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北海道羅臼町の取り組み
先進事例2025.03.14
国によるデジタル技術の導入支援

【地域DX/地域社会DX】「ローカルな地」で実感した、デジタル変革と「国の支援」の重要性
計画策定支援 / 総務省

[提供] 総務省
【地域DX/地域社会DX】「ローカルな地」で実感した、デジタル変革と「国の支援」の重要性(計画策定支援 / 総務省)
この記事の配信元
総務省

※下記は自治体通信 Vol.64(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

社会環境の変化によって、自然災害対応などの地域課題は多様化、深刻化する一方で、自治体の資源は限られており、課題解決のハードルは高まっているといっていい。それに対し、国も自治体への支援に力を入れている。デジタル変革による地域課題解決を支援する総務省の「地域デジタル基盤活用推進事業(計画策定支援)*」は、その1つである。本誌では、同事業を活用した羅臼町(北海道)を取材。取り組み内容とともに、事業の効果について聞いた。

*令和6年度補正予算からは「地域社会DX推進パッケージ事業(計画策定支援)」

[羅臼町] ■人口:4,266人(令和7年1月末現在) ■世帯数:2,003世帯(令和7年1月末現在) ■予算規模:71億2,000万円(令和6年度当初) ■面積:397.72km² ■概要:世界自然遺産知床に代表される世界有数の自然に囲まれた町。オホーツク海に長く突き出た知床半島の背には知床連山と呼ばれる山々が連なり、その山を背景に東側の羅臼町、西側の斜里町と2つの町が含まれている。自然が豊かな上に昔から漁業が盛んで、オホーツクの美味しい魚が一年中食べられる。観光の魅力は野生動物との遭遇で、観光船に乗り、夏はクジラ・シャチ・イルカウォッチング、冬は流氷と野鳥観察を楽しむことができる。
インタビュー
大沼 良司
羅臼町
出納室 会計管理者(前産業創生課長)
大沼 良司おおぬま りょうじ
インタビュー
白栁 正隆
羅臼町
産業創生課 係長
白栁 正隆しらやなぎ まさたか

ヒグマ出没が過去最多。ICTの導入で対策を

―総務省の事業を活用した経緯を教えてください。

大沼 当町では現在、地域課題の解決に向け、救急医療や地域交通などの4分野で、ICTなどの先進技術の導入検討を始めています。その1つの獣害(ヒグマ)対策は、職員を含む対策員の負担と危険性の高まりが深刻化していました。近年の自然環境の変化でヒグマが市街地にまで多数出没するようになり、その数は令和5年度に過去最多に達しました。住民生活はもとより、特に基幹産業の水産業従事者とヒグマとの偶発的事故を防ぐため、対策員の24時間体制の下での広範囲、連続対応が常態化し、住民の生命を守ることも対策員の安全も保証できない状態に置かれました。打開策として「こんな先進技術を活用できれば」というビジョンはあるものの、実現へのプロセスが見つからないなか、近隣自治体で開かれた「地域課題解決につなげるデジタル技術相談会」に出席しました。そこで総務省との接点が生まれ、事業を紹介していただきました。

―事業に対しては、どのような印象を持ちましたか。

大沼 当町が紹介を受けた「計画策定支援」は、財政負担なく直ちに支援を受けられるものでした。先進技術活用のビジョンはあるものの、具体的な技術や企業の選定など、推進の見通しが立っていなかった当町に合致した事業だと感じました。そこで令和5年3月に事業に応募することにし、採択された結果、同年6月から活動を開始しました。

交付金事業申請もサポート

―具体的に、どのように事業を進めていったのでしょう。

白栁 総務省が契約しているコンサルティング企業から専門の担当者がアサインされ、まずは当町のヒグマ被害の実態や町内の地理や経済、社会状況といった地域の実情を調査し、課題の全体像を整理してくれました。そのうえで、有効なソリューションを複数選定し、開発企業とのマッチング、面談まで設定してくれ、当町に最適化するためのソリューションの環境設定や、実証実験に向けた準備の調整なども行ってくれました。これらの緻密な作業は、単なるソリューション導入に終わらせず、その効果を最大化するためにまさに必要なプロセスだったと感じています。

―現在までに、ヒグマ対策はどこまで進んでいますか。

白栁 実際に導入を決めたのは、2つの技術でした。1つは、センサーカメラで撮影した画像の中からAIでヒグマだけを抽出し、事前の対策に役立てる「ヒグマ出没早期警戒システム」です。もう1つは、赤外線カメラ搭載ドローンで、上空からヒグマの位置を把握し、音声などで追い立てる「追い払い・捕獲補助システム」です。いずれも現在、国のデジタル田園都市国家構想交付金事業としてより精度の高いヒグマ検知システムの実装を進めています。

大沼 こうした社会実装に向けた予算計画の策定や交付金事業への申請にも、「計画策定支援」によるサポートがありました。

―事業を振り返り、どのような意義を感じていますか。

大沼 課題が山積し、ICT活用の必要性が高いにも関わらず、当町のような小さなローカルの自治体にとってはデジタル技術の導入は正直ハードルの高いものです。その意味では、財政負担なく専門家による伴走支援を活用できるこの事業は大変心強い仕組みであり、今回は有意義に活用させてもらいました。

総務省の声
充実した「国の支援」を有効活用し、地域DX推進に専門家の知見導入を
インタビュー
佐藤 厚雄
総務省
情報流通行政局 地域通信振興課 デジタル経済推進室 課長補佐
佐藤 厚雄さとう あつお

 「計画策定支援」では、「地域のDX推進に向けて、なにから進めていいのかわからない」「地域課題の解決策は明確だが、具体的な実装計画ができていない」など、地域DXを進めるうえで悩みや課題をもつ自治体等を支援します。幅広い悩みや課題を支援できるようコースを2つ用意しており、Aコースでは「地域課題の洗い出し・深掘り・整理などの支援」、Bコースでは「ソリューション実装計画書策定における知見・ノウハウの支援」を行います。

 令和7年度は、公募を3回程度予定*しています。1次公募で地域課題の整理、2次公募でソリューション選定、3次公募で自治体等の予算要求に向けた準備や補助金申請書類などの作成準備といった年間を通した連続支援や、自治体等の希望時期に応じた支援が可能です。

 これまで80以上の自治体等に活用いただいています。地域社会のDX推進に向けて、ぜひ「計画策定支援」の活用をご検討ください。応募に向けた相談も受け付けていますので、お気軽にお問い合わせください。

*予定スケジュール: 1次公募(応募期間:3月頃、支援期間:4~7月頃)、2次公募(応募期間:6月頃、支援期間:7~11月頃)、3次公募(応募期間:10月頃、支援期間:11月~令和8年2月頃)

総務省
お問い合わせ先
総務省 情報流通行政局 地域通信振興課 デジタル経済推進室
03-5253-5757(直通)
digital-kiban@ml.soumu.go.jp
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