』は非常に有効なツールだと感じています。実証実験は終了しましたが、現在は本格導入を検討しているところです。
支援企業の視点
機器のあらゆる接続状況を把握し、ゼロトラストの管理体制を築け
アラクサラネットワークス株式会社 営業本部 第一エンタープライズ ビジネス部 主任 廣瀬 淳
―自治体におけるネットワーク管理の現状を教えてください。
IT機器やソフトウェアを個々に管理していても、ネットワーク全体を管理できている自治体は少ないのが現状です。一方で、業務のDXが進むなか、情報資産につながるあらゆる場所でセキュリティを担保する「ゼロトラスト」の考え方が重要になってきます。ゼロトラストを進めていくには、個別の機器だけでなくネットワーク全体を効率よく管理することが必須です。そこで当社では、そうしたネットワーク管理を支援する『AX-NM』を提案しています。
―特徴を教えてください。
ネットワーク全体や接続機器の状況を可視化できるほか、機器を効率よく管理するための機能を一気通貫で提供できる点です。たとえば、「監視機能」では機器が正常に稼働しているかどうかを監視し、トラブル発生時の初動を早められます。「変更管理機能」では、機器の設定情報を自動収集することで、ネットワークの現状と机上で管理している情報の乖離を防ぎ、セキュリティリスクの低減に役立ちます。『AX-NM』はマルチベンダー対応のため、機器を増設する際にベンダーロックインの制約が少ないという特徴もあります。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
当社はこれまでもさまざまな通信機器の提供を通じ、多くの自治体のネットワーク構築を支援してきました。こうした豊富な実績を活かし、今後もネットワークをめぐる多様な課題やニーズに対し提案を行っていきますので、ぜひご連絡ください。
廣瀬 淳 (ひろせ あつし) プロフィール
大分県生まれ。システムインテグレータ、無線LAN製品専業メーカーの営業を経て、令和元年、アラクサラネットワークス株式会社に入社。現在は公共および放送分野の営業活動に従事。
アラクサラネットワークス株式会社
設立 |
平成16年10月 |
資本金 |
20億円 |
従業員数 |
約230人(令和4年3月末現在) |
事業内容 |
ルーター、スイッチなどネットワーク機器の開発・製造・販売・保守など |
URL |
https://www.alaxala.com/ |
お問い合わせ電話番号 |
044-549-1531 (平日 9:00~17:00) |
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