 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">猪苗代町 /美作市 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<p>ICTによる野生鳥獣の「スマート捕獲」</p>
<h3>鳥獣被害対策でのICT活用は悩める現場の「救世主」になる【猪苗代市、美作市の取組事例】</h3>
<div class="profile-name">猪苗代町 農林課 農林整備係 主事 飯田 優貴<br />美作市 経済部森林政策課 課長補佐 福原 基<br />美作市 東粟倉総合支所 業務管理係 係長 大坊 一章</div>
<div class="profile-name"> </div>
</div>
<section id="lead">
<p>国の統計では、いまや毎年200億円前後とされる野生鳥獣による農作物被害。農政における喫緊の課題として、農林水産省では令和元年度に新たな交付金制度を設け、ICTを活用した野生動物の捕獲などを強化する構えだ。ここでは、この動きに先がけて、ICTを活用した鳥獣被害対策にいち早く取り組んでいる2つの自治体を取材。その狙いや効果などを聞いた。</p>
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.19（2019年8月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">猪苗代町データ</div>
人口： 1万4,071人(令和元年6月末現在) ／ 世帯数： 5,341世帯(令和元年6月末現在) ／ 予算規模： 120億7,166万7,000円(令和元年度当初) ／ 面積： 394.8km² ／ 概要： 福島県のほぼ中央に位置し、北に磐梯山、南には日本で4番目の広さを誇る猪苗代湖がある。土津神社や天鏡閣などの建造物をはじめ、11件の国指定重要文化財を含む62件もの指定・登録文化財を有する。また、世界的な医学者である野口英世の出身地としても知られる。</div>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">美作市データ</div>
人口： 2万7,465人(令和元年6月30日現在) ／ 世帯数： 1万2,340世帯(令和元年6月30日現在) ／ 予算規模： 366億7,929万5,000円(令和元年度当初) ／ 面積： 429.29km² ／ 概要： 岡山県の北東部に位置する。北は鳥取県、東は兵庫県と接しており、地域全体に緑の豊かな山々と、清らかな川の流れ、その周辺に広がる田園などが調和した景観を形成している。市内には、美作三湯のひとつとして知られる湯郷温泉のほか、剣聖宮本武蔵の生誕地をはじめ、F1が開催された岡山国際サーキットなど豊富な観光資源に恵まれ、多くの観光客が訪れている。</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074034.jpg" alt="" /></div>
<h4>捕獲罠で成果を出すも、担当者の負担増が課題に</h4>
<p class="content-q">―猪苗代町における農作物の鳥獣被害について聞かせてください。</p>
<p>当町は、猪苗代湖や磐梯山といった豊かな自然環境に恵まれた典型的な中山間地域ですが、そのぶん野生動物も多く、ニホンザルやツキノワグマなどによる農作物被害を受けてきました。水稲やソバといった主力産品を中心に年間約400万円にのぼる被害はもとより、農家の営農意欲の減退や耕作放棄地の拡大にもつながる鳥獣被害問題は深刻な悩みでした。そこで当町では平成22年度から、野生動物の生態や被害対策の知識をもった専門員を農林課に配置。福島県内の自治体では初めての試みでした。</p>
<p class="content-q">―専門員の配置により、どのような対策を進めてきたのでしょう。</p>
<p>まずは、野生動物の生息状況や行動域、被害状況などを調査し、鳥獣被害対策の精度を高め、実効性をあげました。被害の中心はニホンザルによるものですが、町内に11の群れが生息し、個体数は増加傾向にあるうえ、行動圏が広がっていることがわかってきました。そこで、電気柵などの侵入対策のほかに、捕獲に本腰を入れました。行政として個体数調整の計画を立て、町が委嘱した駆除員など約30人の実施隊を組織し、町内に箱罠35基、くくり罠150個を設置しました。</p>
<p class="content-q">―成果はいかがでしたか。</p>
<p>被害の抑制に一定の成果をあげることができています。一方で、駆除員や農林課職員の負担増という問題が浮上してきました。対策が成果をあげるにつれて出動機会が増えますし、捕獲の成否にかかわらず、山間部で広範に設置されている罠を毎日見回るのは、それ自体が大きな負担となるからです。生態調査のため、捕えた個体に発信器をつけて放す場合、捕獲後迅速に処置しなければ個体が衰弱してしまいます。そのため、本来は頻繁に罠を見回る必要がありました。<br /><br />　そこで当町では昨年、担当者の負担軽減を狙い、罠の作動を無線で知らせる遠隔監視装置を導入しました。</p>
<h4>電波到達距離は最大200㎞</h4>
<p class="content-q">―導入の決め手はなんでしたか。</p>
<p>まずは、電波到達距離が最大200㎞にもおよぶ通信範囲の広さです。町域の多くが山間部で、町内には携帯圏外の地域も多くあります。そうした環境でも、この通信範囲の広さによって、親機のほか、中継機わずか1台で町内の罠すべてをカバーすることができています。また、携帯回線ではないので通信料が無料など、導入・維持コスト負担が圧倒的に少ない。導入前には、開発元が協力的に実証実験を行ってくれ、効果を実感することができ、正式に予算化を決めました。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074016.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074016.jpg" alt="" /> </a></div>
<p class="content-q">―導入効果を聞かせてください。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074019.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074019.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>システム導入で担当者の負担は大きく減ったうえ、捕獲後の個体への迅速な発信機装着も可能となり、生態調査の充実にもつながっています。猟師や駆除員が高齢化する将来を考えると、ICTの活用はまさに鳥獣被害対策の救世主といえます。現在、支援企業では、この通信網と連動した野生動物の生態調査用首輪型GPS発信機も開発中と聞きます。こうした最新機器を活用し、鳥獣被害対策の実効性をさらに高めていきたいです。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074030.jpg" alt="" /></div>
<p> </p>
<div class="reg-inside-title">発想次第で大きく広がる、“獣害”対策用通信網の可能性</div>
<p> </p>
<p>前ページの猪苗代町と同様、ICTを活用した鳥獣被害対策に取り組んでいるのが、美作市(岡山県)だ。市内では早くから獣肉処理施設を運営。鳥獣被害対策を地域振興につなげ、注目を集めてきた同市だが、ICTの導入で鳥獣被害対策はどのような成果をあげているのか。同市担当者に、対策の現状、ICT化の効果と今後の展開などを聞いた。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074037.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074037.jpg" alt="" /> </a></div>
<h4>遠隔監視装置の導入で、捕獲頭数は増加傾向に</h4>
<p class="content-q">―美作市では早くから鳥獣被害対策に力を入れてきたと聞きます。</p>
<p>福原：はい。現在でもシカやイノシシによる農作物被害は年間2,000万円近くありますが、かつてはさらに多かったのです。捕獲には早くから着手し、平成27年のピーク時にはシカとイノシシを合わせた捕獲頭数は7,200頭を超えました。一方、捕獲に力を入れる傍ら、平成25年に獣肉処理施設「地美恵(ジビエ)の郷みまさか」を建設し、捕獲した個体の利活用にも取り組んできました。</p>
<p class="content-q">―捕獲にはどのように取り組んでいるのですか。</p>
<p>大坊：森林政策課と支所の職員も含めて15人ほどが、地元の猟師と連携し、各所で罠を設置し見回っています。ただし、猟師の高齢化にともない、見回りの負担が増しています。罠の見回りには、自動車でも数時間を要し、遠隔地も複数ありますから。また、捕獲以外の業務が多い職員にとっても、見回り作業の効率化は、かねてよりの課題でした。そこで、平成29年3月から捕獲罠遠隔監視装置を導入しています。</p>
<p class="content-q">―導入効果はいかがでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074024.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074024.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>大坊：見回りの労力は格段に減りました。無線による捕獲通知を受け、猟師は事前準備を整えたうえで必要な罠にだけ向かえばよくなりました。労力の軽減によって、「より多くの捕獲が期待できる遠隔地にも罠を仕掛けよう」との意欲をもつ猟師も増えています。<br /><br />福原：また、ジビエの確保という点でも効果は大きいです。システムの導入で、捕獲直後の新鮮な個体を安定して処理施設にもち込むことが可能になりました。実際に、システム導入後は捕獲頭数、もち込み頭数ともに増加しています。<br /><br />大坊：さらにいえば、利用者の評価も高いです。現在、システム更新のために一時的に監視装置を回収しているのですが、猟師からは「いつ戻してくれるのか」との問い合わせが多く来ているほどです。</p>
<h4>遭難対策やスマート農業にも</h4>
<p class="content-q">―今後、システムをどのように活用していきますか。</p>
<p>大坊：すでに効果が確認されている鳥獣被害対策はもちろん、この通信網を多用途に展開する可能性も模索しています。たとえば、電波不感地帯における登山者の遭難事故対策など。登山シーズンには近隣で滑落・遭難事故が複数件起きていますが、遠隔捕獲システムに使われている強力な通信網とGPS機能を活用すれば、安全対策としての効果は高いでしょう。<br /><br />福原：ほかにも、スマート農業への活用も考えられます。水田の温度や水位の管理に無線通信を活用できれば、農家の労力は大きく軽減できます。鳥獣被害対策を通じて支援してきた農家にとって、さらなる強い味方となれるはず。発想次第で、可能性が大きく広がるシステムだと感じています。</p>
</section>
</section>

鳥獣被害対策でのICT活用は悩める現場の「救世主」になる【猪苗代市、美作市の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">大分県豊後大野市の取り組み</span></p>
<p>クラウドPBXサーバの導入</p>
<h3 id="防災時にも活用できるIP電話網の整備で実現した1万3000世帯の市内電話無料化自治体豊後大野市の取組事例">防災時にも活用できるIP電話網の整備で実現した1万3,000世帯の市内電話無料化【自治体（豊後大野市）の取組事例】</h3>
<div class="profile-name">豊後大野市 総務課長　城井 達也</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.20(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>各自治体で進む防災対策の主眼は、いまや災害時の利用はもちろん、平時での利活用を視野に入れた投資の効率性に置かれつつある。その意味では、豊後大野市(大分県)での事例は、その先進事例のひとつとなりそうだ。防災対策として整備したIP電話網の整備が、平時での「市内電話無料化」という画期的な住民サービス向上も同時に実現している。このことを同市担当者に、整備の背景なども含め聞いた。</p>
</div>
<div class="jto-p-jumoToMaterial"><a href="#material-area"><span class="fa fa-chevron-circle-down"> </span> 本記事で紹介しているサービス概要資料はこちら</a></div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">豊後大野市データ</div>
<div class="municipality-body">人口：3万5,585人(令和元年7月31日現在) ／ 世帯数：1万6,117世帯(令和元年7月31日現在) ／ 予算規模：291億3,200万円(令和元年度当初) ／ 面積：603.14km² ／ 概要：大分県の南西部、大野川の中・上流域に位置する。平成17年3月31日に三重町、清川村、緒方町、朝地町、大野町、千歳村、犬飼町の5町2村が合併して誕生した。起伏に富み、かつ複雑な地形を活かすとともに、大小の河川を集めて別府湾に注ぐ大野川の豊かな水利があり、県内屈指の畑作地帯を形成している。</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074428.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074428.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">豊後大野市</div>
<div class="person-position">総務課長</div>
<div class="person-name">城井 達也<span class="person-kana">きい たつや</span></div>
</div>
</div>
<h4 id="90を超える世帯が利用">90%を超える世帯が利用</h4>
<p class="content-q">―豊後大野市がIP電話を整備した背景を教えてください。</p>
<p>　平成17年に5町2村が合併して誕生した当市では、防災無線や情報通信の整備状況に地域格差が存在していました。さらに、平成23年の地上デジタルテレビ放送への移行を控え、市内山間部では難視聴世帯の発生も予想されました。そのため、市は光ファイバーを敷設し、これを介して地上デジタルテレビ放送の提供や行政・防災情報などの伝達を図りました。この光ファイバー網の有効活用の一環として整備したのがIP電話でした。</p>
<p class="content-q">―狙いはなんだったのでしょう。</p>
<p>　ひとつは、防災対策として、電話回線を冗長化(※)することです。一般電話回線とIP通信回線を確保することで、大規模災害で一般電話回線が遮断された際にも、IP通信網を活用することができます。もうひとつの狙いは、日常での住民サービスの向上です。合併後の当市には3つの市外局番が混在し、市内電話料金の差異が問題視されていました。そこで、IP電話を導入すれば、市内電話を無料化できる点に着目したのです。</p>
<p class="content-note">※冗長化：システムの障害に備えて、同じ機能や役割の要素をあらかじめ複数用意しておくこと</p>
<p class="content-q">―どのような仕組みですか。</p>
<p>　市役所および公共施設、ケーブルテレビサービスに加入する市内世帯の固定電話を、新たに導入したサーバタイプのIP電話交換機(クラウドPBXサーバ)で結びました。これにより、結ばれたすべての固定電話間の通話を内線電話として扱うことができ、市内電話を無料化することができました。　この無料電話サービスを利用するには、ケーブルテレビサービスへの加入が必要になりますが、行政・防災情報、市民チャンネル放送なども受信できます。この市内電話の無料化サービスが受けられることもあって、現在では加入率は90％を超え、実に1万3,000世帯が無料電話サービスを活用しており、当市が誇る住民サービスの目玉のひとつになっています。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074422.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074422.jpg" alt="" /></a></figure>
<h2 class="content-title" id="今後も住民サービスの目玉に">今後も住民サービスの目玉に</h2>
<p class="content-q">―IP電話の導入にどのような 効果を実感していますか。</p>
<p>　なんといっても、有事の際に備えた「電話回線の冗長化」で大きな安心をえられたことです。クラウドPBXサーバ自体を庁舎から離れた場所に設置すれば、防災対策上のリスク分散も図れます。また、無料電話サービスが住民間のコミュニケーションを活性化してくれていることも大きな効果です。<br /><br />　雷多発地帯の当市では、まれに接続装置の一部が故障しますが、地元保守会社の迅速な対応がサービスの安定的な運用を支えてくれていて、サービス開始以降、大きなトラブルもなく、安定して稼働していることも評価しています。<br /><br />　市としては、今後も住民サービスの目玉として、このサービスを継続していく考えです。</p>

<div id="material-area" class="jto-p-material">
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</div>

</section>
</section>

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防災時にも活用できるIP電話網の整備で実現した1万3,000世帯の市内電話無料化【自治体（豊後大野市）の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">神奈川県愛川町の取り組み</span></p>
<p>リース方式による学校給食施設の整備</p>
<h3>短期間かつ限られた予算内で「学校給食改革」を実現した秘策とは</h3>
<div class="profile-name">愛川町 町長　小野澤 豊</div>
<div class="spHomePostCompany">[提供] NTT・TCリース株式会社</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.28(2021年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>昨今の厳しい財政事情を背景に、予算内で無理なく施策を実行するうえで、リース方式を活用する自治体が増えている。そうした自治体のひとつが、愛川町(神奈川県)である。同町では、学校給食設備を更新するにあたり、リース方式を活用。短期間での整備を実現したという。その背景や効果について、この取り組みを推進した町長の小野澤氏に話を聞いた。</p>
</div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">愛川町データ</div>
<div class="municipality-body">人口：4万22人(令和2年12月1日現在) ／ 世帯数：1万8,515世帯(令和2年12月1日現在) ／ 予算規模：240億5,695万1,000円(令和2年度当初) ／ 面積：34.28km² ／ 概要：最高峰とする山並みが連なり、東南部は相模川と中津川にはさまれた標高100m前後の台地が広がる中央部のくびれた“ひょうたん形”の地形となっている。山あり、川あり、自然と調和した緑豊かな町が形成されている。</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083718.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083718.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">愛川町</div>
<div class="person-position">町長</div>
<div class="person-name">小野澤 豊<span class="person-kana">おのざわ ゆたか</span></div>
</div>
</div>
<h4>「温かい給食を」生徒や保護者から切実な声</h4>
<p class="content-q">―愛川町では、中学校給食をめぐる改革を行ったそうですね。</p>
<p>　はい。当町では従来、中学校の給食は業者からの「デリバリー弁当箱方式」を導入していましたが、食中毒防止の観点から食材をいったん冷却してから運ぶため、生徒の評判は芳しくなく、喫食率は30％程度にとどまっていました。給食を利用しない生徒は、コンビニで食事を買うケースもあったようです。生徒や保護者からは、「温かい給食を」という切実な声が届くとともに、昨今の食育推進の動きも考慮し、平成29年度から新たな方式の検討を進めてきたのです。</p>
<p class="content-q">―具体的に、どのような検討が行われたのでしょう。</p>
<p>　コストや今後の生徒数の推移、地理的条件などさまざまな観点から検討した結果、「親」となる5つの小学校の給食室で、「子」である中学校3校分の給食もあわせて調理し配送する「親子方式」の導入を決めました。既存設備の改修で対応できる「親子方式」は、費用面においても効率的であり、最善だと判断したためです。ただし、この実現には、多くの課題がありました。</p>
<p class="content-q">―どういった課題ですか。</p>
<p>　まずは法的な課題です。この方式では、小学校の給食室の用途が「学校」から「工場」となるため、建築基準法と都市計画法にからむ規制をクリアする必要が生じてきました。そこで、神奈川県と協議を重ね、特例許可を得ることができました。<br /><br />　さらに、財政面および工期における制約もありました。初期費用を抑えたうえで、単年度の費用を平準化した予算を組むこと、また工期は夏休み中しか確保できないため、短い期間で工事を完了させることは大きな課題でした。そうしたなか、リース方式は施設整備における工事費も含めて活用できるという情報を得たことから、最適な方法だと判断。プロポーザルによる事業者選定において整備計画や予算、工期の面でもっとも優れた提案を行ったNTT・TCリースを選定しました。</p>
<h4>生徒たちの笑顔を見て、計画の成功を実感</h4>
<p class="content-q">―効果はいかがでしたか。</p>
<p>　施設整備費約3億3,500万円を対象に10年間のリース契約としたことで、初期費用を抑え、単年度の費用を平準化し、余裕をもった予算編成ができました。これは計画推進の大きな力になりました。<br /><br />　また、夏休み期間中に調理機器の更新とそれに伴う電気・ガス・給排水設備などの工事を進める予定でしたが、「新型コロナ」の影響で学校の夏休みは短縮され、猛暑のなか5校の改修を一斉に進める難しい工事に。しかし、NTT・TCリースとともに、施工業者が調整を重ね、効率的な施工実施に向け、最大限の努力をしてくれた結果、トラブルなく工事を完了させることができました。先日、中学校を訪問した際、温かい給食を食べる生徒たちの笑顔を見て、この計画の成功を実感できました。同時に、ほかの施設整備事業においてもリース方式を活用できる可能性があると感じています。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083709.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083709.jpg" alt="" /></a></figure>
<div id="material-area"></div>
</section>
</section>
<hr />
<section id="coverWrap" class="transbox clearfix transbox2">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">支援企業の視点</span></p>
<h3>「新型コロナ」で財政負担が増すなか、リース活用メリットは高まっている</h3>
<div class="profile-name">NTT・TCリース株式会社 横浜支店 支店長　矢内 正弘</div>
<div class="spHomePostCompany">[提供] NTT・TCリース株式会社</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.28(2021年2月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083721.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083721.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">NTT・TCリース株式会社</div>
<div class="person-position">横浜支店 支店長</div>
<div class="person-name">矢内 正弘<span class="person-kana">やない まさひろ</span></div>
</div>
</div>
<p class="content-q">―給食施設の整備をめぐる、自治体の課題とはなんでしょう。</p>
<p>　財政や施設運営の面から、いかに効率的に施設整備を進めるかが、自治体の課題になっています。昨今、「食育」という観点から、給食設備を整備する動きがあります。ただし、少子化の動向や効率的な財政支出を考慮すると、巨額の建設費や用地取得を要する施設の新設は現実的ではなく、愛川町のように既存施設を活用する例は増えてくるでしょう。それでも、設備の更新や各種工事に生じる初期費用の負担は重く、頭を悩ませている自治体は少なくないようです。</p>
<p class="content-q">―良い解決策はありますか。</p>
<p>　当社では、更新する機器や設備のみならず、工事費まで含めて適用できるリース方式の活用を提案しています。計画当初に発生する費用を抑え、単年度の支出も契約期間のなかで平準化できることが最大の特徴です。昨今、「新型コロナ」対策など進めるべき施策は多く、より効率的な財政支出が求められています。そうしたなか、リース方式を活用すれば、複数の施策を計画的に進めることができます。</p>
<p class="content-q">―今後の自治体への支援方針を聞かせてください。</p>
<p>　当社では、前身のNTTファイナンスの時代から、給食施設の整備に限らず、公立学校の空調設備の設置をはじめとする自治体の施設整備事業を支援してきました。自治体では、多くの施策を展開しなければならない状況のなか、より一層リース方式の活用メリットは高まっています。関心のある自治体の方は、当社へお問い合わせください。</p>
<div class="content-profile">
<div class="content-profile-heading">矢内 正弘 (やない まさひろ) プロフィール</div>
<div class="content-profile-body">群馬県生まれ。大学卒業後、日本電信電話株式会社に入社。平成8年にNTTファイナンス株式会社に入社し、令和2年7月のNTT・TCリース株式会社の発足により現職。</div>
</div>
<div class="company-info-heading">NTT・TCリース株式会社</div>
<table class="company-table">
<tbody>
<tr>
<th>資本金</th>
<td>100億円</td>
</tr>
<tr>
<th>従業員数</th>
<td>約1,100人</td>
</tr>
<tr>
<th>事業内容</th>
<td>総合リース業など</td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせ電話番号</th>
<td><span class="contact-tel-number">03-6455-8776</span><strong>　担当:長谷川、池永、倉持</strong><br />(平日9:00〜17:00、祝日・年末年始を除く)</td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせメールアドレス</th>
<td><a href="mailto:https://www.ntt-tc-lease.com">https://www.ntt-tc-lease.com</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
<p class="content-note" style="margin-top: -20px;">※同社は、NTTファイナンス株式会社のリース事業を分社化し、日本電信電話株式会社および東京センチュリー株式会社の合弁会社として令和2年7月に事業を開始している</p>
<div id="material-area"></div>
</section>
</section>

公共施設整備において、リースを活用する自治体が増えています。リース活用の最大のメリットは、初期費用を抑え、リース期間内で財政負担を平準化できる点です。
学校における空調整備をはじめ、防災対策としての太陽光発電設備や蓄電池などの整備事業においても、リース方式の活用をご提案することにより自治体経営のさらなる効率化に貢献していきたいと考えています。

短期間かつ限られた予算内で「学校給食改革」を実現した秘策とは

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">静岡県熱海市 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>予算ゼロ円・担当者ひとり。独自施策で観光客を呼び戻す</h3>
<div class="profile-name">熱海市　観光経済課 山田 久貴</div>
</div>
<section id="lead">
<p>高度経済成長のころまでは、日本でも有数の観光地だった熱海市。しかし、経済の衰退とともに、徐々に観光客は減少していった。そんななか、全国でも珍しい❝ロケ地としてメディアを呼び込む❞施策で、地域のブランド構築に成功、観光客が年々増加する成果をあげている。そのキーパーソンが同市の観光経済課の山田氏。アイデアの源泉や実行上の工夫などを同氏に聞いた。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">静岡県熱海市データ</p>
人口： 3万7,720人(平成28年10月末現在)世帯数： 2万21,335世帯(平成28年10月末現在)予算規模： 180億8,800万円(平成28年度当初)面積： 61.61km²</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070328.jpg" alt="" /></div>
<h4>イベント頼みの観光政策では、集客はできない</h4>
<p class="content-q">―熱海市では、以前どんな課題を抱えていましたか。</p>
<p>　かつて日本を代表する温泉観光都市として、多くの方に人気でした。しかし、徐々に観光客の方に飽きられてしまい、経済的にもバブル崩壊などがあり、観光客の数は年々減っていました。若い方々に至っては、そもそも「熱海」という名前が旅行先にあがってこない。そんな状況になってしまったのです。</p>
<p class="content-q">―何か対策は打っていなかったのでしょうか。</p>
<p>　観光客誘致の施策として、イベントを年間を通じて開催をしていました。しかし、言い方を変えれば「イベントに頼り切ってしまっていた」という側面がありました。夏休みや連休に合わせてイベントは組まれるため、一見するとイベントも大盛況。「観光客の誘致にもつながった」という錯覚に陥っていたんです。<br /> <br /> 　しかし考えてみれば、そもそも夏休みや連休は観光客が多い時期。その時にイベントを開催すればだいたいは集まるものです。主催した側からみると、一見イベントは大成功をおさめたように見える。でも、それはイベントがなくても観光に来てくれた人が参加しているだけ。イベントによって新たな観光客を集めたわけではない。まして、本質的に地域のファンになってくれて、何度も足を運んでくれるような観光客の目立った増加にはつながっていませんでした。</p>
<p class="content-q">―そんななか、山田さんが着任した際は、どんな取り組みをしたのですか。</p>
<p>　「ほかの自治体がマネできないことが必要だ」と考えました。そこで、考えたのが「ADさん、いらっしゃい！」という企画です。テレビの情報バラエティ番組やドラマ、映画などの撮影に際して、ロケ地として選んでもらう。そしてその番組や映画を通して、全国の方々に「熱海」というキーワードを記憶に残してもらおうと。というのも熱海市には、マスメディアの本拠がある東京に近く、海があり、山があり、島もある。砂浜全体をライトアップするロマンティックなビーチがあり、芸妓文化もあります。多種多彩なホテルや旅館、飲食店などの施設も充実していて、さらには500以上の源泉を誇る温泉もある。<br /> <br /> 　ほかの自治体で、ここまでロケーションのよいところはめずらしいでしょう。</p>
<p class="content-q">―具体的にはどんなことをしたのでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070240.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070240.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　番組の企画を聞いて、それに見合うネタ・施設の情報提供、取材交渉から、エキストラとなりえる地元住民の方の紹介や連絡調整、ロケバスなど撮影関係車両の移動ルートや待機場所に関する情報提供と手配まで支援します。各種公共施設の撮影許可申請の補助や目的外使用申請の調整、道路使用申請の代理提出・受領といった、公共機関ならではの支援もあります。<br /> <br /> 　それにくわえ、ロケ弁やロケ中の宿泊先、打ち上げ会場などの情報提供もします。「ロケ費用削減のために少し安い宿がいい」とか「大物芸能人を起用する撮影なので豪華なロケ弁にしたい」といった細かな要望にもこたえるほか、ビーチで爆破をしたいなどの難しい要望にも対応しています。</p>
<p class="content-q">―どのくらいの予算をさいていますか。</p>
<p>　私の人件費以外、コストは一切かけていません。かつ、私ひとりですべての制作サイドからの案件に対応しています。休日や祝日、夜間でも個人的に対応しているので、制作サイドにとっては「24時間365日いつでも対応してくれる」ことになります。制作サイドを「顧客」ととらえ、徹底した顧客重視で対応しているのです。公務員で年中無休24時間ひとりで対応というのは、私ぐらいでしょう。これも「ほかにはマネできないだろう」と。</p>
<p class="content-q">―全国でも初めての取り組みだったと思います。プロジェクトを進めるにあたって、庁内からの反発はありませんでしたか。</p>
<p>　いいえ。そもそも熱海市は、観光産業が主幹産業であり、ここが衰退してしまうと、街の発展はありえません。そういった背景もあり、市長も含め役所一丸となってこの取り組みを後押ししてくれました。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070330.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―山田さんが取り組みを始めてからの、具体的な成果を教えてください。</p>
<p>　ロケの本数でいいますと、私の配属前は年間で20～30本程度だったものが、着任した平成24年度に62本、翌年が67本、平成26年度には111本、平成27年度も110本、平成28年度も同程度を見込んでおります。今後も、安定的に110本前後で推移する予定でおり、着任前に比べて、3倍以上の結果を出すことができました。<br /> <br /> 　また、ロケの本数だけではなく、宿泊客の数も、着任前までは年々減少傾向にあったのですが、着任後は毎年増加。平成27年度には14年ぶりに300万人を超えました。日本全体としても人口が減少し、かつ新たなレジャー施設やLCCなど格安の移動手段など熱海にとって外的な脅威が増えるなかで、この数字を出せたことは大きな意味があると思っています。</p>
<p class="content-q">―注目されたロケはありますか。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070238.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070238.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　以前に「有吉の壁」という深夜枠で不定期に放送されているバラエティ特別番組のロケ地として熱海が選ばれたことがあります。番組自体が非常に人気があったので、その後SNSなどで「熱海」のキーワードが激増。結果として当市の大きなPRになりました。<br /> <br /> 　また、そのほかに「オール芸人お笑い謝肉祭」という番組のロケ地にも選ばれました。放送後、色々と問題になった番組ではありましたが（笑）。ただ、SNSを見ていると肯定的な意見も多く、思い切った企画が実施できたことで、こちらも結果として当市の観光地としての実力をアピールすることができました。</p>
<p class="content-q">―観光政策において山田さんが重要だと思うことはなんですか。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070244.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070244.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　その地域のブランド力を高めること、一番重要なことは、「昔からその地域に根付いた主幹産業（農林水産業、商業、工業、製造業、ベッドタウンetc.）を簡単にあきらめないこと」だと思います。そのなかで、私は「古来から第1級の保養地である熱海市」を日本版“ハリウッド“をイメージさせる街にしたいと思っています。現在も、映画やドラマなどの撮影が行われています。もっとも熱海が得意とするバラエティー番組と合わせ、街中でロケがいつも行われている街に育てていきたい。<br /> <br /> 　そして、全国の各市町村が第1次、第2次産業などの主幹産業が衰退したからといって観光地化を進める現状において、熱海が本来持つ「日本を代表する観光保養地」としての地位を確立し、流行や景気に左右されない「真のリゾート」にしたい、それが最終目標です。</p>
</section>
</section>
<hr />
<section id="coverWrap" class="transbox clearfix transbox2">
<p><span class="nfm-label">静岡県熱海市 の取り組み</span></p>
<div id="cover">
<div><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070323.jpg" alt="予算ゼロ円・担当者ひとり。独自施策で観光客を呼び戻す" /></div>
</div>
<div id="titleBox"> </div>
<section id="lead">
<p> </p>
</section>
<section id="content">
<div class="wp-pagenavi"><a class="nextpostslink" href="https://www.jt-tsushin.jp/interview/jtor_atami/">&lt;&lt; 前のページ</a> <a class="page larger" href="https://www.jt-tsushin.jp/interview/jtor_atami/">1</a> <span class="current">2</span></div>
</section>
<div id="interviewData"> </div>
</section>

予算ゼロ円・担当者ひとり。独自施策で観光客を呼び戻す

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">岐阜県飛騨市 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>SNSを駆使しながら温かい心の「おもてなし」でリピーター獲得</h3>
<div class="profile-name">商工観光部 観光課 横山 理恵</div>
</div>
<section id="lead">
<p>邦画史上、歴史的な興行収入を記録した『君の名は。』。その一部イメージのひとつとなったのが飛騨市(岐阜県)だ。同市は公開前から「映画の舞台になっている」という情報を入手。公開までわずか1ヵ月余りで予算も限られているなか、プロモーションを開始。公開後も市のプロモーションを続けた結果、公開からわずか8ヵ月の間に、推計値で市の人口の2.6倍以上にあたる6万6,000人もの「聖地巡礼者」が飛騨市を訪れた。成功のカギはどこにあるのか。同市の挑みに迫った。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">岐阜県飛騨市データ</p>
人口： 2万4,982人(平成29年5月1日現在)世帯数： 8,937世帯(平成29年5月1日現在)予算規模： 288億3,796万2,000円(平成29年度当初：一般会計)面積： 792.53km²概要： 平成16年2月1日に、古川町、河合村、宮川村、神岡町の2町2村が合併し、飛騨市が誕生した。岐阜県の最北端に位置し、北は富山県、南は高山市、西は白川村に接しており、県庁所在地の岐阜市から約150km、高山市の北約15kmに位置している。 周囲は3,000mを越える北アルプスや飛騨山脈などの山々に囲まれ、総面積の約93％を森林が占めている。年間を通した平均気温は11度で、四季の移り変わりを肌で感じることができる、自然に恵まれた地域である。</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070428.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―飛騨市がこれまでに行ってきた観光政策について教えてください。</p>
<p>　この飛騨地域は高山市や白川郷、下呂温泉など有名な観光地が多いのですが、当市は受け入れ態勢の面で遅れていました。そこで、世間のインバウンドの流れを取り入れるべく、海外へのプロモーション費用、ホームページなどの多言語対応の場合に補助金を出すという取り組みを行っていました。</p>
<p class="content-q">―映画公開前に、「飛騨市が映画の舞台となる」という情報はどのようにキャッチしたのでしょうか。</p>
<p>　当初は、「飛騨市が舞台になっているらしい」という不確かな情報しかありませんでした。まずそれが本当かどうか確認しようと、映画関係者の方々などと連絡をとり、試写会を観るところまでたどり着きました。行ったのは私ですが、飛騨市にある似た景色が登場していたのでとても感情移入して観ることができました。なにより、飛騨市の風景がとても美しく描かれていたのに感動しました。さっそく職場に伝えたところ、「なにかプロモーションをしていこう」と動き出しました。<br /> <br /> 　試写会を観たのは2016年7月半ば。映画の公開は8月26日でしたから、わずか1ヵ月あまりで準備しなければなりませんでした。そのうえ、新たな予算があったわけでもないため、既存の予算のなかでやりくりすることになりました。</p>
<p class="content-q">―具体的な取り組みを教えてください。</p>
<p>　まずポスターをつくりました。『君の名は。』製作委員会の協力のもと、映画のワンシーンの画像を入れたもので、「飛騨市は『君の名は。』を応援しています。飛騨市の豊かな自然を満喫しよう！」のコピーも入れました。ポスターと同時に、A4にリサイズしたものもつくって市内各所や各地でのキャンペーンで示しました。また、大きな効果が出たのがSNSの活用です。正直、SNSがこれほどの反響があるとは思いませんでした。</p>
<p class="content-q">―なにをしたのですか。</p>
<p>　リアルタイム検索で「君の名は。」と検索すると、公開前にTwitterで聖地を探している方がいました。その方がキーパーソンになると確信し、公としてではなく個人名で「もしかしてここではないでしょうか」と画像とともにアップしました。すると公開直前には「舞台は飛騨市ではないか」とTwitterで話題になり、ものすごい勢いで情報が拡散していきました。そのためか、公開日直後から飛騨市に「聖地巡礼」で来られる方が増え、それがテレビや新聞などの国内外のメディアにも取り上げられました。当初は大学生など若年層が中心でしたが、公開2ヵ月目には家族連れや50、60代のシニア層まで幅広く来られるようになりました。台湾や香港、韓国、中国、アメリカなどでも公開されていったので、海外の方も来られるようになりました。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070417.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070417.jpg" alt="" /> </a></div>
<p class="content-q">―プロモーションではどんなことに気をつけましたか。</p>
<p>　聖地巡礼に来ている方を見てわかったのは、映画のなかの世界を追体験したいということでした。映画と同じ場所や風景を目にすることで、映画を思い出し、その世界に浸るという感覚です。そのため、「ここが映画に出た場所ですよ。見て行ってください」と押しつけがましく”案内する”のではなく、あくまでも映画と同じものを”見せる”ことに注力しました。<br /> <br /> 　たとえば、映画にバス停のシーンがありました。ところが、前年にバス路線の見直しによって、バス停の標識がなくなっていました。会議の場で「標識ってもうないのかなぁ」という声が出ると、「それなら倉庫にまだある」と言うので、慌てて倉庫から取り出して映画と同じ場所に置きました。市長がそれをSNSで報告すると「神対応だ」と話題になり、一気に広まっていきました。<br /> <br /> 　また、「おもてなし」にも気をつけました。映画で飛騨市図書館が出ており、聖地巡礼者はほぼ100％そこに寄られます。じつは巡礼者の推計値はここのゲートから算出しています。、一般的には図書館内の撮影は禁止が多いなか巡礼者が撮影したがっていることはわかっていましたから、飛騨市図書館では事前に受付で許可証をもらった方は撮影してもいいということにしました。受付時に「動画はNG」「利用者の方を撮影しないように」「静かに撮ってください」など、いくつかのお願いをすることで、地元の利用者に迷惑をかけることはありませんでした。そして、「写真をSNSに投稿する場合は、『飛騨市の図書館に来たよ』と書いてください」という貼り紙をしたところ、SNSで話題になり、さらに高い注目を浴びるようになりました。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070420.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070420.jpg" alt="" /> </a></div>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070433.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―突然、まちに巡礼者が来るようになって、市民の人たちの反応はどうでしたか。</p>
<p>　最初は「なんでこんなに人が来ているんだろう」という反応でした。市内に映画館がないので、なにが起きているのかわからなかったのです。やがてメディアが来るようになって、映画の影響だということがわかりました。映画の舞台なのに映画館がないというのが逆に話題となったので、配給会社の協力のもと上映会を開催したところ、これもまたメディアに取り上げられて話題になりました。<br /> <br /> 　飛騨市の風景が美しく映し出されていたので、「飛騨市っていいところなんだ」と再認識した市民が多かったですね。その想いが、巡礼者への「おもてなし」にもつながっているように思います。<br /> <br /> 　たとえばバスに乗り遅れた巡礼者を市民が車で駅まで送ってあげたり、バス停を掃除してくれていたり、雪の多い冬は歩きやすいようにと、自分の家でもない場所まで行って雪かきをしてくれたりしています。「野菜もっていきない」という人までいます。市からお願いしたわけではなく、いずれも市民自らが率先して動いてくれており、市民との心温まる交流もSNSで注目されました。この地域は良くも悪くも商売っ気がない地域で、その素朴さが都会の人たちに受けているようです。<br /> <br /> 　映画で重要なシーンとして出る組紐(くみひも)づくりも、『さくら物産館』というところで体験することができます。ここのスタッフである地元のおばちゃんたちがとても気さくで、巡礼者の中にはお母さんのように慕って、リピーターになってお土産までもってくる巡礼者の方もいます。とっかかりは映画でしたが、それをきっかけに飛騨市の魅力に気づいてくれ、リピーターになるという良い循環が生まれつつあります。</p>
<p class="content-q">―課題はありましたか。</p>
<p>　ライセンスです。映画の映像や『君の名は。』という名前を、許可なく店の前に出してしまったケースがいくつかあり、お叱りを受けました。私たちも初めてのことでしたので、その部分は学ばせてもらいました。</p>
<p class="content-q">―今後の展開を教えてください。</p>
<p>　映画は一過性のブームではないかという声もありますが、当市では『君の名は。』をジブリ作品にも匹敵するくらいだと考えており、今後も『君の名は。』を応援し続け、ファン目線でプロモーションをしていきたいと思っています。<br /> <br /> 　2017年2月から2018年3月までは、『君の名は。』の名シーンをラッピングした高速バスを、飛騨と東京、名古屋、大阪、岐阜を結ぶ4路線（どこかの路線に1台）で走らせています。「正式なマップがほしい」という巡礼者の声を受けて、映画のモデルスポットを入れ込んだ「飛騨古川散策マップ」も2017年3月に作成しました。<br /> <br /> 　なんでも便乗しようというのではなく、自分たちのできることから始め、自分たちのペースでやってきたのが受けているように思いますので、今後も決して奇をてらわずに、飛騨市ができることを、飛騨市らしく少しずつできたらと思っています。</p>
</section>
</section>

SNSを駆使しながら温かい心の「おもてなし」でリピーター獲得

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">北海道伊達市 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>「このまちいいね」と言ってもらえる環境づくりがカギ</h3>
<div class="profile-name">企画財政部企画課長 髙田 真次</div>
</div>
<section id="lead">
<p>北海道内でも雪が少なく、四季を通じて気候が温暖なことで知られる伊達市。「北の湘南」とも称されるこのエリアに、本州から多くの高齢者が第二の人生を求めて移住をしている。恵まれた気候もさることながら、こうした背景には同市が平成14年から取り組んでいる『伊達ウェルシーランド構想』があるという。高齢者の移住を促進している、この構想とはどういうものだろうか。具体的な取り組みから構想が生まれたきっかけ、今後の方針などを同市に聞いた。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">北海道伊達市データ</p>
人口： 3万5,189人（平成28年9月30日現在）世帯数： 1万7,899世帯（平成28年9月30日現在）予算規模： 312億6,898万円（平成28年度当初）面積： 444.2km²概要： 北海道の南西部、札幌市と函館市の中間に位置し、南は噴火湾（内浦湾）に面し、東は室蘭市と登別市に、北および西は有珠山、昭和新山をはさみ支笏・洞爺国立公園を有する壮瞥町、洞爺湖町に隣接。地名のとおり、明治3年に仙台藩一門亘理領主伊達邦成とその家臣達の集団移住で開拓した歴史をもつ。病院、大型ショッピングセンター、福祉施設など生活に必要な施設がまちなかに集約された「コンパクトシティ」で、道内でも雪が少なく、四季を通じて気候が温暖なことから「北の湘南」と呼ばれている。</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526065830.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―『伊達ウェルシーランド構想』とはどのような取り組みでしょうか。</p>
<p>　伊達市は少子高齢化が加速していくなかで、高齢者が安心・安全に暮らせるまちづくりを進めています。高齢者ニーズに応える新たな生活産業を創出し、働く人たちの雇用を促進しつつ、豊かで快適なまちづくりを目指す取り組みです。<br /> <br /> 　平成14年に官民協働による「伊達ウェルシーランド構想プロジェクト研究会」を発足し、以降さまざまな事業を行ってきました。</p>
<p class="content-q">―行ってきた事業の詳細を教えてください。</p>
<p>　大きな取り組みとして、３つの事業があげられます。まず、平成17年に施行した「伊達版安心ハウス」という制度です。<br /> <br /> 　当時は、「サ高住（サービス付き高齢者向け住宅）」がまだない時代。老人ホームはあるものの、それ自体の居住面積が国の基準では狭いため、「高齢者の方が将来ずっと住み続ける施設として適しているのか」という観点から協議がスタート。<br /> <br /> 　そうした結果、入居者が快適に生活できる床面積を確保しつつ、高齢者が安心・安全に暮らせるサービス、たとえば「緊急通報サービスや共同で利用できる食堂や浴場の設置がされているか」など、当市が定めた要件に合致する建物に対し、認定を与える制度をつくったんです。市は一切お金を出しませんが、ＰＲなど普及啓発に努める制度です。<br /> <br /> 　現在、2棟65戸が建っていて、入居率は変動があるものの7割前後といった状況です。</p>
<p class="content-q">―2つ目の事業はなんでしょう。</p>
<p>　「優良田園住宅」という事業です。これは平成10年に国から施行された「優良田園住宅の建設の促進に関する法律」、いわゆる田舎の田園地帯のなかにある農地を転用して、宅地造成ができる制度を活用。もともと遊休地だった市有農地を当市の建設協会が組織した協同組合に売却。伊達市優良田園住宅「田園せきない」として販売したんです。<br /> <br /> 　実際に販売を開始したのは、平成20年から。まずは土地の申し込みから受け付けたのですが、区画によっては抽選になるくらいの盛況ぶりでした。ただ、同年の秋にリーマン・ショックが起こり、その影響で予約を解除する方が続出。一時はどうなることかと危惧されましたが、平成24年には53区画すべて完売しました。<br /> <br /> 　全国で同様の取り組みをされている自治体は数多くありますが、国から「全区画販売した事例は少ない」という話はお聞きしています。</p>
<p class="content-q">―3つ目の事業を教えてください。</p>
<p>　ライフモビリティサービスです。これは、いわゆる乗り合いタクシーですね。60歳以上の方を対象とした会員登録制にして、相乗りにすることで利用単価を下げつつ、事業者の利益は下がらないという仕組みです。一般的にはコミュニティバスという考えもありますが、「ドアtoドアでより利便性向上も視野に入れた制度設計が必要だ」という発想からタクシーを選択しました。<br /> <br /> 　平成18年に伊達版ライフモビリティ「愛のりタクシー」として運行を開始。登録者数が60歳以上の人口の14％にあたる約2,000名で、年間1万5,000件ほど運行されています。しかし、相乗り率が伸びず、ビジネスとして独立できていないため、相乗りの認知度向上や予約方法の改善など、まだまだ課題があると感じています。</p>
<p class="content-q">―そうした取り組みを重ねた結果、本州から多くの高齢者を移住に導くという結果につながったのですね。</p>
<p>　そうですね。移住者が増えたかどうかといった定量的な数値の集約は行っていないのですが、そういった結果にはつながっていると思います。また、ささいなことかもしれませんが、移住してきた方が自治会の役員を担われて、サークル活動など積極的に行われるようになりました。移住者に地域住民が引っ張られるカタチで、活性化している区域も見受けられます。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526065832.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―『伊達ウェルシーランド構想』という発想にいたった経緯を教えてください。</p>
<p>　現在の市長である菊谷（秀吉）が初就任したのが、平成11年の5月。当初から予算が少ないうえに、翌年の3月に有珠山が噴火。必死に災害対策を行うも、地域経済も低下するような状況でした。そんななか、「市の財政を使わなくてもできる取り組みはないか」と、市でいろいろ検討していたんです。<br /> <br /> 　ちょうどその時期にNTTデータ経営研究所が主催している「生活産業情報懇親会」に菊谷が参加。そこで、当時小泉内閣の内閣府特別顧問をされていた島田晴雄先生とお会いしたんです。島田先生とお話をするなかで「人の誘致ならお金がなくてもできるのでは」というイメージがわき、それがきっかけで「官民連携というカタチで民間の力を最大限に活用したまちづくりの施策が打てないか」ということで検討を始めたのがこの構想なんです。</p>
<p class="content-q">―どのようにして構想を具体化していったのですか。</p>
<p>構想を進めるうえで、検討協議会を立ち上げました。まずは行政が主導するという体裁を取りつつも、50歳以下で市内の金融・住宅・不動産・福祉など各分野で活躍する民間の方に参加をつのり、若い考えのもとで構想を策定。行政が財政的に余裕のない状況でしたので、極力民間の方にかかわっていただくことにより、公共からの財政出勤がないようなカタチで検討を進めていきました。</p>
<p class="content-q">―人の誘致ということで、高齢者を対象にしたのはなぜでしょう。</p>
<p>当時は、ちょうど団塊の世代の大量退職が間近に控えている時期。また、「定年を迎える前に退職し、自分のやりたい生活をする」というライフスタイルがクローズアップされ始めていました。そういう方々はアクティブに活動しますし、経済的にも時間的にも余裕がある。まちに入って経済活動をしたいただくことで、さまざまな効果が生まれるのではないかと期待したのです。「高齢者を誘致することで医療費や介護費の増大につながらないか」という意見は出ましたが、実際にやってみるとそうした結果にはつながらなかったため、マイナスの声は自然となくなっていきました。</p>
<p class="content-q">―移住促進で成果を出すポイントはなんですか。</p>
<p>　「人口を増やすにはどうすればいいか」という観点で検討しないことです。人口を増やすことに縛られると、なかなかアイデアも出にくいですし、話が進みません。今回の当市の取り組み自体は人口を増やそうとして始まったものではなく、「高齢者が住み続けたいと思うまちをつくろう」というのが原点。それによって生活産業が創出され、それを担う若者も転入・定住できるようにしていこう、と。それを目標設定したことが、ある程度の成果につながったのだと考えています。<br /> <br /> 　来てもらったときに、「このまちイイね」と思ってもらえる環境をつくることが大事なんです。</p>
<p class="content-q">―今後の取り組み方針を教えてください。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526065822.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526065822.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　引き続き、アクティブシニアをターゲットにした移住の推進は今後も続けていきます。『ウェルシーランド構想』自体は協議会も発展的解散し、いったん整理されました。これからはこの構想でできあがったものを土台にして、さらに進化した事業を進めていこうと考えています。<br /> <br /> 　またこうした取り組みは、知名度やPRという部分で考えた場合、単独で行うには限界があります。そのため、これからは近隣自治体と協議を進めて、地域という面で取り組みを行っていく予定です。現在、隣の室蘭市を中心に3市3町で定住自立圏を構成。各地域の個性や魅力を活かしながら互いの弱点を補完していき、圏域での「日本版CCRC」を目指していきます。</p>
</section>
</section>

「このまちいいね」と言ってもらえる環境づくりがカギ

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">愛媛県西予市 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>オフィスを根本的に変えることで職員の働き方も変革する</h3>
<div class="profile-name">総務企画部 総合政策課 行革推進係　係長　亀岡 敦志 / 主任　片山 大輔</div>
</div>
<section id="lead">
<p>地域活性化、防災対策、環境対策――さまざまな自治体の取り組みは、住民に向けたものである。その中で“自らの職場環境”に目をつけたのが、西予市（愛媛県）だ。「住民に質のいいサービスを提供し続けるためには、まず自分たちが変わらなければならない」。そうした発想のもと、断行したのが平成27年に着手した「オフィス改革」である。現在では数多くの取材、視察があり、高い注目を浴びるまでになっている。人口4万人に満たない自治体の大きな取り組みの詳細を、同市の担当者に聞いた。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">愛媛県西予市データ</p>
人口： 3万9,057（平成29年10月末現在）世帯数： 1万8,225世帯（平成29年10月末現在）予算規模： 479億9,553万6,000円面積： 514.34 km2km²概要： 平成16年4月1日、東宇和郡の明浜町、宇和町、野村町、城川町、西宇和郡三瓶町の5町が合併して誕生。宇和海に面するリアス式海岸部、内陸盆地部、四国山地のカルスト台地につながる山間部と、その海抜高低差が1,400mにもおよぶ多様な気候と景観を有している。平成16年4月に松山自動車道西予宇和ICが開設され、愛媛県南部の広域流通拠点としての発展が期待されている。</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070942.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―これまで西予市が抱えていた課題について教えてください。</p>
<p>　当市は平成16年に合併して誕生しましたが、合併当時から人口は8,000人以上も減って4万人を切ってしまいました。さらに、少子高齢化によってさらに人口が減ることが予想される上に合併の優遇処置も終わるため、市の職員数をカットしてコスト削減を考えなくてはならない状況にありました。しかし、それでも多様化するサービスに対応する必要があり、いままで以上により質の高いサービスを住民に提供しなくてはなりません。そこで「職員の意識改革を図って労働生産性を高めるために従来の働き方を見直そう」と、今回のオフィス改革につながりました。</p>
<p class="content-q">―何かきっかけはあったのですか。</p>
<p>　平成26年5月に、総務省の大平（おおだいら）利幸氏が赴任してきたことです。同氏は、上司と部下のコミュニケーションが少なく、仕事のスピードも遅い西予市の状況に気づき、「現状を改革するため、さらに働き方を変えるためにはオフィス改革必要だろう」と、大平氏を中心に改革が進められました。</p>
<p class="content-q">―どのようなプロセスで進めていったのでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070922.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070922.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　まずは“垣根”を取ることから始めました。それまでは、課長の席の前に課の机がズラリと並んで島を形成して、それぞれの課の間は書類棚で仕切られていました。まずこれを取り払って見渡しをよくしようと。平成27年3月に既存の机でレイアウト変更を実施し、袖机をなくし打ち合わせスペース設置しました。<br /> <br /> 　そして、第二段階の取り組みとして、平成28年4月に、デザイン経営工学の京都工芸繊維大学の仲隆介教授、社会心理学を研究している東洋大学の戸梶亜紀彦教授、一級建築士事務所オープン・エー代表の馬場正尊氏の3者と協力して進めていくことにし、「オフィス改革産学官連携・協力協定」を締結。職員向けにオフィス改革を理解してもらうために、何度もワークショップを開催してきました。</p>
<p class="content-q">―そうしたワークショップを活かして、さらにどのような取り組みを行ったのですか。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070932.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070932.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　来庁者に気づきやすくするため、平行配置をやめ、斜めに隣り合うようにしました。<br /> <br /> 　また、業務により集中できる場所の必要性についても意見がでました。そこで「集中」をコンセプトにした窓際に一列に机が並んでいる席を設け、仕事に没頭したいときに使用しています。<br /> <br /> 　さらに、チームスペース（基本となる課の島）は存在するけれど、自分の席を持たずに机の上の書類などをすべてなくし、好きなところに座れるようにしました。チーム席は全職員の70％程度とし、残りの職員は新たに「コミュニケーションスペース」をつくり、そこで仕事をしてもらおうと考えました。職員は仕事が終わると自分のノートパソコンと書類をロッカーにしまい、出勤したらまたロッカーから出して好きな場所で仕事をするというスタイルです。これを実現するため、無線LAN環境を構築し全員にPHSを導入して、どこでも移動して仕事ができる環境となっています。</p>
<p class="content-q">―「コミュニケーションスペース」とは、どのようなものでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070919.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070919.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　「プレイ（リフレッシュ）」「コラボ」「ウェルカム」などをテーマにした共有スペースがコンセプトの空間です。「プレイ」はカウンター席になっていて、仕事の合間に休憩をする空間。当然ですが、仕事をすることもできます。「コラボ」はボックス席や大テーブル席などが多彩な場があって、ほかの部署と打ち合わせをする空間。「ウェルカム」は市民と接する場です。対面カウンターは以前からありましたが、新たにテーブル席を設置。より市民に寄り添った対応をすることができます。<br /> <br /> 　ただ、新たにコミュニケーションスペースをつくるためには、既存のスペースを削らなければできませんでした。そこでペーパーレス化を進め、各人でもムダな資料をどんどん省いていきました。その結果、スペースを確保でき、多様なコミュニケーションスペースを設置することができました。</p>
<p class="content-q">―ペーパーレス化はどのように進めていったのですか。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070925.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070925.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　袖机やロッカーなど、書類を保存できるスペースを大幅に減らすことで「紙で保存する」という各人の意識をなくすように促し、資料はデータで保存するように。また、会議のたびに膨大な紙資料を持ち歩いていましたが、大画面のモニターやプロジェクタを使用して資料を投影するように改善しました。<br /> <br /> 　また、大きな効果をもたらしたのがパソコン画面のデュアル化です。ノートパソコンの横にもう1台モニターを置くことで、複数の資料を画面に同時表示できるように。それまで資料をプリントして見くらべていたりしたのですが、すぐ横のモニターを見ながら作業ができるようになったので、スピードが圧倒的に速くなり、プリントする必要もなくなりました。<br /> <br /> 　さらに、複合機も3台から2台に削減してコストを抑えると同時に、プリントする意識を少なくしてもらうよう促しました。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070945.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―取り組み後の効果を教えてください。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070929.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070929.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>もっとも変わったのは、職員同士のコミュニケーションが格段に増えたことです。以前は消耗品の保管場所や給湯スペースが各課にあったのですが、それも1カ所に集約。コミュニケーションが自然と生まれ、それまであまり接することのなかった人たちとの会話が増えました。それにより、他部署のことも少しずつわかるように。実際のアンケートでは約8割の職員が「以前よりコミュニケーションが増えた」と答えています。<br /> 　そして、ペーパーレス化によるコスト削減の効果も出ています。<br /> <br /> 　さらに、アンケート調査の結果から業務効率化された時間を金額に換算（単純計算による試算）したところ、最初の1年で約1,600万円相当になりました。レイアウトの変更による工事、新しい机やイス、PHS導入で約1,000万円かかりましたが、それを差し引く効果が出ていると思っています。</p>
<p class="content-q">―改革を行ったことで懸念点はありますか。</p>
<p>庁内の職場改革ということで、住民からすると「ムダなお金を使っているのではないか」と思われる方もいると思います。そのため、オフィス改革によって具体的に何が変わったのかをはっきりと「見える化」することが大切だと思っています。それも、よりわかりやすいように具体的な数字に置き換えることが求められます。そうしたことがきちんと伝われば、今後のさらなるオフィス改革もスムーズに進められると思います。</p>
<p class="content-q">―今後の展望を教えてください。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070936.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070936.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>今回は全庁舎のうち、モデルとして本庁舎の4階フロアのみの改革です。今後、計画を立てほかのフロアはもちろん、4つの支所もあるため、そのオフィス改革も順次進めていきたいと考えています。<br /> <br /> 　オフィス改革とは単に内装を変えることではなく、最大の目的は「働き方を変える」ことにあります。その本質を忘れずに、従来のトップダウン型からボトムアップ型へ、指示待ちから行動派へ転換を図ることで、住民へのサービス向上に努めたいと思っています。</p>
</section>
</section>

オフィスを根本的に変えることで職員の働き方も変革する

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">高知県馬路村 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>❝地元愛❞が成功の秘訣　ゆずの村おこし、年商30億円</h3>
<div class="profile-name">馬路村農協 営農販売課 課長 長野 桃太</div>
</div>
<section id="lead">
<p>「地方創生」が、日本自治体における重要政策のひとつに掲げられており、多くの自治体が「まちおこし」の方法を模索している。そのようななか、高知県馬路村は、地元では一般的だった❝ゆず❞を独自の特産品に育て上げ、年間30億円を売り上げるまでに産業を拡大。数十年の長きにわたる取り組みが結実し、村おこしに成功したのだ。人口が1,000人に満たない小規模自治体による、成功の秘訣はなんだったのか。馬路村農協営農販売課の長野桃太課長に話を聞いた。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">高知県馬路村データ</p>
人口： 915人(平成28年11月30日現在)世帯数： 441世帯(平成28年11月30日現在)予算規模： 22億2,780万円(平成28年度当初)面積： 165.51km²概要： 高知県の東部に位置し、徳島県と接している。馬路と魚梁瀬(やなせ)の2つの大字からなる。広大な自然が広がる地域。藩政時代以降、馬路と魚梁瀬の両村にわかれていたが、明治22年に馬路村として発足した。杉の産地としても有名。ゆずの加工品で全国ブランドを確立し、年間30億円の売上高を安定計上するまでに成長している。『日本で最も美しい村連合』に加盟している。</div>
</section>
<section id="content">
<h4>新たな産業の構築へ　地道に販路を開拓</h4>
<p class="content-q">―「ゆずによる村おこし」の経緯を聞かせください。</p>
<p>　馬路村はもともと、林業で非常に栄えていました。村全体の面積の96％が森林だという特徴があり、村のほとんどの人たちが林業に携わっていました。杉を植えて材木として販売する事業でしたが、昭和20～30年代にかけて徐々に林業が衰退し、新たな職を求めて村から人口がどんどん流出していきました。そのようななか、「林業に代わる新たな産業を構築しなければならない」という機運が高まり、❝ゆず❞に脚光が当たったようです。それで、昭和38年から馬路村でゆずの栽培が始まりました。</p>
<p class="content-q">―なぜ、ゆずに着目したのでしょう。</p>
<p>　高知県では昔から、ゆずが日常生活の様々なシーンで使われていました。絞り汁をお酢に入れたり魚にかけるなどして、普段の食卓で活用されていました。また、すし飯に入れるケースもあります。県内の消費量が高かったことから、馬路村でもゆずを栽培しようといった流れになったのです。<br /> <br /> 　ただ、当然ながら県内におけるほかの自治体でも同様の動きがあり供給過剰感ぎみになっていました。そこで昭和50年前後からは、県外に販路を求めて様々な商品PRを行うようになったのです。</p>
<p class="content-q">―県外でのPRは最初からうまくいったのですか。</p>
<p>　いいえ。当時は、ゆずがまだ全国的に一般的ではなかったため、県外では、「ゆずってなに？」と質問されることも珍しくなかったようです。それでも百貨店での物産展やイベントで、商品紹介を地道に何年もかけて行いました。本当に、本当に地道に行ったのです。そのなかで、購入してくれた人たちから「またほしいです。どこで売っていますか」といった内容のお手紙が徐々に届くようになり、通販の取り組みもスタート。いまでは、通販での取り扱いが約30～40％になっています。</p>
<p class="content-q">―現在は、どれくらいの商品を取り扱っているのでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070349.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070349.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>　ゆずドリンク「ごっくん馬路村」、そしてポン酢しょうゆの「ゆずの村」を2枚看板に、約70種類の商品を提供しています。ゆずそのものを商品として取り扱うのではなく、ほぼすべての商品が加工品です。</p>
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070359.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―ここ数年、30億円の売上が継続できている状況です。ほかにどのような商品を取り扱っているのでしょう。</p>
<p>食品以外にも、ゆずの種からオイルを抽出し、それを化粧品やボディオイルに入れて商品化しました。ほかにも、新たな商品開発に注力している状況です。職員が知恵を絞ってアイデアを出し合っています。『商品力では大手企業にも負けないぞ』という意気込みです。</p>
<p class="content-q">―加工品を取り扱うことでほかにどんなメリットがあるでしょう。</p>
<div class="right thumbnail"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070353.jpg" class="cboxElement"> <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070353.jpg" alt="" /> </a></div>
<p>加工品は有機農法に準じた栽培が可能です。加工せずにそのまま流通させるのであれば、見栄えや形のよさも重要になりますが、加工品はそれを気にする必要がありませんから。有機農法だと見栄えがそれほどよくならないという点はありますが、消費者に安心感を提供できるといったメリットが生まれるのです。</p>
<p class="content-q">―「商品力を企画するうえで気をつけているポイントはなんでしょう。</p>
<p>「馬路村を売り込んでいる」という点ですね。「田舎を売り込んでいる」とも言えます。ひと昔前であれば、田舎はマイナスイメージにしかとらえられませんでした。山奥でなにもない地域、自然しかない。しかし、それを強調することにしたのです。自然に満ちあふれている「田舎」として売り込むことを心がけました。そのほうが、一般消費者の方々も愛着がわくと考えたのです。<br /> <br /> 　「堂々たる田舎であり続ける」が私たちのキーワードです。また、商品や請求書発送の際にはお礼のメッセージを入れるなど、真心が伝えられるできる限りのことを行っています。</p>
<p class="content-q">―多くの人から高く支持される地方特産品のひとつになりました。</p>
<p>ええ。みなさまから愛していただけている、高い支持をもらっていることに対しては、大変ありがたいと思っています。ただ、私たちは「単なる特産品」になってはいけないと思っています。人口1,000人に満たない村ですが、本当に多くの観光客に来ていただいています。ただ、このゆずを「観光地の特産品」だけにならないようにしなければなりません。みなさまに末永く使っていただくために、「日常」で使っていただく商品にするよう心がけています。今後もその観点で、新たな商品開発を手がけていきます。</p>
<p class="content-q">―「まちおこし」を成功させるにはなにが必要ですか。</p>
<p>　大切なのは、その土地に愛着があるかどうかだと思います。昭和38年にゆずの栽培を始め、その後に販路拡大に取り組み、なかなか結果が出ず苦しんだときも「本当になんとかしてやっていこう」と村全体が一致団結しました。<br /> <br /> 　ほかの自治体以上の「危機感」が村にあったことは確かですが、「この村をなくしたくない」という想いでいっぱいでした。また、馬路村の名前が全国のみなさまに浸透しただけでなく、我々農協が経営するスーパーマーケットの運営コストの一部を、ゆずの収益でまかなうことができるため、村民に利便性向上といったメリットを提供できています。<br /> <br /> 　これからも村のため、一生懸命に商品開発していきます。</p>
</section>
</section>

❝地元愛❞が成功の秘訣 ゆずの村おこし、年商30億円

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">沖縄県北中城村の取り組み</span></p>
<p>公共スポーツ施設の整備</p>
<h3>時間と費用を抑えた体育館新設は、リースとスポーツクラブ併設がカギ</h3>
<div class="profile-name">北中城村 村長 新垣 邦男</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume"> </div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>健康づくりの場や防災拠点として、公共スポーツ施設が担う役割は大きい。しかし、老朽化が進んでも財源不足で施設の新設を断念する自治体は多い。こうしたなか、北中城村(沖縄県)では、起債を行うことなく体育館の新設を迅速に実現した。整備の背景や事業スキームの詳細などについて、村長の新垣氏に聞いた。</p>
</div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">北中城村データ</div>
<div class="municipality-body">人口：1万7,446人(令和元年9月末現在)世帯数：世帯数:7,207世帯(令和元年9月末現在)予算規模：115億6,115万円(令和元年度当初)面積：11.54km²概要：沖縄本島中部の東海岸に位置し、中城湾に面している。昭和21年に中城村北部の行政区が分離して誕生した村で、村としては日本でもっとも人口密度が高い。国指定重要文化財に指定され、戦前の上層農家の生活を伝える伝統的な「中村家住宅」や、世界遺産(琉球王国のグスクおよび関連遺産群)に指定された中城(なかぐすく)などの名所・旧跡を擁する。</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526075147.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526075147.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">北中城村</div>
<div class="person-position">村長</div>
<div class="person-name">新垣 邦男<span class="person-kana">あらかき くにお</span></div>
</div>
</div>
<h4>大型施設整備の財源確保には、数年の時間を要する</h4>
<p class="content-q">―新たに体育館を建設することになった経緯を教えてください。</p>
<p>　従来の村立体育館が老朽化で平成23年に解体されたことで、村には公共スポーツ施設がない状態が続いていました。当村は、女性の平均寿命が日本一を誇る健康長寿の村ですが、生活習慣の変化で若年層の健康は決してかんばしくないのが現状。住民の健康づくりを促進する場として、新しいスポーツ施設の整備が急務でした。また同時に、災害時の避難所を確保する観点からも、施設整備の必要性を感じていました。そこで当村は、米軍のゴルフ場跡地に新しい体育館を整備することを決定。体育館整備に関する提案事業者を募り、民間企業3社からなる企業共同体に事業を委託しました。</p>
<p class="content-q">―提案に対してどのような点を評価したのでしょう。</p>
<p>　迅速な体育館の整備を実現できる事業スキームを評価しました。具体的には、民間企業が建設・所有する体育館を、村が借り受けて運営するというもの。村が自前で施設を建設しようとすると、資金を蓄えるのに数年はかかってしまいます。しかし提案されたスキームはリース方式のため、初期費用をかけることなく迅速に事業化を実現できるのです。20年間のリース契約満了後、体育館は村に無償で譲渡されるので、将来は村所有の施設として継続使用できます。<br /> <br /> 　このほか、体育館を建設するだけでなく、その隣にスポーツクラブを併設する点も提案の特徴です。</p>
<h4>村独自の事業化とくらべ、1.5億円の負担を軽減</h4>
<p class="content-q">―スポーツクラブを併設するメリットを教えてください。</p>
<p>　体育館と一体で健康づくりの場を提供することで、住民サービス向上につなげられるだけでなく、事業全体にかかる費用を軽減できることです。スポーツクラブは、村が土地を貸し出し、民間企業に運営してもらう。これにより、村は借地料や建物にかかる固定資産税などの収入を得られます。そして20年間事業を続けた場合の財政負担は、村単独で事業を行うより、約1.5億円軽減できるのです。</p>
<p class="content-q">―村民からの評判はどうですか。</p>
<p>　フィットネスジムやスタジオ、プールなど施設が充実した24時間営業のスポーツクラブは非常に評判が良く、村の内外問わず多くの方に利用されています。今回新たに整備した体育館とスポーツクラブを、健康づくりの拠点とすることで、住民の健康意識を高めていきたいと考えています。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083422.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083422.jpg" alt="" /></a></figure>
<div id="material-area"> </div>
</section>
</section>

時間と費用を抑えた体育館新設は、リースとスポーツクラブ併設がカギ

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">北海道美瑛町の取り組み</span></p>
<p>職員間の情報連携強化</p>
<h3>「普段使い」のITツールを使えば、庁内の情報共有は劇的に加速する</h3>
<div class="profile-name">美瑛町<br />総務課 情報管理係長 成澤 公紀<br />総務課 主事 沼尻 一樹</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.21(2019年12月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>ときに自然災害などの緊急時の連絡手段として、また普段の業務効率化の一策として、昨今では職員間の情報・コミュニケーション連携に力を入れる自治体が増えている。美瑛町(北海道)もそのひとつだ。同町では、日常的に使うSNSと使用感が近いというビジネス版のグループウェアを導入している。ここでは、その導入効果などについて、担当者に聞いた。</p>
</div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">美瑛町データ</div>
<div class="municipality-body">人口：9,948人(令和元年9月30日現在) ／ 世帯数：4,789世帯(令和元年9月30日現在) ／ 予算規模：112億6,110万円(令和元年度当初) ／ 面積：676.78km² ／ 概要：北海道のほぼ中央に位置し、なだらかな波状丘陵と雄大で緑豊かな自然環境を有する。小麦、甜菜、豆類、馬鈴薯などの畑作農業を基幹産業としながらも、近年は「日本で最も美しい村」連合の取り組みをはじめとした、美しい景観を次の世代に伝える取り組みも行っている。雄大な十勝岳連峰の山麓に広がる波状丘陵地帯で営まれる農村景観や、「青い池」などの地域資源を活かし、国内外から年間170万人の観光客を集める。</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074940.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074940.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">美瑛町</div>
<div class="person-position">総務課 情報管理係長</div>
<div class="person-name">成澤 公紀<span class="person-kana">なりさわ あきのり</span></div>
</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074943.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074943.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">美瑛町</div>
<div class="person-position">総務課 主事</div>
<div class="person-name">沼尻 一樹<span class="person-kana">ぬまじり かずき</span></div>
</div>
</div>
<h4>将来的な運用を想定し、クラウド型システムを選定</h4>
<p class="content-q">―美瑛町がグループウェアを導入した背景を教えてください。</p>
<p><span class="content-speaker-name">沼尻</span>　もともと無料のグループウェアシステムを導入し、職員間の情報連携に活用していました。しかし、行政文書などもメールでのやり取りが増え、添付ファイルの容量が膨大になってきたことから、本格的なグループウェアの導入を検討。平成28年頃のことでした。</p>
<p><span class="content-speaker-name">成澤</span>　折しも、当時は情報セキュリティ強化の観点から、ネットワーク分離を翌年に控えていた時期。新たに移行する総合行政ネットワーク(LGWAN)内にグループウェアシステムを置く選択肢もありましたが、将来的な運用の広がりや災害時での利用を想定した場合、BYOD(※)に対応できることが重要と考え、インターネット環境で使える汎用性の高いクラウド型システムとする方針に。複数のシステムを比較検討し、日常的に使っているSNSと使用感が近いというビジネス版のグループウェアを導入している。</p>
<p class="content-note">※BYOD:Bring your own deviceの略。個人所有端末を業務に利用すること</p>
<p class="content-q">―導入の決め手はなんでしたか。</p>
<p><span class="content-speaker-name">成澤</span>　まずは、圧倒的な使いやすさです。ほとんどの職員が日常的にSNSを利用しているため、そのビジネス版ともいえるこのグループウェアなら、抵抗感なく利用できると期待しました。実際、導入にあたって特別な研修はいっさい行っていません。また、必要な機能は網羅され、定期的なアップデートもあるうえ、月額数百円という費用も決め手でしたね。</p>
<p><span class="content-speaker-name">沼尻</span>　さらに、国際的な認証を受けている強靭なセキュリティ面にくわえ、データセンターを国内に保有していることも評価しました。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074947.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074947.jpg" alt="" /></a></figure>
<h2 class="content-title">周辺自治体との連携も視野に</h2>
<p class="content-q">―導入効果はいかがですか。</p>
<p><span class="content-speaker-name">沼尻</span>　「トーク」機能によって、職員間の情報共有が質・量ともに格段に進みました。当町では全職員にアカウントを付与していますが、各自が要件に応じてグループをつくり、文書や画像の迅速なやり取りが可能になりました。「既読確認」機能により個人単位で既読がわかるため、未読者へ再アプローチがしやすい。庁内連絡では現在、ほとんどメールを使用することはありません。</p>
<p><span class="content-speaker-name">成澤</span>　そのほか、当町は近隣に活火山の十勝岳を擁しているため、毎年、防災訓練を実施していますが、ここで火口映像を関係部署と共有するなどの際にも活用を考えています。災害時には周辺自治体との連携も重要となるので、その基盤にもこのグループウェアを活用していきたい。将来的にはSNSと接続し、町民からの問い合わせ対応も検討中です。SNSに慣れ親しんでいる町民は多く、利便性を実感してもらえるはずです。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083425.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526083425.jpg" alt="" /></a></figure>
<div id="material-area"></div>
</section>
</section>

「普段使い」のITツールを使えば、庁内の情報共有は劇的に加速する

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

      <div id="titleBox">
        <p><span class="nfm-label">富山県南砺市の取り組み</span></p>

        <p>RPAによる業務改革</p>

	        <h3>RPAの導入を契機に、行政の未来を担う人材を育てる</h3>

        <div class="profile-name">
          南砺市<br>
市長政策部 行革・施設管理課 主幹 行革推進係長 中島 吉範<br>
会計課 主査 平野 美紀        </div>






      </div>

      <section id="content">
        <div class="nfm-volume">
            <p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.20(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
          </div>

        <hr class="divider">
          <div class="nfm-lead">
          <p>実用化ステージに着実に近づくRPA。この導入への動きを後押しすべく、総務省では「RPA導入補助事業」を立ち上げた。今年6月には82自治体の採択を発表したが、そのひとつに南砺市(富山県)がある。8つの町村が合併して誕生した人口5万人の同市でも近年、業務改革の切り札としてRPAへの期待は高い。同市で行われた実証実験に参画した担当者に、導入への期待などを聞いた。</p>
        </div>




        <div class="municipality-data">  <div class="municipality-heading">南砺市データ</div>  <div class="municipality-body">  <span>人口：5万592人(令和元年7月31日現在)</span>  <span>世帯数：1万7,751世帯(令和元年7月31日現在)</span>  <span>予算規模：563億5,010万7,000円(令和元年度当初)</span>  <span>面積：668.64km²</span>  <span>概要：富山県の南西部に位置し、北部は砺波市と小矢部市、東部は富山市、西部は石川県金沢市と白山市、南部は1,000mから1,800m級の山岳を経て岐阜県飛騨市や白川村と隣接している。市内には、平成7年にユネスコ世界遺産に登録された「五箇山の合掌造り集落」をはじめ、多くの歴史・文化遺産を有し、年間を通じて多くの人々が訪れる。</span>  </div></div>
<div class="person-box">  <div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074355.jpg" alt=""><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074355.jpg" alt=""></noscript></div>  <div class="person-meta">  <div class="person-organization">南砺市</div>  <div class="person-position">市長政策部 行革・施設管理課 主幹 行革推進係長</div>  <div class="person-name">中島 吉範<span class="person-kana">なかしま よしのり</span>  </div>  </div></div>
<div class="person-box">  <div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074358.jpg" alt=""><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074358.jpg" alt=""></noscript></div>  <div class="person-meta">  <div class="person-organization">南砺市</div>  <div class="person-position">会計課 主査</div>  <div class="person-name">平野 美紀<span class="person-kana">ひらの みき</span>  </div>  </div></div><p><span style="font-size: 18px;"><b>■全国の実証実験の取組まとめは<a href="https://www.jt-tsushin.jp/article/casestudy_poc/" target="_blank"><u>コチラ</u></a></b></span></p><h4>国の補助は受けられずとも、独自予算で実証実験を実施</h2><p class="content-q">―南砺市がRPAの導入を検討した背景を聞かせてください。</p><p><span class="content-speaker-name">中島</span>　当市は、8つの町村が合併して誕生した経緯もあり、役所機能を集約した現在も市庁舎は4つ存在し、機能は分散化されていました。来年7月には市庁舎の統合が計画されているなか、これにあわせた「組織の再編」や「業務の見直し」は近年、庁内での課題となっていました。中長期的には、定員適正化計画に沿って職員数の削減も視野に入ってきます。そうしたなかで、定型業務の自動化により業務効率向上が期待できるRPAには関心をもっていたのです。</p><p class="content-q">―田中市長もRPAの導入を後押ししていたそうですね。</p><p><span class="content-speaker-name">中島</span>　はい。市長からも、「定型業務はどんどん自動化し、職員はまちづくりの最前線で人にしかできない仕事に従事すべき」との方針が掲げられ、RPAの導入に積極的な姿勢が示されていました。そこで昨年、総務省が行ったRPA導入補助事業の公募に手をあげ、予算措置も講じました。残念ながら、そのときは採択されなかったのですが、規模を縮小してでも実証実験を独自に進める決断をしたのが、昨年6月のことでした。</p><p class="content-q">―実証実験の概要について教えてください。</p><p><span class="content-speaker-name">中島</span>　庁内に広くアンケートを実施し、RPAを適用したい業務を募集したところ、各課から30業務の応募がありました。そこで、「業務の発生頻度」「時間削減効果」「シナリオ構築の難易度」の3つの判断基準で30業務を分析し、最終的に会計課の2業務、こども課の2業務の計4業務に対象業務を絞り、今年3月から実証実験を開始したのです。</p><h2 class="content-title">4業務全体で約56%の削減効果</h2><p class="content-q">―採択された会計課の業務には、どのような課題があったのでしょう。</p><p><span class="content-speaker-name">平野</span>　毎日、もしくは月に複数回発生する反復作業であること、間違いが許されない数字の業務であること、遅滞が複数の部署に影響することなどから、職員の負担がとても大きいという課題がありました。たとえば、「税金収納消込業務」は、毎日税目ごとに入金情報を集計し、実際の入金額と照合のうえ、市の財務会計システムに入力する作業ですが、担当職員が一日休めば業務はたまっていきます。決算期など複数年度を取り扱う時期は、業務量が増えるなかで、処理の正確さはもちろん、スピードも求められました。</p><p class="content-q">―まさに最繁忙期での実証実験でしたが、結果はいかがでしたか。</p><p><span class="content-speaker-name">平野</span>　税金収納消込業務においては、一日あたり33.5分、年間で154.1時間かかっていた作業時間が、RPAの導入により一日わずか4分、年間でも18.4時間に短縮されたのです。削減率は約88%でした。もう一方の業務でも時間削減率は約30%が見込まれ、効果の大きさを実感しました。 また、RPAの操作は、画面もわかりやすく日付を入力するだけ。2業務とも簡単に使いこなせるので、職員が交替で行える業務となりました。</p><p><span class="content-speaker-name">中島</span>　今回の時間削減率は、純粋にデータ入力作業時間だけの比較から算出したものです。会計課や担当課で行っていた「入力後のチェック」に要する時間や手間を含めると、時間削減効果はさらに大きなものになります。4業務全体では年間約408時間、約56%の削減効果を実証できたことで、導入に対する現場の期待感が非常に高まっています。</p><figure class="content-figure thumbnail" style="text-align:center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074410.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074410.jpg" alt=""></a><br></figure><h2 class="content-title">10年後の役所を見据えて、プロジェクトチームを発足</h4><p class="content-q">―南砺市では今後、RPAをどのように活用していきますか。</p><p><span class="content-speaker-name">中島</span>　今年は総務省の「RPA導入補助事業」に無事採択されたことで、検証した4業務にくわえ、さらに複数業務でも運用を加速させていきます。あわせて、10年後の市役所の姿を見据え、RPAの全庁展開を担う若手人材の育成にも力を入れていきます。人材育成の母体として、庁内から横断的に若手人材を募った「BPR(※)推進プロジェクトチーム」を発足させました。RPAの導入が、役所の未来を担う人材に業務改革の意識を根づかせてくれることを期待しています。</p><p class="content-note">※BPR：Business Process Re-engineeringの略。ビジネスのプロセスを見直し、抜本的に設計しなおすこと</p>
              <div id="material-area">
                    </div>




      </section>








    </section>

RPAの導入を契機に行政の未来を担う人材を育てる【自治体（南砺市）の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

      <div id="titleBox">
        <p><span class="nfm-label">宮崎県西都市の取り組み</span></p>

        <p>人事評価システムの導入</p>

	        <h3>自治体の人事評価は納得感のある運用が現場のやる気を引き出すカギに【自治体（西都市）の取組事例】</h3>

        <div class="profile-name">
          西都市<br>
総務課 課長 吉野 光史郎<br>
総務課 課長補佐 長友 英樹        </div>






      </div>

      <section id="content">
        <div class="nfm-volume">
            <p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.20(2019年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
          </div>

        <hr class="divider">
          <div class="nfm-lead">
          <p>近年の地方公務員法の改正以降、人事評価制度の導入が義務づけられ、業績・能力評価を給与や任用の基礎とする制度運用が本格化している。一方で、担当の人事部門では業務負荷が増大しており、その解決策として専用システムを導入する自治体が増えている。西都市(宮崎県)も、そのひとつだ。同市の担当者2人に、専用システム導入のメリットなどを聞いた。</p>
        </div>




        <div class="municipality-data">  <div class="municipality-heading">西都市データ</div>  <div class="municipality-body">  <span>人口：2万9,206人(令和元年8月1日現在)</span>  <span>世帯数：1万2,038世帯(令和元年8月1日現在)</span>  <span>予算規模：290億6,019万2,000円(令和元年度当初)</span>  <span>面積：438.79km²</span>  <span>概要：宮崎県のほぼ中央に位置する。平成30年に日本遺産に認定された国内最大級の古墳群「西都原古墳群」を有することで知られる。古代日向の都として栄え、その後も政治・経済の要の地として、日向の歴史に大きな役割を果たしてきた。その歴史は各所に現存する史跡や文化財から垣間見ることができる。</span>  </div></div>
<div class="person-box">  <div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074247.jpg" alt=""><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074247.jpg" alt=""></noscript></div>  <div class="person-meta">  <div class="person-organization">西都市</div>  <div class="person-position">総務課 課長</div>  <div class="person-name">吉野 光史郎<span class="person-kana">よしの こうしろう</span>  </div>  </div></div>
<div class="person-box">  <div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074243.jpg" alt=""><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074243.jpg" alt=""></noscript></div>  <div class="person-meta">  <div class="person-organization">西都市</div>  <div class="person-position">総務課 課長補佐</div>  <div class="person-name">長友 英樹<span class="person-kana">ながとも ひでき</span>  </div>  </div></div><h4>評価の公平性を担保できる、専用システムの導入が必要</h2><p class="content-q">―西都市では、人事評価制度の導入は早かったと聞きます。</p><p><span class="content-speaker-name">長友</span>　はい。国の制度改正をにらみ、平成21年度から試行していました。平成24年度には「西都市人事評価制度」を策定し、これに基づいて業績や能力育成計画における目標を設定し、評価を実施してきました。</p><p><span class="content-speaker-name">吉野</span>　当初は、紙による管理を行っていましたが、庁内380人の全職員の評価を管理することは大変な作業負担でしたので、私自身が表計算ソフトを使ってファイルを作成し、評価データを自動集計していました。しかし、パソコンの入れ替えなどで変わるハード環境にソフトの動作が左右される状況がありました。また、ソフトが壊れた際の復旧やメンテナンスも、私がいなければできませんでした。そこで、汎用的な専用システムの導入が必要と考えたのです。</p><p class="content-q">―システム選定では、どのような点を重視したのですか。</p><p><span class="content-speaker-name">長友</span>　まずは、職員のだれもが使いやすく、操作を簡単に覚えられること。視覚的に見やすく、初めての人でも抵抗感なく使用できることは重要でした。また、蓄積データを各種の分析に活かせる機能も重視しました。</p><p><span class="content-speaker-name">吉野</span>　さらに、評価の公平性を担保するために、被評価者に評価結果をフィードバックできる機能も重要と考えました。そのほか、効率的な業務の推進を図るために、すでに導入している業務システムとのデータ連携が簡単にできることも重視。これらすべてを満たす人事評価システムの導入を決めました。</p><h2 class="content-title">適正な給与への反映が、職員の生産性を高める一助に</h4><p class="content-q">―導入効果はいかがですか。</p><p><span class="content-speaker-name">長友</span>　SEによるバックアップ体制が整っており、安定的な運用が可能になりました。また、人事給与システムとのデータ連携が図れているため、職員の定期異動の際に生じる年度当初のデータ移行といった入力作業の負担が大きく軽減されています。<br>
<br>
　また、蓄積データの加工・編集によって、評価結果を分析することもできるようになりました。評価者ごとの甘辛傾向や評価結果のブレなどを客観的に分析できる機能もあるため、評価者の目線合わせのための庁内研修用素材としても活用しています。</p><figure class="content-figure thumbnail" style="text-align:center;"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526074250.jpg" alt=""><br></figure><p class="content-q">―今後、人事評価システムをどのように活用していきますか。</p><p><span class="content-speaker-name">吉野</span>　業務の増加、複雑化が進むなか、今後は職員のやる気を引き出し、生産性をより一層高める必要があります。そのためには、公平な評価や適正な給与への反映が欠かせません。このシステムを活用し、そうした職場環境を実現していきたいです。</p><p><span class="content-speaker-name">長友</span>　今後は、職員の評価結果を能力開発にも活かしていきたいですね。西都市には、豊富な農畜産物や日本遺産に認定された西都原古墳群など、多くの資産があります。そうした西都市の魅力を発信できる職員の育成に、人事評価システムが一役買ってくれるのではと期待しています。</p>
              <div id="material-area">
                    </div>




      </section>








    </section>

自治体の人事評価は納得感のある運用が現場のやる気を引き出すカギに【自治体（西都市）の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<div id="titleBox">
<p><span class="nfm-label">岩手県久慈市の取り組み</span></p>
<p>紙帳票入力の電子化</p>
<h3>LGWAN対応のAI-OCRとRPAを併用し、入力業務の大幅な効率化を実現</h3>
<div class="profile-name">久慈市 総合政策部 地域づくり振興課 情報化推進係 係長　谷川 佳澄</div>
<div class="spHomePostCompany">[提供] 東日本電信電話株式会社</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>職員減少が進む自治体業務において、いかに効率化を行っていくかが求められている。さらに新型コロナウイルスの感染拡大を契機とした、ニューノーマルな働き方の観点からも見逃せない課題に。そんななか、久慈市(岩手県)では、ICTを活用した業務効率化を図る実証実験を行い、令和2年7月からAI-OCRとRPAの導入を始めた。同市の谷川氏に、業務効率化を図った背景や今後の活用法などを聞いた。</p>
</div>
<div class="jto-p-jumoToMaterial"><a href="#material-area"><span class="fa fa-chevron-circle-down"> </span> 本記事で紹介しているサービス概要資料はこちら</a></div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">久慈市データ</div>
<div class="municipality-body">人口：3万4,291人(令和2年7月31日現在)世帯数：1万5,708世帯(令和2年7月31日現在)予算規模：277億1,060万8,000円(令和2年度当初)面積：623.50km²概要：岩手県北東部の沿岸に位置し、東側は太平洋に面した海成段丘が連なり、西側は、遠島山など標高1,000m以上の山嶺を有する北上高地の北端部にあたる。また、東流する久慈川・長内川等の河川が北上高地を開析し、急峻な渓谷を形成しながら太平洋に注いでいる。古くから郷土に伝わる風習、芸能、行祭事も多く、特に9月に行われる「久慈秋まつり」は、南北朝時代から行われている、伝統を誇る岩手県北最大級のまつりと言われている。</div>
</div>
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175359.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175359.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">久慈市</div>
<div class="person-position">総合政策部 地域づくり振興課 情報化推進係 係長</div>
<div class="person-name">谷川 佳澄<span class="person-kana">たにがわ よしずみ</span></div>
</div>
</div>
<h4>実証実験により、入力業務の効率化を実感</h4>
<p class="content-q">―業務効率化を図った背景を教えてください。</p>
<p>　久慈市では東日本大震災や台風などの災害が続き、その対応に追われる一方で、職員数が減少しています。そんななか、当市では職員の健康を維持しつつ、住民サービスの質を高めることが必要と考えて、業務の効率化が課題でした。課題解決のひとつの方法としてICTを活用した業務効率化を模索し、注目したのがRPAでした。小さい規模から始められ、幅広い業務で活用できそうだ、と。<br /><br />　そうしたなか、平成30年にNTT東日本からAI-OCR『AIよみと～る』とRPA『おまかせRPA』を組み合わせた業務効率化の提案を受けました。ただ当時、すぐ検討にはいたりませんでした。</p>
<p class="content-q">―それはなぜですか。</p>
<p>　同社のAI-OCRがLGWANに対応していなかったためです。ただ、提案のなかで、RPAで入力を自動化する前段で紙帳票入力を電子化する必要性を理解し、AI-OCRの活用でより業務効率化につながるというのはよくわかりました。</p>
<p class="content-q">―その後、どのように導入の検討を進めたのでしょう。</p>
<p>　令和元年に同社のAI-OCRがLGWAN対応になったことを契機に、実務レベルでの効果を確認するため、実証実験を行いました。実証実験では、事前に担当課全体へヒアリングを行い、導入の意向があった課を中心に実施しました。その結果、年間2万件のふるさと納税処理業務、約4,000枚のアンケート集計業務にて、とても高い効果を実感しました。</p>
<p class="content-q">―どのような効果でしたか。</p>
<p>　ふるさと納税では、作業に要する時間が月あたり約78%削減。アンケート集計業務は約83%の時間削減につながりました。特にアンケート集計業務に関しては、担当職員が驚くほどでしたね。<br /><br />　また7月からは、児童手当現況確認などの、子育て関係の業務でも新たに導入を進めており、今後さらにほかの業務での適用も検討していきます。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175351.png" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175351.png" alt="" /></a><br />
<figcaption style="text-align: center;">・トライアル実施時期:2019年12月～2020年2月<br />・すべてのかたに同様の効果を約束するものではありません。</figcaption>
</figure>
<h4>将来的には対象業務を拡大し、テレワーク導入にも活用を</h4>
<p class="content-q">―これからの活用方針を教えてください。</p>
<p>　新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、当市でもテレワークの検討を今後する必要があると思っています。将来的には、AI-OCRで紙帳票の文字を電子化しておけば、庁舎へ出勤し入力作業をする必要性をなくすことができ、テレワーク可能な業務領域が広がるのではないか、といったことなどを模索しています。<br /><br />　こうした、業務効率化の検討を進め、緊急事態宣言のような状況下においても、業務継続できる体制づくりをめざしたいです。</p>
<p class="content-note">※『AIよみと～る(LGWAN接続タイプ)』のご利用には、スキャナーなどの帳票類を電子化する機器および総合行政ネットワーク(LGWAN)への接続環境が必要です</p>
</section>
</section>
<hr />
<section id="coverWrap" class="transbox clearfix transbox2">
<div id="titleBox">
<h3>紙業務の電子化で重視すべきは、読み取り精度・セキュリティ・サポート体制</h3>
<div class="profile-name">東日本電信電話株式会社 ビジネス開発本部 第二部門　北森 雅雄</div>
<div class="spHomePostCompany">[提供] 東日本電信電話株式会社</div>
</div>
<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="person-box">
<div class="person-photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175402.jpg" alt="" /><noscript><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526175402.jpg" alt=""></noscript></div>
<div class="person-meta">
<div class="person-organization">東日本電信電話株式会社</div>
<div class="person-position">ビジネス開発本部 第二部門</div>
<div class="person-name">北森 雅雄<span class="person-kana">きたもり まさお</span></div>
</div>
</div>
<p class="content-q">―紙の入力作業を電子化するポイントはなんでしょう。</p>
<p>　久慈市のように、AI-OCRで文字を電子化し、RPAで自動入力することで作業効率性は飛躍的に向上します。単純作業をICTに振り分ければ、業務効率化はもちろん、入力ミスの防止にもつながります。</p>
<p class="content-q">―『AIよみと～る』の特徴を教えてください。</p>
<p>　高い読み取り精度と業務効率化効果です。自治体とのトライアル(※)では、平均で読み取り精度97.6%、RPAを組み合わせることで、作業短縮効果58.6%という高い効果が出ました。そして、強固なセキュリティです。LGWAN内で閉じたシステム構成のため、住民情報も安心して読み込めます。さらに、当社独自のサポート体制です。年中無休9～21時で電話サポートを整備しており、お困りの時に問い合わせができて安心です。有償ですが、オンサイトで操作説明や読み取り設定支援を行う訪問サポートも利用可能です。『おまかせRPA』も、年中無休9～21時の遠隔サポート、有償でシナリオ作成支援を行う訪問サポートを利用できます。</p>
<p class="content-note">※自治体とのトライアル:4自治体(長野市、千葉市、目黒区、三鷹市)の対象9業務について実施した「AI-OCR」と「RPA」活用時の読み取り精度および作業短縮効果(1件当たりの単純平均)のトライアル結果(平成31年1月～令和元年7月)</p>
<p class="content-q">―自治体に対する今後の支援方針を教えてください。</p>
<p>　紙の入力作業を電子化することで、自治体業務効率化を支援したいです。また、昨今の「コロナ禍」にくわえ、総務省がテレワークを推進しており、今後は自治体もテレワークの検討が始まると考えられます。「文書電子化」が進めば、テレワークで対応できる業務も増えていきます。我々のソリューションで、自治体の「ニューノーマル」な未来を実現していきたいですね。</p>
<div class="content-profile">
<div class="content-profile-heading">北森 雅雄 (きたもり まさお) プロフィール</div>
<div class="content-profile-body">昭和62年、東京都生まれ。平成23年に東日本電信電話株式会社(NTT東日本)に入社後、自治体向けのシステムエンジニアとして、庁内ネットワークや公共機関向けアプリケーションなどのコンサルティングを担当。平成28年から現職にて、AI関連のサービス開発に従事。</div>
</div>
<div class="company-info-heading">東日本電信電話株式会社</div>
<table class="company-table">
<tbody>
<tr>
<th>設立</th>
<td>平成11年7月</td>
</tr>
<tr>
<th>資本金</th>
<td>3,350億円</td>
</tr>
<tr>
<th>売上高</th>
<td>4,900人(平成31年3月31日現在)</td>
</tr>
<tr>
<th>事業内容</th>
<td>東日本地域(※1)における地域電気通信業務(※2)およびこれに附帯する業務、目的達成業務、活用業務<br /><small>※1 北海道、青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、新潟県、山梨県および長野県</small><br /><small>※2 県内通話にかかわる電話、専用、総合デジタル通信などの電気通信サービス</small></td>
</tr>
<tr>
<th>URL</th>
<td><a href="https://www.ntt-east.co.jp/" target="_blank">https://www.ntt-east.co.jp/</a></td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせ電話番号</th>
<td>NTT東日本 ICTコンサルティングセンタ<br /><span class="contact-tel-number">0120-765-000</span> 平日9:00～17:00（年末年始を除く）</td>
</tr>
</tbody>
</table>
<div class="company-info-heading">東日本電信電話株式会社 その他の記事</div>
<div style="text-decoration: underline; font-size: 12px;"><a href="https://www.jt-tsushin.jp/interview/jt25_ntt-east/" target="”_blank”">■自治体通信25号『LGWAN対応のAI-OCRで、大量の入力業務を自動化』</a></div>
<div id="material-area" class="jto-p-material">
<div class="jto-p-material__lead">この記事で支援企業が提供している<br />ソリューションの資料をダウンロードする</div>
<div class="jto-p-buttonGroup">
<div class="jto-p-buttonGroup__aboveButtonText">＼ たった1分で完了！ ／</div>
<a href="https://raban.jt-tsushin.jp/materials/digitaltransformation/ai-rpa/192" target="_blank" class="jto-c-button jto-c-button__primary"><span class="fa fa-chevron-circle-right"> </span>資料ダウンロードフォーム</a></div>
</div>
</section>
</section>

地域の魅力　×　みんなの思い　×　ICT　＝　循環型ミライ
地域の循環型ミライをめざして、地域だけを見つめ、ともに歩んできたNTT東日本グループ。
地域の魅力と、みんなの思いに、ICTをかけ合わせ、つぎのミライをつくりはじめています。
めざしているのは、それぞれが循環しながらお互いがつながり持続的に発展できる地域の循環型ミライです。
これまでも、そしてこれからも、地域のパートナーでありつづけることを約束します。

LGWAN対応のAI-OCRとRPAを併用し、入力業務の大幅な効率化を実現

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

<div class="jto-p-headline">
<p><span class="jto-c-label">長崎県南島原市の取り組み</span></p>
<p class="jto-c-topic">雨量観測器による地域防災</p>
<h3 class="jto-p-headline__heading jto-c-heading">局地的豪雨の対策に必要なのは、エリアごとのリアルタイムな雨量把握</h3>
<div class="jto-c-interviewee">南島原市 総務部 防災課 防災交通班 班長　林田 昭義</div>
<div class="jto-c-sponsored">[提供] エコー電子工業株式会社</div>
</div>

<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>全国各地で局地的豪雨が頻発し、水害リスクが年々高まるなか、住民の生活を守る社会環境整備が使命の自治体にとって、水害対策の強化は最重要課題のひとつ。その課題に取り組むべく、南島原市(長崎県)では独自の雨量観測器を市内各所に設置した。同市担当者に、具体的な水害対策の取り組みや機器設置で期待する効果などを聞いた。</p>
</div>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">南島原市データ</div>
<div class="municipality-body">人口：4万4,725人(令和2年7月末現在)世帯数：1万8,883世帯(令和2年7月末現在)予算規模：463億8,526万3,000円(令和2年度当初)面積：170.11km²概要：長崎県の南部、島原半島の南東部に位置する。1,000mを超える雲仙山麓から南へ肥沃で豊かな地下水を含む大地が広がり、魚介類豊富な有明海と橘湾に広く面する海岸線を有す。歴史的には1560年代にキリスト教がこの地に伝来。「島原・天草一揆」の終焉の地として有名な「原城跡」は、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつとして、世界文化遺産に登録されている。</div>
</div>

<div class="jto-p-person">
<div class="jto-p-person__photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082809.jpg" alt="" /></div>
<div class="jto-p-person__meta">
<div class="jto-p-person__organization">南島原市</div>
<div class="jto-p-person__position">総務部 防災課 防災交通班 班長</div>
<div class="jto-p-person__name">林田 昭義 <span class="jto-p-person__kana">はやしだ あきよし</span></div>
</div>
</div>

<h4>観測値にタイムラグがあれば、避難対策が後手に回る懸念</h4>
<p class="content-q">―水害対策の取り組み状況を教えてください。</p>
<p>　これまでは、市内に1ヵ所ある気象庁の気象観測器『アメダス』と、県の雨量観測器で雨量情報を収集していました。そのうえで、大雨や土砂災害の警報が発令された場合、すぐに災害警戒本部を庁内に設置して、住民への迅速な避難情報の発令体制を整えています。</p>
<p class="content-q">―そういった状況のなか、どのような課題があったのでしょう。</p>
<p>　当市は東西に約22km、南北に約17kmで、面積が約170km²と広く、天候がエリアごとに異なることもよくあります。しかしながら、エリアごとの雨量情報をリアルタイムに収集できていない状況にありました。丘陵地が多い当市には、土砂災害警戒区域が約1,400ヵ所あります。昨今の局地的豪雨の頻発により、エリアごとの雨量情報を迅速に収集しなければ、避難対策が遅れる可能性も。そう考えると、『アメダス』はリアルタイムに収集できますが1ヵ所しかなく、各エリアの状況をリアルタイムに収集できる雨量観測器の設置を独自に検討しました。</p>
<p class="content-q">―その際、なにを重視しましたか。</p>
<p>　コスト面と物理面から見た「設置のしやすさ」です。<br /><br />　コスト面では、『アメダス』のような大規模な機器ではなく、雨量を正確に観測できる必要最低限の機器であればコストが抑えられるため、市内各所に設置できます。また、物理面では、たとえば電源の確保が難しい山間地など、観測したい場所に容易に設置できれば観測地点を広げられます。</p>
<p class="content-q">―その結果、どのように検討を進めたのでしょう。</p>
<p>　当市の防災行政無線のシステムを構築しているエコー電子工業に相談したところ、ソーラーパネルとバッテリーで稼働する電源不要の小型雨量観測器『EQROS(エクロス)』の提案がありました。雨量観測に特化したことで低コストが実現し、小型かつ電源不要なので物理的にも設置しやすい。現在、川の上流や土砂災害が懸念される地点などに7台設置しています。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082801.png" alt="" /></figure>
<h4>夜間でも「避難勧告」を、躊躇なく発令できた</h4>
<p class="content-q">―導入後、どういった効果がありましたか。</p>
<p>　避難対策の判断に、より確信をもてるようになりました。たとえば今年の7月6日、九州北部の記録的大雨の際、市内全域に「避難勧告」を発令しました。夜間だったため、避難所への移動の危険を考えると、発令するか迷いが生じるところです。しかし、『エクロス』の雨量情報を見て、「一刻も早い避難が必要」と判断できました。その後、もっとも緊急性の高い「避難指示」の発令も、『エクロス』を注視して関係各所と協議した結果、不要と判断しました。『エクロス』の情報をもとに、適切な避難対策が講じられたと思います。</p>
<p class="content-q">―『エクロス』を今後の水害対策にどう活用しますか。</p>
<p>　『エクロス』で得た雨量情報は住民も市のホームページ上で閲覧でき、さらに、一定雨量を超せば登録アドレスに注意喚起のメールを自動通知する機能も今後実装予定であるため、自助・共助につながる活用を促します。そのほか、今後『エクロス』に蓄積されるデータをもとに、「水害の確率が高まる降雨量」などを分析し、さらなる迅速な避難対策に活かしたいです。</p>
</section>
</section>
<hr />
<section id="coverWrap" class="transbox clearfix transbox2">

<div class="jto-p-headline">
<p><span class="jto-c-label">支援企業の視点</span></p>
<h3 class="jto-p-headline__heading jto-c-heading">「設置しやすい」観測器選びが、避難対策の迅速性を高めるカギに</h3>
<div class="jto-c-interviewee">エコー電子工業株式会社 公共ソリューション部 営業課 課長　本山 敏彦</div>
<div class="jto-c-sponsored">[提供] エコー電子工業株式会社</div>
</div>

<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />

<div class="jto-p-person">
<div class="jto-p-person__photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082812.jpg" alt="" /></div>
<div class="jto-p-person__meta">
<div class="jto-p-person__organization">エコー電子工業株式会社</div>
<div class="jto-p-person__position">公共ソリューション部 営業課 課長</div>
<div class="jto-p-person__name">本山 敏彦 <span class="jto-p-person__kana">もとやま としひこ</span></div>
</div>
</div>

<p class="content-q">―自治体の間で雨量観測器の導入機運は高まっていますか。</p>
<p>　確実に高まっています。これまで多くの自治体は、国や都道府県の気象観測システムから雨量情報などを入手していました。しかし、リアルタイムな雨量情報をピンポイントで収集することに課題がありました。局地的豪雨の発生が珍しくない、いまの状況下では、「迅速な避難対策が講じられない」と不安に感じる自治体が多いです。</p>
<p class="content-q">―雨量観測器を選ぶ際のポイントはなんでしょう。</p>
<p>　「設置のしやすさ」ですね。南島原市のように、設置のしやすさがコスト面と物理面の両面で実現すれば、観測体制が広がり、避難対策の迅速性は高まります。その点、当社の『エクロス』は、観測できる気象情報を気温や湿度、日照などに広げず、局地的豪雨の対策として雨量に限定したことで、設置しやすい価格を実現しました。物理面では、設置場所が制約されないよう小型化し、ソーラーパネルとバッテリーを組み合わせた動力なので、電源の確保が難しい山間部でも問題なく設置できます。また、自治体保有の防災行政無線の支柱にも取りつけられるタイプを用意したため、設置場所はさらに広げられます。</p>
<p class="content-q">―今後の自治体に対する支援方針を聞かせてください。</p>
<p>　当社は、ピンポイントでカメラ画像を配信するサービスも行っています。データだけでなく、画像を通じた目視による雨量の現状把握により、自治体の避難対策のさらなる迅速化を支援します。興味のある自治体の方は、ぜひ当社にご連絡ください。</p>
<div class="content-profile">
<div class="content-profile-heading">本山 敏彦 (もとやま としひこ) プロフィール</div>
<div class="content-profile-body">昭和48年、長崎県生まれ。佐世保工業高等専門学校機械工学科を卒業後、平成9年、エコー電子工業株式会社に入社。市町村防災行政無線設備、河川砂防情報基盤設備など電気通信分野に携わり、平成27年より現職。</div>
</div>
<p></p>
<div class="company-info-heading">エコー電子工業株式会社</div>
<table class="company-table">
<tbody>
<tr>
<th>設立</th>
<td>昭和38年4月</td>
</tr>
<tr>
<th>資本金</th>
<td>1億円</td>
</tr>
<tr>
<th>売上高</th>
<td>61億3,800万円(平成31年3月期:連結)</td>
</tr>
<tr>
<th>従業員数</th>
<td>272人(令和2年4月1日現在:連結)</td>
</tr>
<tr>
<th>事業内容</th>
<td>電子・情報通信機器の販売、ソフトウェアおよびコンピュータシステムの開発、これらに関する工事・保守・リサイクル</td>
</tr>
<tr>
<th>URL</th>
<td><a href="https://www.g-hopper.ne.jp/" target="_blank">https://www.g-hopper.ne.jp/</a></td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせ電話番号</th>
<td><span class="contact-tel-number">0956-23-6221</span> (平日8:40～17:30)</td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせメールアドレス</th>
<td><a href="mailto:0netbg@g-hopper.ne.jp">0netbg@g-hopper.ne.jp</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>
</section>
</section>

局地的豪雨の対策に必要なのは、エリアごとのリアルタイムな雨量把握

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">

<div class="jto-p-headline">
<p><span class="jto-c-label">2自治体の取り組み</span></p>
<p class="jto-c-topic">気象観測情報を活用した防災対策</p>
<h3 class="jto-p-headline__heading jto-c-heading">避難行動の明暗を分ける、最新「気象観測システム」の実力とは</h3>
<div class="jto-c-interviewee">つくばみらい市 市長 小田川 浩<br />瑞穂町 住民部 参事 危機管理官 亀山 淳</div>
<div class="jto-c-sponsored">[提供] 明星電気株式会社</div>
</div>

<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<div class="nfm-lead">
<p>　災害心理学に、「安全性バイアス」という言葉がある。異常事態に直面しても、「正常の範囲内である」と判断し、平静を保とうとする人間心理のことだ。パニックを防ぐために必要な心の働きである一方、自然災害時の危険を過小評価し、避難行動に遅れが出る原因にもなりえる。そこで大切なのが、各自治体による的確で迅速な避難情報の提供だ。<br />　多くの自治体では、国や都道府県のシステムを通じて気象情報を収集し、状況を分析したうえで、避難情報を発令するかどうかの判断をしている。しかし近年、局地的豪雨など気象状況の急変が全国各地で頻発している状況を考えれば、広域的な情報だけでなく、自治体内の降雨状況を網羅的かつ迅速に把握しなければ、的確な避難情報を提供することは困難な状況だ。<br />　この企画では、独自の気象観測システムを導入することで、「水害」に対する備えを強化する先進的な自治体事例を紹介する。</p>
</div>
<hr class="divider divider-content" />
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082436.jpg" alt="" /></figure>
<p>市内に鬼怒川、小貝川という2本の一級河川が流れるつくばみらい市(茨城県)では、河川の水位情報が避難対策を判断する大きな材料になるという。同市では、その判断を迅速化するために、新たな気象観測システムを導入した。これにより、地域の防災力強化を目指す市長の小田川氏に、システム導入の効果や今後の期待などを聞いた。</p>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">つくばみらい市データ</div>
<div class="municipality-body">人口：5万1,981人(令和2年8月1日現在)世帯数：2万1,092世帯(令和2年8月1日現在)予算規模：293億4,820万7,000円(令和2年度当初)面積：79.16km²概要：平成18年3月に旧伊奈町、旧谷和原村が合併して誕生した。東京都心から40km圏に位置する。平成17年8月には、東京・秋葉原とつくば市を結ぶ首都圏新都市高速鉄道「つくばエクスプレス」が開業し、市内の「みらい平駅」周辺ではマンションや商業施設などが整備され、新たなまちづくりが進められている。</div>
</div>

<div class="jto-p-person">
<div class="jto-p-person__photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082413.jpg" alt="" /></div>
<div class="jto-p-person__meta">
<div class="jto-p-person__organization">つくばみらい市</div>
<div class="jto-p-person__position">市長</div>
<div class="jto-p-person__name">小田川 浩 <span class="jto-p-person__kana">おだがわ ひろし</span></div>
</div>
</div>

<h4>周辺自治体の情報も参考に、躊躇なく「避難指示」を発令</h4>
<p class="content-q">―つくばみらい市では、水害防止にどう取り組んでいますか。</p>
<p>　当市では、河川の水位情報を特に注視しています。なぜなら、市の面積のうち4割以上を占める水田地域のほとんどが、浸水想定区域となっているからです。これまでは、国土交通省からの公表データで河川の水位情報を収集していましたが、平成27年9月の「関東・東北豪雨」では、これまで経験したことがない局地的豪雨により鬼怒川の堤防が決壊し、床上浸水の被害が14棟発生してしまいました。そこで、新たな対策を検討することにしたのです。</p>
<p class="content-q">―どのような対策でしょう。</p>
<p>　雨量情報をリアルタイムで収集できるシステムの導入です。じつは、これまで雨量情報を収集していた県の観測器では、リアルタイムでの収集ができていませんでした。「関東・東北豪雨」のような被害を今後出さないようにするためには、河川の急激な水位上昇を事前に予測し、先手を打った避難対策が重要です。そのためには、どこで、どれくらいの雨が降っているかを詳細かつリアルタイムで知る必要があると考えたのです。<br /><br />　そこで、昨年6月に明星電気の『POTEKA』を市内10ヵ所に導入しました。</p>
<p class="content-q">―導入の決め手はなんでしたか。</p>
<p>　周辺の取手市や常総市のほか、県内約20の自治体が『POTEKA』を導入しているため、これらと連携し、広域的に雨量情報を収集できると考えたからです。『POTEKA』を導入すれば、ほかの導入自治体の観測情報も専用サイトの『POTEKA NET』を通じて閲覧できるのです。たとえば、当市よりも鬼怒川や小貝川の上流部に位置する自治体の雨量情報を収集すれば、今後の水位状況の参考にもできます。<br /><br />　実際、昨年発生した2つの台風で、緊急度がもっとも高い「避難指示」を躊躇なく発令できたのも、『POTEKA NET』により、確度の高い避難判断ができたからだと考えています。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082421.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082421.jpg" alt="" /></a></figure>
<hr class="divider divider-content" />
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082440.jpg" alt="" /></figure>
<p>先に紹介した、つくばみらい市同様、独自の気象観測体制を構築した自治体のなかには、エリアごとの詳細な観測情報を、局地的豪雨への対策に活かしている事例がある。瑞穂町(東京都)だ。ここでは同町担当者に、システム導入の背景やその効果などを聞いた。</p>
<div class="municipality-data">
<div class="municipality-heading">瑞穂町データ</div>
<div class="municipality-body">人口：3万2,636人(令和2年8月1日現在)世帯数：1万4,947世帯(令和2年8月1日現在)予算規模：222億5,422万2,000円(令和2年度当初)面積：16.85km²概要：東京都心から西へ約40kmの場所に位置する。令和2年は町制施行80周年の節目の年。東部には狭山丘陵が広がり、豊かな自然に恵まれている。町の中心部から北側には、都内随一の生産量を誇る東京狭山茶の茶畑が広がり、「東京のお茶処のまち」として知られている。</div>
</div>

<div class="jto-p-person">
<div class="jto-p-person__photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082415.jpg" alt="" /></div>
<div class="jto-p-person__meta">
<div class="jto-p-person__organization">瑞穂町</div>
<div class="jto-p-person__position">住民部 参事 危機管理官</div>
<div class="jto-p-person__name">亀山 淳 <span class="jto-p-person__kana">かめやま じゅん</span></div>
</div>
</div>

<h4>観測情報はグラフ化され、各エリアの状況が一目瞭然に</h4>
<p class="content-q">―独自の気象観測システムを導入した背景を教えてください。</p>
<p>　頻発する局地的豪雨による水害リスクに備えるためです。近年、たとえば庁舎付近は大雨なのに、違う場所では雨が一滴も降っていないという現象が以前よりも増えました。さらに、平成28年8月の台風9号の際は、1時間あたり120mmの猛烈な雨が降り、床上浸水の被害や土砂災害も発生するなど、避難対策強化の必要性を痛感。これまでの気象庁や東京都の観測データだけでは、避難対策が後手に回ると感じるように。そこで、局地的豪雨の対応を迅速化するため、エリアごとの雨量情報をリアルタイムで把握できる明星電気の『POTEKA』を平成30年6月に導入したのです。</p>
<p class="content-q">―どのように運用しているのでしょう。</p>
<p>　町内の7ヵ所に設置した『POTEKA』の情報を参考に、まずは、避難情報の発令を検討する「非常配備態勢」を庁内に敷くかどうかを判断しています。今年の6月6日は土曜日でしたが、設定した危険値を超す雨量が『POTEKA』で検知されたため、防災対策にかかわる関係者をすぐに招集し、「非常配備態勢」を敷きました。避難情報を発令するまでにはいたらなかったものの、局所的には浸水が発生しており、その対策を迅速に講じることができました。</p>
<p class="content-q">―今後、水害防止の取り組みをどう強化しますか。</p>
<p>　『POTEKA』の観測情報は、専用サイトの『POTEKA NET』で、地図上にさまざまな形式で表示されます。その機能を活用し、避難対策の機動力をさらに高めたいです。たとえば、エリアごとに時間経過後の積算雨量を自動集計し、グラフ化して比較できる機能があります。各エリアの状況がひと目でわかるため、避難対策を優先すべきエリアの判断を迅速化できます。そのほか、『POTEKA』の設置付近の地図と、雨量分布の様子がわかる気象庁の雨量レーダーをひとつの画面上に重ね合わせて表示する機能もあるため、「このエリアの強い雨は2時間程度続くだろう」といった予測もできます。『POTEKA』の情報を多角的に分析し、「住民の命と財産を守る」という責務をまっとうする水害対策に取り組みます。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082425.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082425.jpg" alt="" /></a></figure>
</section>
</section>
<hr />
<section id="coverWrap" class="transbox clearfix transbox2">

<div class="jto-p-headline">
<p><span class="jto-c-label">支援企業の視点</span></p>
<h3 class="jto-p-headline__heading jto-c-heading">大規模水害が繰り返し起こるいま、求められるのは機動力のある防災体制</h3>
<div class="jto-c-interviewee">明星電気株式会社 気象防災事業部 技術部 気象グループ 主査 小島 慎也</div>
<div class="jto-c-sponsored">[提供] 明星電気株式会社</div>
</div>

<section id="content">
<div class="nfm-volume">
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.26(2020年10月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</div>
<hr class="divider" />
<p>前ページまでは、雨量情報をリアルタイムで収集する独自の気象観測システムを導入した2つの自治体を紹介した。ここでは、同システムを開発した明星電気の担当者を取材。自治体の防災対策の強化に、このシステムがいかに寄与するかなどを聞いた。</p>

<div class="jto-p-person">
<div class="jto-p-person__photo"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082418.jpg" alt="" /></div>
<div class="jto-p-person__meta">
<div class="jto-p-person__organization">明星電気株式会社</div>
<div class="jto-p-person__position">気象防災事業部 技術部 気象グループ 主査</div>
<div class="jto-p-person__name">小島 慎也 <span class="jto-p-person__kana">こじま しんや</span></div>
</div>
</div>

<h4>公的機関の各種気象情報を、自動的に集約する</h4>
<p class="content-q">―自治体はどんな方法で気象情報を収集していますか。</p>
<p>　気象庁や都道府県、河川情報センターなどの各種公表情報を収集しています。しかし、システムの限界でリアルタイムな観測情報の取得が難しいため、局地的豪雨など天気の急変時には対応が追いつかず、後手に回ることも。そこで、リアルタイムな観測システムを設置し、状況を即座に把握する自治体も増えてきました。そういったなか、私たちは、水害への備えをさらに強化する方法があると考えています。</p>
<p class="content-q">―どういった方法でしょう。</p>
<p>　いくつもの観測情報を、ひとつの画面上に表示できるシステムの導入です。たとえば、ある地点で1時間あたり50mm超の大雨が降っているとしましょう。この地点を中心に、災害リスクの分布がわかる気象庁の土砂災害や浸水害、洪水といった危険度分布や、リアルタイムの降水量の実測データを画面上に重ねます。すると、「早急に避難情報を発令すべき」「隣のエリアが危険」など、避難対策が判断しやすくなります。言わば、重要な気象情報をクロスさせ、実効性のある防災対策を展開できるのです。それを実現するのが、『アメダス』や河川情報など公的機関の気象防災情報、各自治体の気象観測システム『POTEKA』の情報などを自動的に集約した『POTEKA NET』です。</p>
<p class="content-q">―導入自治体からはどのような声があがっていますか。</p>
<p>　「気象状況が細かく即座にわかり、警戒エリアの判断が格段に早まった」と評価されています。これまでは、データごとにサイトを開いて情報収集し、さらに、表記方法やデータ形式が異なることも多く、集約に手間と時間がかかっていたと。その点『POTEKA NET』は、クリックひとつで閲覧したい情報を引き出せ、情報の重ね合わせもできる。さまざまな気象データを駆使することで、現状把握はもちろん、今後の見通しも立てられ、先手を打った防災対策ができるのです。全国各地で水害が繰り返し起こるいま、防災体制を強化したい自治体の方は、ぜひ当社にご連絡ください。</p>
<figure class="content-figure thumbnail" style="text-align: center;"><a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082428.jpg" class="cboxElement"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526082428.jpg" alt="" /></a></figure>
<div class="content-profile">
<div class="content-profile-heading">小島 慎也 (こじま しんや) プロフィール</div>
<div class="content-profile-body">昭和57年、栃木県生まれ。富山大学理学部地球科学科卒業後、平成17年に明星電気株式会社へ入社。気象観測機器のシステム設計にたずさわる。気象予報士。</div>
</div>
<p></p>
<div class="company-info-heading">明星電気株式会社</div>
<table class="company-table">
<tbody>
<tr>
<th>設立</th>
<td>昭和13年2月</td>
</tr>
<tr>
<th>資本金</th>
<td>29億9,600万円</td>
</tr>
<tr>
<th>売上高</th>
<td>81億500万円(令和2年3月期:連結)</td>
</tr>
<tr>
<th>従業員数</th>
<td>351人(令和2年3月31日現在)</td>
</tr>
<tr>
<th>事業内容</th>
<td>通信、電子、電気計測、情報処理、理科学機器、精密機械器具、そのほか電気一般に関する装置の製造、販売</td>
</tr>
<tr>
<th>URL</th>
<td><a href="http://www.meisei.co.jp/" target="_blank">http://www.meisei.co.jp/</a></td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせ電話番号</th>
<td><span class="contact-tel-number">03-6204-8251</span>(平日8:30～17:30)</td>
</tr>
<tr>
<th>お問い合わせメールアドレス</th>
<td><a href="mailto:poteka_sale@meisei.co.jp">poteka_sale@meisei.co.jp</a></td>
</tr>
</tbody>
</table>

</section>
</section>

避難行動の明暗を分ける、最新「気象観測システム」の実力とは

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">


            <p><span class="nfm-label">兵庫県上郡町            の取り組み</span></p>

<div id="titleBox">

            <p>気象防災システムの活用</p>
            <h3>台風や雨などの気象情報をリアルタイムに一元表示し、起こりうる水害にすばやく備える【兵庫県上郡町の取組事例】</h3>


					  <div class="profile-name">
		  住民課　副課長兼消防防災係長 山田 壽範		  			  		      </div>














</div>

<section id="lead">
<p>近年、大型台風や局地的豪雨の発生により、各地で予想を超える規模の重大な災害が起きている。そのため、自治体では被害の発生や拡大の防止策を強化している。上郡町(兵庫県)では、刻々と移り変わるさまざまな気象データをひとつの画面に集約するシステムを導入した。システムの導入が、水害対策にどのような効果をもたらすのか。担当者に、その狙いなどを聞いた。</p>

  									<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.19（2019年8月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
					  </section>


<section class="onebox company company-city">
  <div class="company-data">
    <p class="blue">兵庫県上郡町データ</p>
      <span>人口： 1万4,867人(令和元年7月1日現在)</span>
        <span>世帯数： 6,445世帯(令和元年7月1日現在)</span>
        <span>予算規模： 144億1,006万2,000円(令和元年度当初)</span>
        <span>面積： 150.26km²</span>
        <span>概要： 町域の大半が山地、丘陵地で占められている。町の中央部を南北に、名水百選に選ばれている清流・千種川が流れる。南北朝時代の武将・赤松円心が築いた国指定史跡の白旗城は、難攻不落の「落ちない城」として知られ、多くの受験生が合格祈願に訪れる。</span>
    </div>
</section>




<section id="content">







        <div class="interviewImg thumbnail">
        <a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526073926.jpg" class="cboxElement">

          <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526073926.jpg" alt="">
        </a>
      </div>


          <h4>雨量の観測体制だけでなく、気象全般の情報収集も強化</h4>

              <p class="content-q">―上郡町が取り組む水害対策を教えてください。</p>



        <p>当町では約10年前から、独自の雨量計測器を町内6ヵ所に設置しています。というのもその数年前、大型台風の影響で赤松地区をはじめ町内各地で想定を超える浸水被害が発生しました。当時、国と県が町内2ヵ所に設置していた気象観測器では、局地的豪雨を把握できなかったのです。その教訓を活かし、町独自の雨量計測器を設けました。</p>




              <p class="content-q">―効果はありましたか。</p>



        <p>ええ。たとえば、導入直後の平成21年に発生した台風の際は、各ポイントの降雨状況をつぶさに監視して、状況に応じた防災活動がいつでもできる態勢を敷けました。そして、これまで以上に降雨状況を偏りなく把握できるようになった一方で、その後の運用でもっと改善できないかと考える部分が出てきました。</p>




              <p class="content-q">―どういう部分でしょう。</p>



        <p>水害対策のために収集しているさまざまな気象データを、自動的に集約できないかということです。これまでは、町独自の雨量計測以外の気象データは、気象庁が発表する「高解像度降水ナウキャスト」や、兵庫県の「河川監視システム」などの各情報サイトを閲覧して集めていました。その場合、サイトによって表記方法やデータ形式が異なるため、集約に手間と時間がかかっていました。そんななか、当町に雨量計測器を提供してくれた民間企業から、雨量計測器の情報をベースに、各気象データを自動集約できるシステムの提案を受け、2018年11月から導入しています。<br>
</p>



          <h4>予測も可能な気象データを、ひとつの画面に集約する</h4>

              <p class="content-q">―どのようなシステムですか。</p>



        <p>町独自の雨量計測データと、これまで手動で集めていた気象データを同期させて、同じ地図上に自動集約させるのです。具体的には、国、県、町が設置している雨量計測器の場所を地図上にピン表示して、観測データを一斉表示します。そして、その地図上に、土砂災害警戒情報や、雨雲レーダーによる雨量分布観測データと予測データを重ね合わせます。<br>
<br>
特に雨雲レーダーは刻々と変化する雨量分布の様子がひと目でわかり、たとえば、「1時間に50㎜の雨が降っているこの観測ポイント付近に、さらに50㎜の豪雨が続きそうだ」と予測できるのです。そのおかげで、避難情報の発令や庁内の警戒態勢について、迅速な判断が可能になりました。</p>

        <div class="interviewImg thumbnail">
        <a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526073918.jpg" class="cboxElement">

          <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526073918.jpg" alt="">
        </a>
      </div>



              <p class="content-q">―水害対策を含め、今後の防災対策に向けた方針を聞かせてください。</p>



        <p>このシステムは集約できるデータの幅が広く、数年前に設けた河川の監視カメラ映像も集約しています。今後は国と県が管理している河川の水位データも集約し、防災対策をさらに強化していきます。</p>





















</section>












</section>

台風や雨などの気象情報をリアルタイムに一元表示し、起こりうる水害にすばやく備える【兵庫県上郡町の取組事例】

事例をもとに「地域経済循環分析」を学ぶ【水俣市、横浜市の事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">


            <p><span class="nfm-label">長崎県壱岐市            の取り組み</span></p>

<div id="titleBox">

            <h3>職員の人事評価の納得感を高める制度が住民サービスの向上をもたらす【壱岐市の取組事例】</h3>


					  <div class="profile-name">
		  壱岐市 総務部 総務課長 中上 良二		  			  		      </div>




					<div class="profile-name">壱岐市 総務部 総務課 職員班 係長 江口 亨</div>










</div>

<section id="lead">
<p>近年、地方公務員の人事管理に業績・能力評価を導入し、給与や任用の基礎とする制度運用が本格化している。この動きを徹底し、効率化する過程で、システムの導入を模索する自治体が増えつつある。そのひとつである壱岐市(長崎県)では、平成29年度から実運用に入っている。導入メリットや今後の運用ビジョンなどを担当者に聞いた。</p>

  									<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.14（2018年8月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
					  </section>


<section class="onebox company company-city">
  <div class="company-data">
    <p class="blue">長崎県壱岐市データ</p>
      <span>人口： 2万6,954人(平成30年5月末日現在)</span>
        <span>世帯数： 1万1,647世帯(平成30年5月末日現在)</span>
        <span>予算規模： 361億1,140万4,000円(平成30年度 当初)</span>
        <span>面積： 139.42km²</span>
        <span>概要： 福岡県と対馬市の中間地点で玄界灘に面し、壱岐本島と23の属島からなる全国で20番目(沖縄を除く)に大きな島。『魏志倭人伝』や『日本書紀』にも登場し、弥生時代から長年にわたって海上交通の要衝となった歴史がある。この歴史的特徴から、「国境の島　壱岐・対馬・五島～古代からの架け橋～」として平成27年に日本遺産に認定されている。</span>
    </div>
</section>




<section id="content">








        <div class="interviewImg thumbnail">
        <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526071909.jpg" alt="">
      </div>


              <p class="content-q">―いち早く人事評価システムを導入した経緯を教えてください。</p>



        <p>江口：平成25年度から国の例を参考に、職員の職務遂行能力や業務意欲などを評価する勤務評定制度を実施してきました。当初は、紙の評価調書に手書きで記入した評定結果を電卓で集計していました。平成27年度からは、そこに目標管理型の「業績評価」を追加。その時点からエクセルを活用し、被評価者から評価者へ、さらに上位の評価者へとメールで送信する流れで運用してきました。<br>
<br>
中上：エクセルによる運用では、入力の手間がかかるうえ、正規・非常勤約580人の全職員データを集計するには多大な時間と労力を要します。そのため、分析後に評価結果を効果的に活用し、給与や任用、人事管理の基礎とするには困難な状況でした。さらに、エクセルで実施したとしても最終的には各人の評価調書を印刷して保存していたので、機密性も十分とは言えなかった。そうした理由から、システム化の検討に入り、民間企業のソリューション導入を決めました。</p>




              <p class="content-q">―導入の決め手はなんでしたか。</p>



        <p>江口：いちばんの理由は、市で運用していた情報系システム、人事給与システムとスムーズに連携できる構成だったこと。これにより、二重の入力作業を回避でき、費用軽減も図れると期待しました。<br>
<br>
中上：また、このソリューションには、評価結果をデータ化し、評価者ごとの評価結果のバラツキや甘辛などを相対的に分析できる機能があります。これにより、職員が求める公平公正な評価を実現し、人材育成のツールとして活用できるとの期待もありましたね。</p>



          <h4>想いを伝えようとする職員も</h4>

              <p class="content-q">―導入効果はいかがでしょう。</p>

        <div class="right thumbnail">
        <a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526071902.jpg" class="cboxElement">

          <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526071902.jpg" alt="">
        </a>
      </div>


        <p>中上：被評価者の目標設定から評価者の目標承認までの入力期間を例年6月15日頃から約3週間としていましたが、結局全職員の入力完了は7月末くらいでした。これが、システム導入により約2週間で完了できました。また、各職員の進捗状況を把握できるので、未提出者への催促ができ、評価者はもちろん人事担当者の作業効率も上がり、負担が軽減できました。<br>
<br>
江口：このシステムにはコメント記入欄もあるため、これを利用して評価者に少しでも自分の想いを伝えようとする職員も増えています。その結果、人事評価制度に対する職員の納得感や信頼感が高まったと感じています。長期的には評価データを蓄積することで職員一人ひとりの適性をつかみ、適材適所のきめ細かな育成・配置・任用を実現したいですね。</p>




              <p class="content-q">―今後どのようなまちづくりをめざしますか。</p>



        <p>江口：人事評価システムを活用し、職員のモチベーション、ひいては住民サービスの向上につなげたいです。自然に囲まれた壱岐市には、日本の渚百選に選ばれた美しい海などを目当てに、全国から多くの観光客が訪れます。そうした方々へのサービス向上にもつなげたいですね。<br>
<br>
中上：新鮮なウニ・マグロなどの海の幸、壱岐牛など豊富な食材に恵まれた「実りの島」をPRし、交流人口の拡大をめざすとともに、漁業・農業など地場産業の活性化にも取り組んでいきます。</p>





















</section>












</section>

職員の人事評価の納得感を高める制度が住民サービスの向上をもたらす【壱岐市の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">
<p><span class="nfm-label">熊本県御船町 の取り組み</span></p>
<div id="titleBox">
<h3>初心者の職員が担当してもテレビの国会中継レベルの品質に【御船町の取組事例】</h3>
<div class="profile-name">御船町議会 議長 田端 幸治</div>
<div class="profile-name">御船町議会事務局 局長 福本 悟</div>
</div>
<section id="lead">
<p>「観づらい、聴きづらい」といったイメージをもたれがちな議会中継で、いま、ICT化が進んでいる。御船町(熊本県)の議会では、簡単な操作で高品質の映像と音声が配信できるシステムを導入。同町議会議長の田端氏、同町議会事務局長の福本氏に、導入経緯や期待する効果を聞いた。</p>
<p class="caution">※下記は自治体通信 Vol.10（2017年10月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
</section>
<section class="onebox company company-city">
<div class="company-data">
<p class="blue">熊本県御船町データ</p>
人口： 1万7,218人(平成29年7月末現在)世帯数： 7,044世帯(平成29年7月末現在)予算規模： 198億5,820万円(平成29年度当初)面積： 99.03km²概要： 熊本県上益城郡にあり、熊本市の東南16.6kmに位置する。町名の由来は、景行天皇が九州平定の折、その「御船(おんふね)」が着岸したことによると伝えられる。昭和54年8月、御船町上梅木地区において、日本初の肉食恐竜の歯の化石がみつかったことから、「恐竜の郷」としても知られている。</div>
</section>
<section id="content">
<div class="interviewImg thumbnail"><img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526070605.jpg" alt="" /></div>
<p class="content-q">―これまでどのような議会運営を行っていたのですか。</p>
<p>田端：御船町議会では、平成11年から議会中継をはじめていました。しかし、設備の老朽化が顕著となり、問題が発生していました。</p>
<h3 class="content-q">―どのような問題でしょうか。</h3>
<p>福本：設備の老朽化によって、「情報公開の質」が低下していたことです。<br /> <br /> 長年の使用によりマイクが音声をしっかりと拾えなくなり、傍聴席だけでなく庁舎にあるテレビを通して議会中継を観ている住民の方からも「議員や議長の発言が聴きづらい」という意見をいただくことが多くありました。<br /> <br /> また映像も画質が悪く、カメラは細かいところまでフォーカスできなかった。そのため、議員が提示しているフリップがみづらい状況でした。さらに、そうした機材の不具合にくわえ、システムの調子が悪くなることは日常茶飯事。一度は議会中にシステムが止まったことがあり、議会事務局の担当職員がヒヤリとする場面もありました。そのため、新しいシステムを導入することになりました。</p>
<p class="content-q">―新システムの導入にあたり、どういった点を重視しましたか。</p>
<p>福本：ふたつあります。ひとつは、情報公開の質向上のためにも、視聴者にとって観やすくて聴きとりやすい議会中継が実現できるシステムという点です。「映ればいい」というレベルでは、情報公開の意味がありませんから。<br /> <br /> ふたつめは、操作がシンプルなこと。たとえば、職員は異動があるため、機材やシステムの扱い方を引き継がなければいけません。このとき操作方法が複雑すぎると、慣れるまでに非常に時間がかかる。すると、議会の運営に影響をおよぼしかねません。</p>
<p class="content-q">―複数の民間企業の議会中継システムを検討したそうですね。</p>
<p>福本：ええ。そのなかで、ある民間企業のソリューションは、デモンストレーションで職員が使ってみたところ、いちばん好評でした。というのも、操作が非常に簡単。たとえば、マイクシステムと連動しているため、操作ひとつで音声と映像の双方の切り替えが簡単に行えます。また、すべての操作をタッチパネルで行えるうえに、ワンマンオペレーションが可能。これなら、職員が代わっても問題なく引き継ぎができます。<br /> <br /> あとは、映像と音声の質が格段にあがること。まるでテレビの国会中継のようなクオリティで、職員一同驚きました。さらに、テロップが表示できるのもよかったです。<br /> <br /> 田端：映像と音声だけでは、現在誰と誰が議論しているのかまではわかりづらい。議員の名前や議題がテロップで表示されることは、観ている人にとってやさしい議会中継といえます。</p>
<h4>「復興予算を中継しなければ」緊急時の情報公開の重み</h4>
<p class="content-q">―導入はスムーズでしたか。</p>
<p>田端：じつは、稼働にいたるまでが大変でした。というのも、導入を決めた矢先に平成28年熊本地震が発生。議場が被害を受け、システムや機材が完全に壊れてしまったんです。しかし、震災にかんする予算を決めなければいけないため、議会を中止するわけにはいきません。被害の少なかった大会議室を議場とし、議会を開きました。<br /> <br /> 福本：復興予算にかんする住民の興味は非常に高い。復興のためにも、議会中継システムの復旧が急務でした。<br /> <br /> その点、議場の改修が終わるとすぐに、地元のSIerとこの民間企業の担当者が来庁。御船町議会にあわせたシステムの構築をしてもらえた点が非常にありがたかった。たとえば、当議会では採決方法は起立式。そこで、採決の操作をすれば、カメラが自動で議場全体を映しだすシステムに変えてもらいました。さらに、新しく導入した音響やカメラとの不具合があっても、システムをその場ですぐに構築。そのおかげもあり、平成29年2月末にはシステムを稼働させた議会が実現しました。</p>
<p class="content-q">―今後の情報公開についての方針を教えてください。</p>
<p>田端：今回のシステム導入を機に、町政や議会に関心をもってくれる人を増やしたい。そのためには、議会だけでなくたとえば特別委員会などの活動も中継したいと考えています。また、より多くの方に町政への関心をもってもらうために、パソコンやタブレット端末を使ったインターネット配信を実現したいですね。</p>
</section>
</section>

初心者の職員が担当してもテレビの国会中継レベルの品質に【御船町の取組事例】

 <section id="coverWrap" class="transbox clearfix">


            <p><span class="nfm-label">兵庫県小野市            の取り組み</span></p>

<div id="titleBox">

            <h3>河川氾濫という水害対策の「盲点」である中小河川の監視はできていますか【小野市の取組事例】</h3>


					  <div class="profile-name">
		  小野市 市民安全部 防災グループ 主査 入江 晋也		  			  		      </div>














</div>

<section id="lead">
<p>気象庁が定義する、いわゆる「非常に激しい雨(※)」の発生回数が増加傾向にあり、大規模な水害も各地で起きている。こうした状況を受けて、被害の発生または拡大の防止策を強化する自治体が増加している。小野市(兵庫県)では河川の水位観測システムを独自に導入し、対策の強化に乗り出した。システムの導入が市の災害対応にどのような効果をもたらすのか、担当者に聞いた。<br>
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※非常に激しい雨：気象庁が定めた雨の強さにかんする用語。１時間の降水量が50mm以上80mm未満の雨をさし、「滝のように降る雨」とされる</p>

  						<p class="caution">※下記は自治体通信 テクノロジー特別号（2019年2月号）から抜粋し、記事は取材時のものです。</p>
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<section class="onebox company company-city">
  <div class="company-data">
    <p class="blue">兵庫県小野市データ</p>
      <span>人口： 4万8,759人(平成30年11月末現在)</span>
        <span>世帯数： 1万9,892世帯(平成30年11月末現在)</span>
        <span>予算規模： 368億4,000万円(平成30年度当初)</span>
        <span>面積： 92.94km²</span>
        <span>概要： 東播磨地域のほぼ中央に位置し、神戸から電車で約1時間の場所。鎌倉時代のはじめ、重源上人が建立した「浄土寺」は、堂内の阿弥陀三尊立像とともに国宝に指定されている。また、日本一の生産量を誇るそろばんの産地で、昭和51年に国から伝統的工芸品に指定された『播州そろばん』は、約400年の歴史がある。</span>
    </div>
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<section id="content">








        <div class="interviewImg thumbnail">
        <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526072832.jpg" alt="">
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              <p class="content-q">―水害防止の取り組み状況を聞かせてください。</p>



        <p>当市では、河川の水位上昇や降雨量をもとにした、避難情報の発令体制を整えてきました。市内には一級河川の加古川が流れ、国が設けた7ヵ所の水位観測所で水位を監視しています。被害の発生や拡大を防ぐには、避難情報を的確かつ迅速に発令できるよう、気象情報のタイムリーな収集が重要。そういった点では、加古川の水位観測所から情報は収集できています。<br>
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しかし、それだけでは十分ではないことを思い知らされました。平成16年に台風が連続で上陸した際、避難情報発令前に加古川の支流の粟生(あお)川で、過去に例をみない速度で浸水被害が発生したのです。</p>




              <p class="content-q">―それはどうしてですか。</p>



        <p>粟生川の水位上昇が予想以上に急激だったからです。加古川などの大規模河川には、国が予算をかけて水位観測所を設けていますが、小規模河川の粟生川にはそれがありません。そのため、長時間の大雨の場合、市の職員が現地で水位を目視確認していました。しかし、当時は連続で上陸した台風の影響で、川幅が狭い粟生川の水位はみるみるうちに上昇したのです。<br>
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被災後、粟生川には国が樋ひ門もんを設置し、当市は地元住民とともに巡視体制を強化。しかし、近年の気候変動で雨の降り方が激しくなり、気象状況の変化に対応する新たな対策の必要性を感じました。</p>




              <p class="content-q">―新たな対策とはどのようなものでしょう。</p>



        <p>いままで手つかずだった中小河川も、センサ機器などの監視対象にくわえることです。具体的には、粟生川に水位計測システムを導入し、水位をリアルタイムに把握するようにしました。水位計測システムは、国の水位観測所のように大規模な設備ではなく、水位を正確に観測できる必要最低限の設備を検討しました。なぜなら、1ヵ所にコストをかけるのではなく、市内の小規模河川の水位を網羅的に把握することが、水害を効果的に防ぐうえで肝要だからです。<br>
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水位計測システムにはある民間企業の製品を選びました。市内に網羅的に設置できる安価なシステム設計にくわえ、同社は長年、エネルギーインフラなどの計測データを管理している実績があり、安定運用が期待できると評価したからです。</p>



          <h4>機動的な対応で災害発生リスクに先手を打つ</h4>

              <p class="content-q">―システムの導入で災害対策はどのように変わりましたか。</p>

        <div class="right thumbnail">
        <a href="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526072826.jpg" class="cboxElement">

          <img src="https://jto-image.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/images/fotolife/j/jichitaitsushin/20210526/20210526072826.jpg" alt="">
        </a>
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        <p>臨機応変な災害対策ができています。先日も、庁舎付近が強い雨に見舞われ、粟生川の氾濫が懸念されましたが、水位計測システムでいち早く「安全水位」と確認できました。そのおかげで、災害対策本部にいながら粟生川の水位と水位変動を把握でき、先を見越した災害対応・職員配置が行えました。この水位情報は、周辺住民にも直接確認できるよう登録してもらい、「自助」「共助」による地域防災の充実も期待しています。</p>




              <p class="content-q">―今後の水害対策に向けた方針を聞かせてください。</p>



        <p>約半年の運用でシステムの有用性を確認できたので、ほかに2ヵ所の河川にも追加導入する予定です。当市の行政方針のひとつに「先手管理」があります。今後も先手を打った水害対策で、安全安心なまちづくりに努めます。</p>





















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