こんな人に見てほしい
☑ 業務の効率化、定型化を検討中の自治体・企業様
☑ 窓口業務やバックオフィスのデジタル化を検討中の自治体・企業様
課題
- デジタル化の推進により業務効率を高め、コスト対策をしたい
- 窓口業務の定型化をはかりたい
導入サービス
- 窓口、事務委託業務(BPO)
区役所窓口、電話対応
各種手続きにおける事務業務
成果
- 書類点検業務において、生産性を52%向上、月437時間分の効率化
- タブレット端末を活用した運用構築により、窓口業務の教育時間を削減
政府が掲げる「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」というビジョンの実現に向け、地方自治体ではDX推進に向けた動きが加速しています。ここではAI-OCR(AIを使った文字の自動認識)やタブレット端末の活用により、業務効率化やコスト削減に成功した杉並区役所 保健福祉部国保年金課様(以下敬称略)の事例をご紹介します。
お話を伺った方
課長代理 管理係長 佐藤 良三 様
国保年金課資格係 係長 藤崎 雅秋 様
区役所協力のもと、現場知見を活かしたBPRを実施
政府が「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を掲げる中、デジタル化による業務効率化や住民の利便性向上など、自治体に求められる役割はますます重要なものとなっています。
自治体での問合せ対応業務がより高度化・多機能化していく中、杉並区役所は2021年に基幹システムを全面改修。これに伴い発生した残業時間の増加や書類処理の滞留という課題をきっかけに、杉並区役所とベルシステム24はBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を実施しました。
区役所との協力体制と、ベルシステム24が長年培ってきた自治体支援の知見を活用し、職員目線、住民目線を取り入れた業務改善を実現しています。課題の設定・可視化を進め、窓口での運用を改善、継続的に効果検証を行う一連の業務改善プロセスを構築しています。
藤崎氏は「職員はどうしても前例を踏襲するという考え方が強くなりがちで、新しいやり方を取り入れるのにはかなりの勇気が必要です。ベルシステム24は、外からの視点で『こうすればもっと効率的になるのでは』と積極的に提案してくれるので、おおいにプラスに働いています」と話します。
AI-OCRによる申請書のデータ化で、月間約437時間の効率化に
徹底的な業務可視化と課題抽出の結果、紙の申請書の内容確認業務の負担が大きいと特定。紙の申請書と各種の情報を照合しており、点検に月間で約833時間かかっていました。「新しい基幹システムにより効率化された業務がある一方で、画面遷移に時間がかかったり、必要な情報にアクセスしにくかったりといったことが原因となり、申請数はほとんど変わっていないにもかかわらず、業務にかかる時間が大幅に増加していたのです」(藤崎氏)。申請書をデータ化することで、照合作業を自動で行い効率化が可能であることを導き、AI-OCR導入の提案をしました。
AI-OCR導入後は申請書が自動的にデータ化されるため、各種の情報がすべてPC上で照合でき、さらに業務フロー全体を見直したことにより、約833時間かかっていた業務を396時間まで大幅に短縮することで、コスト削減にも寄与しています。「本来であれば、業務量が増えたので委託料増加につながるところですが、AI-OCRによって残業時間が削減でき、コスト対策にもなりました」(佐藤氏)。
タブレット端末を使用した支援システム導入で窓口業務の定型化と教育時間の半減を実現
AI-OCRによる業務効率化に加え、窓口業務の高度化に対しては、ベルシステム24が開発したタブレット端末を活用した窓口業務支援システムを導入しました。
区役所への来訪者の様々な手続きをする際、タブレットに搭載したデジタルマニュアルを活用することで、教育期間を大幅に削減し、新人1人でも対応しやすい業務フローを構築しました。 窓口担当者がタブレット上で来庁者の手続き内容を選択すると、対応内容が記載されたチェックシートが表示され、申請条件を満たしているか、どのような書類が必要かなどを表示する仕組みです。チェックフローに沿って簡単に手続きを進められるため、新人教育にかかる時間は、約半分に短縮されました。
「今後は窓口で紙の申請書を使って手続きするだけではなく、自宅からオンラインで申請したり、マイナポータルを使ったりと、申請や手続きのチャネルが増加すると考えており、区役所の職員にとっても、よいきっかけになると感じています」(藤崎氏)。
さらに、このタブレットで使用するアプリは、現場で簡単に編集・拡張ができることが特徴です。流れに沿って項目を選択するだけで、窓口業務の担当者が自分でマニュアルを作り変えることができるのです。「法令や制度の改正によって、申請の条件が変わったり、必要な書類が変わったりということは珍しくありません。2022年も10月から後期高齢者医療制度で負担割合が変わる予定ですので、そういった時にもマニュアルが簡単に作り直せるのは有効ですね」と佐藤氏は言います。
異動が多い職員のスキル継承にも有効
デジタル化が促されたことに加え、令和4年度から、窓口業務に導入されたタブレットを活用した、職員のスキル継承対策が始まろうとしています。「定期的な人事ローテーションにより、国保年金課の業務に携わっている職員も常に入れ替わりがあります。特に窓口業務は一部を除き委託先にお任せしてしまっているからこそ、次に異動してくる職員にどのようにスキルを継承していくのかというのが課題です」(佐藤氏)。
例えば委託先から「法改正により業務をこのように改修した方がよいのでは」という提案を受けた際に、もし職員が窓口業務の経験がなく、充分な知識やスキルがなければ、その提案の良し悪しを判断することができません。佐藤氏も藤崎氏も、タブレットを活用し業務が定型化された状態で、職員も窓口業務を経験することで、少人数で業務を効率的に進めながら必要なスキルを受け継いでいけると期待しています。
RPAの実証実験を通じて事務作業自動化へ
国保年金課全体のデジタル化推進を目的とした実証実験も進んでおり、単なるシステムやツールの導入ではなく、実際の運用に落とし込んだ上で、望ましい形を検証していきます。
「デジタル化を進めることで、各業務の負荷や実際の作業時間が見えやすくなるという一面もあります。こういったデータを裏付けに、今後どの業務を職員が担い、どの業務を外部に委託するかを明らかにしたいという狙いがあります」と佐藤氏。もう一点の狙いとして人材育成があります。ベルシステム24はRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション:ボットによる業務の自動化ツール)の導入だけではなく職員が自分で機能を設定できるように学ぶ過程や体験を通して、今後のデジタル人材を育成できるよう提案。具体的にはRPAを活用するための研修を通して、業務再構成の知見を活かしながらデジタル化の総合支援を行います。
「デジタル化と聞くと抵抗を感じる職員にとって、良いきっかけになると考えています。実際にRPAなどに触れる機会を増やすことで、今後デジタル教育を受けてきた若手が入所する際にスムーズにつなげていけると思います。国保年金課は高齢者の方との接点も多いので、デジタルとアナログを上手く組み合わせいけたらと考えています」とDX意識の醸成や展望について藤崎氏は話します。佐藤氏も「国保年金課にとって、デジタル化に向けた動きは効率化やコストダウンという意味でメリットが大きいですし、将来RPAを使える人材が課から異動しても、区役所全体のデジタル化対応能力の底上げにつながると思っています」と続けます。
杉並区役所が目指す将来像に寄り添い、更なるデジタル化・効率化に向けて、ベルシステム24は、様々な角度から貢献をしていきます。
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