民間企業の取り組み
DXに向けた業務の見直し
現場目線による業務改革の実施が、全庁を見据えたDXの第一歩になる
株式会社ベルシステム24
第4事業本部 第2事業部 事業部長 吉田 豊
第4事業本部 第2事業部 営業G マネージャー 小松 一浩
第4事業本部 第2事業部 第3グループ 担当マネージャー 伊藤 光一
※下記は自治体通信 Vol.40(2022年7月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
現在、各自治体において、DXへの対応が本格的に始まっている。一方で、「どのように始めていいのかわからない」という担当者も少なくない。そうしたなか、自治体に対してBPOやコールセンターも含めたDX推進を支援しているベルシステム24の吉田氏は、「目先だけではなく、DXによって自治体が目指す将来像を描いたうえで取り組む必要がある」と話す。吉田氏を含めた同社の3人に、DXを進めていくためのポイントを聞いた。
DXの推進は、これから本格化していく
―自治体において、DXは進んでいるのでしょうか。
吉田 これから本格化していく、というのが現状だと思います。たとえばコロナ禍もあって、行政手続きのオンライン化は進んできています。総務省のデータでも、約9割の自治体で電子申請を導入済みという結果が出ています(下図円グラフ参照)。ただ、図書館の図書貸し出し予約や施設予約などに集中している傾向にあるのです。しかしながら、マイナンバーカードのさらなる普及やガバメントクラウドの提供が開始されますので、これから本格的なオンライン化が進んでいくと思われます。
―自治体がDXを進めていくうえでのポイントはなんでしょう。
小松 まず前提の話ですが、システムやツールを導入すること自体を目的にはしないという点です。本来の目的は、住民の利便性向上やそれに紐づく職員の業務効率化のはずです。システムやツールありきになると「使いにくい」となって、結局もとのやり方に戻ってしまうというのはありがちな話です。そうならないためには、「BPR*1」の実施、つまり業務改革が重要になってくるでしょう。次に、DX推進に意欲的な部署から導入していくことです。我々が自治体の現場を見て感じるのは、「やりたい」と手をあげた部署でトライアルを実施し、成果が出ることで、そこから徐々に庁内に広がっていくのが、一番DXが進みやすいケースだということです。また、この話にも関連するのですが、もう1つ重要なポイントがあります。
―それはなんですか。
小松 一部の業務に導入するだけでなく、全庁的な導入を見据えて取り組むことです。DXは1年、2年で終わる話ではありません。各自治体で異なる地域それぞれの将来像を見定めたうえで、住民サービスのDX、庁内のDXを図っていくことが重要です。それには、デジタルで地域間のコミュニケーションをより円滑にしていくことが必要です。そこで当社では、自治体が目指す将来像を、「自治体Communication‐DX(以下、自治体Com‐DX)」と銘打ち、包括的なDXの支援を行っているのです。
約20年の実績に基づいた、BPRを提供
―具体的にどのような支援を行っているのでしょう。
吉田 当社では「自治体Com‐DX」プロセスにおける取り組みをフェーズごとに分け、それぞれに応じた支援を行っています(下図参照)。DXに取り組み始めた自治体が多いなか、特に当社が現在、注力しているのは「フェーズ1」「フェーズ2」の支援です。なかでも「現場目線に立ったBPR」を重視しています。約20年前から行ってきた、税金や各種保険料が未納な住民への催告や窓口業務といった、自治体支援の経験を活かすことで、「全体最適化」「業務効率化」「情報セキュリティ強化」につながるBPRを実施できると自負しています。各種制度の理解を前提としたうえで、「制度上なにが必要か」「これをやればどういう結果が望めるのか」などを現場に入り込んで職員と一緒に落とし込みながら業務改善につなげていくのです。
BPRを実施して、成果を出した事例
―事例はありますか。
伊藤 BPRの一例として、現在、ある自治体で当社が受託している業務があります。その自治体は基幹システムの全面更改を行ったのですが、業務で一部処理が滞留するようになってしまいました。そのためBPRを実施し、業務の可視化・分析を行いました。そして、システム変更による「届出書点検作業」の生産性悪化が原因と特定したのです。そこで、届出書点検作業のなかでも効果的と判断した処理にAI-OCRを導入しました。その結果、月間437.3時間ぶんの工数削減に成功したのです。
また、窓口業務支援を目的に、当社で開発した「マニュアル表示機能」を、タブレット端末を使用して窓口業務に導入した際も、BPRを実施しました。導入後は以前と比べ、窓口対応のOJTを行うベテランスタッフの工数が約60時間ぶん効率化されました。
―そのほか、ベルシステム24における支援の特徴はありますか。
伊藤 「提案するシステムを選ばない」という点です。自治体によっては、システムをすでに導入しているというケースも多分にあるでしょう。我々は、そういった状況のなかでも、BPRを実施して運用業務を最適化する提案を行います。結果、システムの入れ替えフェーズで、「どんな要件があればいいか」と職員から相談を受けることもあります。一般的なシステムベンダーは、「自社のシステムを使ってどう便利にするか」という視点なので、それとは一線を画していると言えるでしょう。
包括的な支援や、各種実証実験にも対応できる
―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。
小松 住民とのコミュニケーションから庁内の業務効率化まで、幅広くDX支援を行っていきたいと考えています。当社はBPOサービスから自治体向けに支援を開始し、現在のDX支援まで領域を拡大してきました。実際に、115自治体、約250の事業を受託してきた実績があります。また、職員向けに「なぜDXが必要なのか」といった勉強会から始めることもできます。そのほか、住民と職員にインタビューを実施して、ニーズや課題を洗い出す支援も行います。さらに、デジタルデバイド対策として、Web会議システムを用いたオンラインサポートにくわえ、オフラインでの窓口サポートも行っています。
吉田 当社では、「イノベーションとコミュニケーションで、社会の豊かさを支える」という企業理念を掲げています。そのため、住民と自治体、そして地域間のコミュニケーションを我々が介在することで、より円滑にしたいという想いがあります。そして、その手段として、BPRの実施により最適なシステムやツール、人材の提供をしていきたいと考えています。包括的な支援はもちろん、各種実証実験の相談にも対応しますので、まずは気軽に連絡してほしいですね。
吉田 豊 (よしだ ゆたか) プロフィール
平成13年、株式会社ベルシステム24に入社。各省庁・自治体をはじめ、多くの民間クライアント企業を担当。令和4年、同社事業部長就任。
小松 一浩 (こまつ かずひろ) プロフィール
平成19年、株式会社ベルシステム24に入社。令和3年より自治体DXプロジェクトのマネージャーとして、各省庁・地方自治体のDXを支援。
伊藤 光一 (いとう こういち) プロフィール
平成16年、株式会社ベルシステム24に入社。平成21年から各省庁・地方自治体などのクライアントを担当。コールセンター設計およびBPRを担当。
株式会社ベルシステム24
設立 |
昭和57年9月 |
資本金 |
1億円 |
従業員数 |
社員1万461人(2万1,357人):グループ連結、令和4年2月末現在 ※( )内は、有期労働契約雇用者の年間の平均人員数 |
事業内容 |
CRMソリューションに関するアウトソーシングサービス、テクノロジーサービス、コンサルティングサービス、人材派遣事業、有料職業紹介事業およびCRO事業、インターネットその他メディアを利用した各種コンテンツの企画・制作・販売およびこれに関するサービス運営 |
URL |
https://www.bell24.co.jp/ja |
お問い合わせ電話番号 |
03-6896-6029 (平日9:00~18:00) |
お問い合わせメールアドレス |
info_PublicDX@bell24.co.jp |
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