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市民団体の取り組み
先進事例2025.03.13
花火大会運営の安定化

【地域イベント、安全対策】花火大会の存続に必須な「安定収支」、観覧の質を高める「3D図面」に活路
イベントDX:設営計画サービス / ミライト・ワン

[提供] 株式会社ミライト・ワン
【地域イベント、安全対策】花火大会の存続に必須な「安定収支」、観覧の質を高める「3D図面」に活路(イベントDX:設営計画サービス / ミライト・ワン)
この記事の配信元
株式会社ミライト・ワン
株式会社ミライト・ワン

※下記は自治体通信 Vol.64(2025年3月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。

昨今、全国で中止や延期となる花火大会が増えている。花火の原材料費高騰や警備員の人件費増大によって、予算確保が困難になっているからだ。そうしたなか、「北区花火会」の実行委員会(東京都)は、令和6年より有料席の単価を引き上げて収支の安定化を図った。その際、引き上げた価格に見合うよう観覧の質向上を目指し、設営計画に「3D図面」を活用したという。この「3D図面」とはいったいどのようなものか。同実行委員会の杉山氏に聞いた。

[北区] ■人口:36万2,089人(令和7年1月1日現在) ■世帯数:21万1,567世帯(令和7年1月1日現在) ■予算規模:2,623億6,857万2,000円(令和6年度当初) ■面積:20.61km² ■概要:東京23区の北部に位置し、北は埼玉県川口市と戸田市に隣接する。昭和22年に区制が施行されて以降、全域で住宅街が形成され、JRの駅数は23区内で最多。なかでも4路線が乗り入れる赤羽駅は、近年「住みたい街」として人気が高まっている。王子飛鳥山は、新一万円札の肖像となった渋沢栄一翁が、晩年30年間暮らした街としても知られる。
インタビュー
杉山 徳卓
北区花火会実行委員会
事務局長
杉山 徳卓すぎやま のりたか

観覧の質向上には、精緻な設営計画が必要だった

―「北区花火会」が有料席の値上げに至った経緯を教えてください。

 「北区花火会」は、区民のシビックプライド醸成を目的に、平成24年より開催しています。当初から有料席を設けて収支の均衡を図ってきましたが、近年は花火の原材料費高騰や、警察の安全対策強化に伴う警備費の増加で支出が増大し、予算を圧迫していました。支出削減も考えられましたが、当局では物価上昇などに左右されずに大会を存続できる安定収支を求め、有料席の単価引き上げによる増収を図りました。

―有料席の値上げや増設で住民の反発が起きた事例もありますが、その懸念はありませんでしたか。

 ありました。しかし、それらの事例を見ると、人の動線や花火の眺望を考慮せずに有料席の値上げや増設を行うといった準備不足が開催時の混乱を招き、住民の反発を生む要因になっていました。こうした事例を参考に、席単価を引き上げるためには、観覧における不備を解消して大会の価値を向上することが重要だと考えました。そのためには、「花火の見晴らし」と「人がスムーズに流れる動線の確保」が重要だという考えに至り、それらを可能にする緻密な設営計画を重視するようになったのです。その折、ミライト・ワン社からデジタルツイン*技術を駆使した「3D図面」による設営シミュレーションを提案され、大会の価値を上げる設営計画に役立てられると判断し、昨年の大会で導入しました。

―導入効果はいかがでしたか。

 従前の設営計画で用いていた平面図では判別できなかった土地の高低差や、設置物間の正確な距離などを、上空から地上まであらゆる角度で視認できました。そのうえ、出店や座席の配置をアプリ上で何度も修正できるので、開催当日は花火の見晴らしを設置物で阻害することなく、人が押し寄せる入退場時も適切な動線によってスムーズな往来を実現できました。ほかにも、設営会社や警備会社との計画立案や、警察や区役所への説明時は、「3D図面」の視覚的なわかりやすさが強い根拠となり、何度も出向いたり、図面を修正したりする負担やコストが大幅に削減されました。こうして設営計画が精緻かつ円滑になったことで、昨年の大会は成功裏に終えられました。

*デジタルツイン: 現実の世界から収集したデータを用いて、コンピュータ上で双子であるかのように再現する技術のこと

計画の属人化解消にも期待

―今後の方針を教えてください。

 現在、設営計画は開催初期からのメンバーで行っており、属人化しているような状況です。一方、この「3D図面」は、クラウド上で保管・閲覧できるので、より多くの関係者で計画立案のノウハウを共有できるようになり、いずれ属人化も解消できると期待しています。そうなれば、事務局の世代交代も円滑になり、大会を後世に残す礎となるでしょう。今後も大会の価値向上とともに未来に引き継ぐ努力を続けていき、区民のシビックプライド醸成を図っていきます。

支援企業の視点
「3D図面」を用いた設営計画なら、収支と運営の適正化を同時に図れる
インタビュー
本多 淳子
株式会社ミライト・ワン
みらいビジネス推進本部 みらいビジネス推進部 プロジェクトマネージャ―
本多 淳子ほんだ じゅんこ
東京都生まれ。令和2年、株式会社ミライト・ワンに入社。おもに「街づくり、里づくり」に寄与する新規ビジネスの創出を担う。

―花火大会の予算確保のため、自治体が取れる対策はありますか。

 おもな対策は、増収か経費削減の2つに分かれますが、いずれも課題があります。たとえば有料席をただ増やしても、金額に見合った眺望などの魅力がなければ購入意欲は高まらず、増収につながりません。一方、経費削減で花火の数などを減らすと、規模を縮小せざるを得ず、にぎわいが損なわれる恐れもあります。これら課題の改善には、大会の設営計画から見直し、眺望に配慮した適切なエリア設計が欠かせません。加えて、警備員や什器などの余剰をなくすことができれば、経費の削減にもつながります。

―設営計画の見直しには、なにが必要ですか。

 地形の高低差や規模を把握できる図面で、人や物の配置を綿密に練ることです。当社の『イベントDX:設営計画サービス』は、点群データ*による「3D図面」で、小さな窪みまで現地を正確に再現し、その仮想空間上で人や物を配置できます。その数量や距離間隔をセンチ単位で検証できるので、実地での警備員や什器の過不足ない配置を可能にし、経費削減につながります。さらに、仮想空間上で各エリアからの花火の見え方をシミュレートできるため、観客からの眺望に配慮した席の配置を可能にします。

―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。

 一度作成した「3D図面」や配置した数量データは翌年以降も使用でき、継続的に運営の適正化を図れます。この支援を通じて全国の花火大会を自治体とともに守りたいと考えています。ぜひご相談ください。

*点群データ: 3Dスキャナーや計測用カメラなどを用いて測定した、経緯度を含む地形や物体のデータのこと

株式会社ミライト・ワン
株式会社ミライト・ワン
設立

平成22年10月

資本金

70億円

売上高

5,183億円(令和6年3月期)

従業員数

3,622人(令和6年3月末時点)

事業内容

電気通信工事・電気工事・土木工事・建築工事および、これらに関連する事業

URL

https://www.mirait-one.com/

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